この記事の要点
- PMH(Public Medical Hub)の対応自治体は、デジタル庁のPMHページに掲載されている「PMH(医療費助成)先行実施自治体一覧」(PDF)で確認できます。自治体ごとに対象の助成制度が分かれて載っています。
- デジタル庁によると、参加自治体は2024年度末の183から2026年10月1日時点で611に拡大し、622自治体への到達が見込まれています。
- 同じページで、医療費助成のオンライン資格確認を導入済みの医療機関・薬局リスト(Excel)も公開されています。参加・参加予定自治体の状況は厚生労働省のページにも掲載されています。
- 医療機関が医療費助成の資格情報を受け取るにはレセコン改修が必要で、改修後にオンライン資格確認等システムの画面で「利用する」を選ぶとPMHの利用規約に同意したものとみなされます。
PMHとは、Public Medical Hub(パブリック・メディカル・ハブ)の略で、デジタル庁が構築を進める、自治体と医療機関のあいだで手続き情報をやりとりするための基盤です。予防接種や乳幼児健診、医療費助成といった、これまで紙の予診票や受給者証でやりとりしていた情報を、電子的に連携できるようにするものです。
医療DXの施策のなかで、PMHは最も知名度が低いものの一つです。しかし小児科や産婦人科をはじめ、予防接種・乳幼児健診・医療費助成を日常的に扱うクリニックにとっては、窓口業務が最も直接的に変わる可能性のある施策です。本記事では、PMHとは何か、何がつながるのか、そして現場の業務がどう変わるのかを整理します。
免責:本記事は一般的な情報提供です。対象分野・参加自治体・運用の詳細は今後拡大・変更され得ます。実務では必ず最新の一次情報(デジタル庁・厚生労働省・お住まいの自治体の公表資料等)をご確認ください。
医療DX全体の見取り図は 医療DXとは?国の工程表と3本柱をクリニック目線で解説 で整理しています。
PMH対応自治体はどこ?公式一覧の確認方法
PMHの対応自治体は、デジタル庁が公表している「PMH(医療費助成)先行実施自治体一覧」(PDF)で確認できます。 都道府県・市区町村ごとに、どの医療費助成制度(精神通院・更生医療・育成医療・特定疾患など)がPMHの対象になっているかが一覧になっており、2026年10月1日更新版が掲載されています。
規模については、デジタル庁は参加自治体が2024年度末時点の183から、2026年10月1日時点で611に拡大し、622自治体への到達が見込まれるとしています。
| 調べたいこと | 確認先 |
|---|---|
| どの自治体・どの助成制度が対象か | デジタル庁 PMHページ の「PMH(医療費助成)先行実施自治体一覧」(PDF) |
| 参加自治体・参加予定自治体の状況 | 厚生労働省 医療費助成のオンライン資格確認のページ |
| 近隣で対応済みの医療機関・薬局 | デジタル庁 PMHページの「医療費助成オンライン資格確認の導入済み医療機関・薬局リスト」(Excel、2026年10月14日更新) |
| 運用開始時期・対象制度の詳細 | 所在地および患者の居住地の自治体 |
確認の手順は次のとおりです。
- 一覧で、自院の所在自治体と、患者の多い近隣自治体(都道府県と市区町村の両方)を探す
- 自治体ごとに、対象になっている助成制度が、自院で扱いの多い制度と合っているかを見る
- 該当があれば、レセコンベンダーに改修の時期と費用を確認する(後述)
一覧は更新されるため、確認した日付を控えておき、定期的に最新版を見直すのが確実です。なお、この一覧は医療費助成分野のものです。予防接種・母子保健の分野は進み方が異なるため、自治体に確認してください。
PMHとは何か
PMH(Public Medical Hub)は、デジタル庁が構築する、自治体と医療機関の間で情報をやりとりするための連携基盤です。
これまでの医療DXの施策は、医療機関どうしをつなぐもの(電子処方箋、電子カルテ情報共有サービス)が中心でした。PMHが埋めるのは、それとは異なる空白です。自治体が持っている情報と、医療機関が持っている情報の間をつなぎます。
自治体は、予防接種の対象者情報、乳幼児健診の記録、医療費助成の受給資格といった情報を持っています。これらは従来、紙の通知や受給者証を患者が持参することで医療機関に伝えられてきました。PMHは、この経路を電子化するものです。
対象となる分野
PMHが扱う対象は、医療機関どうしの情報共有とは性格が異なります。
| 分野 | 具体例 |
|---|---|
| 予防接種 | 対象者確認、予診票、接種記録 |
| 母子保健 | 乳幼児健診、妊婦健診の記録 |
| 医療費助成(公費負担医療) | 自治体独自の助成、公費負担の資格確認 |
| 介護 | 介護情報の連携 |
いずれも自治体が制度の実施主体になっている領域である点が共通しています。
自治体が所管する事業では、受給者証の発行、医療機関への分配・報告、集計・請求といった手続きが紙と人手で回ってきました。PMHはこの流れをマイナポータルとデータ連携に置き換えます。

何が変わるのか
窓口での資格確認
最も分かりやすい変化は、受給者証などの紙の確認が電子化されることです。乳幼児医療費助成のように、自治体ごとに様式も運用も異なる制度では、窓口での確認は手間がかかり、間違いも起きやすい業務でした。マイナンバーカードで資格確認ができるようになれば、この負担が下がります。
とくに、他の自治体から転入してきた患者や、里帰り出産のように住所地と受診地が異なるケースでは、従来は確認そのものが困難でした。PMHはこうした場面で効果を発揮します。
予診票・問診票の電子化
予防接種の予診票を、患者がマイナポータルから事前に入力できるようになります。窓口での記入待ち時間が減り、記入漏れの確認も効率化されます。詳しくは ワクチンDXの解説 をご覧ください。
健診結果の共有
