コラム一覧に戻る
電子カルテ8分で読める

電子カルテのデータ移行・乗り換え完全ガイド|手順・費用・注意点

2026年6月30日

電子カルテのデータ移行・乗り換え完全ガイド|手順・費用・注意点
この記事をシェア

電子カルテの乗り換えを検討するとき、多くの院長・医療事務担当者が最初にぶつかる不安が「これまで蓄積してきた患者データを、新しいカルテにきちんと移行できるのか」という点です。本記事では、電子カルテのデータ移行・乗り換えについて、移行できる情報の範囲・費用の目安・具体的な手順・つまずきやすい注意点を、実務目線で整理します。

データ移行には「どこまで移せるか」の壁がある

まず理解しておきたいのは、電子カルテのデータは製品ごとにデータ構造が異なり、すべてがそのままの形で移行できるわけではないという点です。移行の可否は、大きく次のように分かれます。

  • 移行しやすい情報:患者基本情報(氏名・生年月日・保険情報など)、病名、処方・検査などの構造化データ
  • 移行が難しい・条件付きの情報:自由記載のカルテ本文、シェーマ・画像、独自フォーマットの文書

自由記載の経過記録は、新カルテ側で「参照専用のPDF」として保持する形にとどまるケースが少なくありません。ベンダーによって対応方針が大きく異なるため、見積もり段階で「どのデータが、どの形式で移行されるのか」を必ず確認しましょう。

データ移行の主な方法

1. 構造化データの変換移行

患者基本情報や病名・処方などを、新カルテのデータ形式に変換して取り込む方法です。診療をそのまま継続できる理想形ですが、変換作業が発生するため費用と期間がかかります。

2. PDF・画像としての参照移行

旧カルテの記録をPDFや画像に一括出力し、新カルテから患者ごとに参照できるようにする方法です。コストを抑えやすい一方、新カルテ上での検索性は下がります。

3. 旧システムの参照用保管(並行保存)

移行はせず、旧カルテを一定期間「参照専用」で残す方法です。法定保存期間(診療録は5年)を満たすための現実的な選択肢になることもあります。

費用の目安と内訳

データ移行の費用は、患者数・データ量・移行方式・旧カルテのデータ取り出しやすさによって大きく変動します。一般的な内訳は次のとおりです。

項目内容
データ抽出費旧カルテからのデータ書き出し作業
変換・取込費新カルテ形式への変換・インポート
検証・立会費移行後の突合確認、当日サポート

具体的な金額はベンダーや条件で幅があるため、必ず複数社から見積もりを取り、「何が含まれ、何が別料金か」を明確にすることが重要です。

失敗しないための手順

  1. 現行カルテのデータ棚卸し:何を必ず移行したいか(病名・処方・画像など)の優先順位を決める
  2. 旧ベンダーへのデータ取り出し可否確認:契約上の制約や出力形式を早めに確認する
  3. 新ベンダーへの移行要件の提示と見積もり取得:移行範囲・形式・費用を書面で確認
  4. テスト移行と突合確認:本番前に一部データで検証する
  5. 並行運用期間の設定:切り替え直後のトラブルに備え、旧カルテを一定期間参照可能に

移行時に見落としがちな注意点

  • 法定保存期間への対応:移行後も診療録の保存義務は続きます。移行データが保存要件を満たすか確認しましょう
  • セキュリティとガイドライン準拠:移行作業でも患者情報を扱うため、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(3省2ガイドライン)に沿った取り扱いが求められます
  • スケジュールの余裕:移行は想定より時間がかかりがちです。改定期や繁忙期を避けた計画が安全です

AIネイティブで設計された電子カルテ「AIカルテ」は、レセコン一体型で患者情報・病名・レセプトデータを同一基盤で管理し、3省2ガイドラインに準拠したクラウド環境で運用します。移行後もAIによる要約機能で過去カルテの把握がしやすく、乗り換え直後の負担を軽減します。移行の可否や範囲については、個別の環境に応じてご相談いただけます。

おわりに

電子カルテのデータ移行は、「すべてが完全に移せる」とは限らないという前提のもと、移行範囲・費用・手順を事前に見極めることが成功の鍵です。優先順位を決め、複数ベンダーで比較し、テスト移行と並行運用でリスクを抑える——この基本を押さえれば、乗り換えの不安は大きく減らせます。

ポテックはAIカルテの提供を通じて、クリニックの皆様の最適な事業パートナーとして、医師や看護師・医事スタッフの働きやすさの改善はもちろん、クリニックとして実現したいことを最大限に叶えられるようサポートいたします。

詳細については、ぜひお問い合わせください。

参考・出典

この記事をシェア

関連記事

電子カルテ

電子カルテのベンダーロックインをどう避けるか|契約・データ・標準化の観点

電子カルテを乗り換えようとして初めて、データが取り出せない・移行費用が想定外・契約期間が残っているという事実に気づくケースは少なくありません。ロックインをデータ・機能・契約の3層に分けて構造を明らかにし、契約前に確認すべき項目と、標準規格が果たす役割を整理します。

2026年8月10日
電子カルテ

病院向けAIネイティブ電子カルテに求められる機能とは

病院でAIネイティブ電子カルテが果たすべき役割は、クリニックとは異なります。無人化ではなく、職種ごとの周辺業務を削って患者に向き合う時間と余白をつくること。医師・看護・薬剤・事務それぞれに必要な機能から、権限管理・部門連携・可用性という横断要件、そして導入の進め方までを整理します。

2026年8月10日
電子カルテ

病院とクリニックの電子カルテはなぜこれほど違うのか|設計思想の比較

病院の電子カルテとクリニックの電子カルテは、同じ名前で呼ばれながら別物です。その差はどこから生まれるのか。コンウェイの法則が示す組織構造との相関、外来と病棟の時間軸の違い、意思決定者とユーザーの分離、収益構造の違いという4つの源泉から、設計思想の分岐を解き明かします。

2026年8月10日
電子カルテ

電子カルテの標準要件に沿ったデータ移行の方法|HL7 FHIR・SS-MIX2・標準コード

電子カルテのデータ移行は、標準規格(HL7 FHIR・SS-MIX2・標準コード)への対応で大きく変わります。電子カルテ情報の標準化と標準型電子カルテを踏まえ、標準要件に沿った移行方式・手順・限界を、厚生労働省の公式情報をもとに整理します。

2026年8月2日
AIカルテ

AIカルテを見る

受付から診療記録、会計、レセプト、経営分析までを一つの循環でつなぐAIネイティブ電子カルテ。

製品ページを見る

AIカルテという選択肢

記事でご紹介した課題の多くは、診療所向けAIネイティブ電子カルテ「AIカルテ」で扱えます。まずはどんな製品かご覧ください。

電子カルテのデータ移行・乗り換え完全ガイド|手順・費用・注意点