呼吸器内科にとって今回の改定の焦点は、CPAP管理の「量から質へ」の転換です。
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2は本体が10点引き下げられ、代わりに充実管理体制加算15点が新設されました。アドヒアランスが良好な施設は255点で改定前を上回り、そうでない施設は240点で純減となります。さらに、使用実績の乏しい患者は算定そのものができなくなりました。
1. 主な変更点
| 項目 | 変更内容 | 新旧点数 | 影響度 |
|---|---|---|---|
| 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2 | 本体引き下げ。過去3か月すべての月で1日平均使用1時間未満の患者は算定不可(アドヒアランス要件の導入) | 250→240点(要一次確認) | 大 |
| 充実管理体制加算(新設) | モニタリング機器を活用し、直近3か月で「1日4時間以上使用が20日以上」の管理月の割合が4割以上の施設を評価 | 新設 15点(240+15=255点で改定前超え)(要一次確認) | 大 |
| CPAP保険適用基準の見直し | AHI基準を20以上→15以上に緩和(ただし書きの閾値はAHI40以上→30以上に変更) | ― | 中 |
| 喘息治療管理料の取り扱い | 生活習慣病管理料(Ⅱ)の包括から除外され併算定可能に | ―(要一次確認) | 中 |
| 在宅酸素療法・在宅ハイフローセラピー等 | 当該科特有の大きな変更は確認できず | ―(要一次確認) | 小 |
| COPD関連 | COPDに特化した新設・増点は確認できず(共通事項および上記CPAP・喘息関連の影響が中心) | ― | 小 |
2. 経営インパクトと対応
アドヒアランス管理が、そのまま収益管理になりました。
対応は3点です。
(1)遠隔モニタリング対応機器への切替とデータ抽出体制。 充実管理体制加算の実績要件は「直近3か月で、1日4時間以上使用が20日以上ある管理月の割合が4割以上」です。これは機器から出るデータを継続的に取り込み、月ごとに集計できて初めて判定できます。機器がデータを出せても、それを集計する手段がなければ届出の判断すらできません。
(2)低使用患者の早期介入。 使用時間が伸びない患者を放置すると、加算の実績要件が崩れるだけでなく、その患者自身が算定不可(過去3か月すべてで1日平均1時間未満)に落ちます。マスクフィッティングの見直し、動機づけ面接、フォロー電話といった介入を、データを見て早期に打てる体制が要ります。
(3)離脱基準の明確化。 どの時点で中止・変更を判断するかを院内で決めておかないと、実績要件を満たさない患者を抱え続けることになります。
一方で、AHI15以上への適用拡大は追い風です。軽症〜中等症のSAS患者が新たに保険適用の対象となり、簡易検査・PSGから導入までの院内フローを整備すれば、患者数の増加で単価下落を補えます。
喘息合併の生活習慣病患者については、喘息治療管理料が生活習慣病管理料(Ⅱ)の包括から外れ併算定可能になりました。算定ロジックの見直しが必要です。
3. 実務チェックリスト
- CPAP機器が遠隔モニタリングに対応しているか、データを月次で抽出できるか
- 「1日4時間以上使用が20日以上」の管理月の割合を、直近3か月で計算できるか
- 過去3か月すべてで1日平均1時間未満の患者を抽出できるか
- AHI15〜20の患者への導入フロー(簡易検査→PSG→導入)を整備したか
- 喘息治療管理料と生活習慣病管理料(Ⅱ)の併算定設定をレセコンに反映したか
4. AIカルテはこの改定にどう効くか — 機能単位で見る
CPAPの評価が使用実績に連動した以上、機器から出るデータをどう扱うかが経営の問題になりました。ポテックのAIカルテがどう効くのか、機能ごとにご紹介します。
機能1:外部連携・API — CPAPのデータを継続的に取り込む
OAuth2ゲートウェイ、MCPサーバー、HAPI FHIRに対応し、外部システム・デバイスと連携できます。
充実管理体制加算は、機器のデータを取り込み、月単位で集計できて初めて判定できる要件です。「4時間以上使用が20日以上ある月」が直近3か月で4割以上——この数字を出せなければ、届出できるかどうかも分かりません。デバイス連携が加算算定の前提条件になったのが、この科の2026年です。
機能2:患者向けPHRアプリ「ポテ君」連携 — 使用時間が落ちる前に手を打つ
処方箋のOCR取り込みと服薬リマインダ、受診予約、LINEログインとPush通知に対応します。
使用時間が伸びない患者を次回受診まで放置すると、その3か月で算定要件が崩れます。患者側に使用状況のフィードバックとリマインドが届く仕組みは、加算取得と患者定着の両方に効きます。 アドヒアランスが評価軸になった以上、患者との連絡手段を持っていることが要件充足の一部になったと考えるべきです。
機能3:経営分析ダッシュボード — アドヒアランス率を経営指標として見る
来院実績・患者単価・月次推移を自動集計し、可視化します。
この科の管理指標は「CPAP導入患者数」から「良好アドヒアランス患者の割合」へ移りました。導入件数を追っていても、加算が取れているかは分かりません。 実績要件の達成度を月次で追える状態が、届出の維持と改善の両方の土台になります。
全科共通事項もあわせてご確認ください
初再診料、物価対応料、ベースアップ評価料、電子的診療情報連携体制整備加算などの共通変更点は「全科共通事項」にまとめています。
出典(主要)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- クレドメディカル「在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料の見直し」 https://www.credo-m.co.jp/column/detail/hosyu/25383/
- med-cpa「生活習慣病管理料の見直しを徹底解説」 https://med-cpa.jp/hoshu-13/
- 東京保険医協会「2026年度診療報酬改定 中医協答申(抜粋)」 https://www.hokeni.org/docs/2026021200012/