乳幼児健診や妊婦健診の結果を、患者本人がマイナポータルで確認でき、自治体間でも共有できるようになります。転居の際に記録が引き継がれないという従来の課題が解消に向かいます。詳しくは 母子保健DXの解説 をご覧ください。
先行実施の状況
PMHは全国一斉に始まるのではなく、参加する自治体から段階的に広がる方式で進められています。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2023年度 | 先行実施を開始。公募により16自治体・87医療機関が参加 |
| 2024年度末 | 参加自治体が183に拡大 |
| 2026年10月1日時点 | 参加自治体が611に拡大(622自治体への到達が見込まれる) |
対応する医療機関・薬局も、2025年4月の約2.5万施設から、2026年3月には約6.9万施設へと急速に増えています(いずれもデジタル庁の公表値)。
先行実施では、医療費助成・予防接種・母子保健の3分野に分かれて検証が進められてきました。参加自治体数が大きく伸びているのは、主に医療費助成の分野です。
この「自治体から順に広がる」という進み方は、医療機関にとって重要な意味を持ちます。自院が対応したいと思っても、地元の自治体が参加していなければ使えないという制約があるためです。逆に、自治体が参加すれば、地域の医療機関に対応の要請が及ぶことになります。
クリニックが今できること
1. 対応自治体を確認する
まず、自院の所在自治体および主な患者の居住自治体がPMHに参加しているかを確認します(手順は冒頭の「PMH対応自治体はどこ?公式一覧の確認方法」も参照)。対応自治体は次の方法で調べられます。
- デジタル庁「PMH(医療費助成)先行実施自治体一覧」(PDF):都道府県・市区町村ごとに、どの助成制度(精神通院・更生医療・育成医療・特定疾患など)が対象かが一覧になっています。2026年10月1日更新版が最新です
- 厚生労働省のページ:参加自治体・参加予定自治体の状況が掲載されています
- 自治体への問い合わせ:実際の運用開始時期や対象制度の詳細は、自治体ごとに異なります
2. レセコン改修と利用規約への同意
医療機関がPMHで医療費助成の資格情報を受け取るには、レセコン(またはレセコン一体型の電子カルテ)の改修が必要です。改修後、オンライン資格確認等システムの「環境設定情報更新」画面で「利用する」を選ぶと、PMHの利用規約に同意したものとして扱われます。改修の時期や費用は、ベンダーに早めに確認しておきましょう。
3. 該当する診療科は早めに情報収集を
小児科、産婦人科、内科(予防接種を多く扱う場合)は、業務への影響が大きくなります。予防接種や乳幼児健診の件数が多いクリニックほど、事前の準備が効いてきます。
4. システム側の対応方針を確認する
予診票の電子化や資格確認の連携には、電子カルテ・レセコン側の対応が必要になる場合があります。ベンダーに対応方針を確認しておきましょう。
5. 紙の運用は当面併存する前提で
デジタル化されても、紙の予診票や受給者証による運用は当面併存します。電子と紙の両方に対応できる受付フローを設計しておくことが実務的です。
医療DX全体のなかでの位置づけ
PMHは、全国医療情報プラットフォーム(医療DXの3本柱の①)の一部を構成します。医療機関どうしをつなぐ仕組みが「横のつながり」だとすれば、PMHは自治体と医療機関をつなぐ「縦のつながり」にあたります。
行政が持つ情報と医療機関が持つ情報がつながることで、予防接種や健診といった公衆衛生の領域まで含めて、個人の健康情報が一つの流れで扱えるようになる——これがPMHの目指す姿です。
AIカルテでの対応
AIネイティブ電子カルテ「AIカルテ」は、予防接種の管理や乳幼児健診の記録など、小児科・産婦人科の日常業務に対応する機能を備えています。医療DX関連の情報連携についても、制度側の実装の進み方を踏まえて対応方針を検討しています。診療科ごとの運用にあわせた導入のご相談を承っています。
おわりに
PMHは、医療機関どうしではなく、自治体と医療機関をつなぐ情報連携基盤です。予防接種・母子保健・医療費助成といった、これまで紙の通知や受給者証でやりとりしてきた領域が対象で、窓口業務への影響は小さくありません。参加自治体から段階的に広がる方式のため、まずは自院の地域の状況を確認することが出発点になります。とくに小児科・産婦人科では、早めの情報収集が実務の負担軽減につながります。
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よくある質問
- Q. PMHの対応自治体はどこで確認できますか?
- A. デジタル庁の「自治体と医療機関・薬局をつなぐ情報連携基盤(PMH)」のページに掲載されている「PMH(医療費助成)先行実施自治体一覧」(PDF)で確認できます。都道府県・市区町村ごとに、どの医療費助成制度が対象かが載っています。参加・参加予定自治体の状況は厚生労働省のページでも確認できます。
- Q. PMHに参加している自治体はいくつありますか?
- A. デジタル庁の公表では、2026年10月1日時点で611自治体です。2024年度末時点の183自治体から拡大しており、622自治体への到達が見込まれるとされています。最新の数は同庁のページで確認してください。
- Q. 自院の地域がPMH対応自治体なら、すぐに使えますか?
- A. 医療費助成の資格情報を受け取るには、レセコン(またはレセコン一体型電子カルテ)の改修が必要です。改修後、オンライン資格確認等システムの「環境設定情報更新」画面で「利用する」を選ぶと、PMHの利用規約に同意したものとみなされます。運用開始時期や対象制度は自治体ごとに異なるため、自治体にも確認してください。
- Q. PMHに対応している医療機関・薬局は調べられますか?
- A. デジタル庁のPMHページで「医療費助成オンライン資格確認の導入済み医療機関・薬局リスト」(Excel)が公開されています。