今回の改定で循環器内科の目玉は、心不全再入院予防継続管理料の新設です。急性期入院中の多職種評価(管理料1)、退院後の外来フォロー(管理料2)、地域のかかりつけ医等での継続管理(管理料3)という3段構えで、「急性期→外来→地域」の切れ目ない心不全管理を診療報酬で裏打ちする設計になっています。
地域のかかりつけ循環器クリニックにとっては、管理料3が新しい収益機会です。
1. 主な変更点
| 項目 | 変更内容 | 新旧点数 | 影響度 |
|---|---|---|---|
| 心不全再入院予防継続管理料(新設) | 急性期入院中の多職種評価(1)、退院後外来フォロー(2)、地域のかかりつけ医等での継続管理(3)。月1回・起算日から1年限度(2・3) | 新設 1:1,000点(入院中1回)/2:700点(1〜6回目)・225点(7回目以降)/3:400点(1〜6回目)・225点(7回目以降)(要一次確認) | 大 |
| 同管理料3の施設基準(診療所向け) | 心不全指導経験3年以上の専任医師+看護師等。管理栄養士は栄養ケアステーション・他院連携でも可 | ― | 中 |
| 併算定不可の範囲 | 特定疾患療養管理料・外来栄養食事指導料・心大血管リハ(同日)と併算定不可 | ― | 大 |
| 地域包括診療加算等の対象拡大 | 対象疾患に「慢性心不全」(+要介護等)が追加 | ―(前掲・要一次確認) | 中 |
| 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2(CPAP) | 本体10点引き下げ+充実管理体制加算新設。使用実績の乏しい患者は算定不可に | 250→240点、充実管理体制加算 15点新設(240+15=255点)(要一次確認) | 中 |
| 心大血管疾患リハビリテーション料 | 心リハ特有の大きな点数変更は確認できず。リハ共通の見直し(早期リハ加算の2段階化、離床を伴わないリハの90/100減算等)の影響が中心 | ―(要一次確認) | 小 |
2. 経営インパクトと対応
管理料3は400点×6か月+225点。 患者1人あたり年間で約3,000点弱の収益機会です。ただし注意点が2つあります。
(1)併算定不可の整理が必須です。 特定疾患療養管理料・外来栄養食事指導料と併算定できません。これまで特定疾患療養管理料を算定してきた心不全患者について、どちらが有利かを患者ごとにシミュレーションする必要があります。 生活習慣病管理料を算定している患者の扱いも整理が要ります。
(2)多職種体制が届出の鍵です。 心不全指導経験3年以上の専任医師に加え、看護師等の配置が求められます。管理栄養士については栄養ケアステーションや他院との連携でも可とされており、常勤採用が難しいクリニックにも道はあります。連携パスの整備とあわせて準備してください。
CPAP(SAS外来)については、本体10点減・加算15点増という付け替え構造です。 アドヒアランスデータ(1日4時間以上の使用が20日以上ある月の割合が直近3か月で4割以上)を満たせば255点となり、改定前の250点を上回ります。逆に満たせなければ240点で純減です。遠隔モニタリングと外来フォロー体制の強化が、そのまま収益差になります。
地域包括診療加算の対象疾患に慢性心不全が加わったことで、かかりつけ機能としての算定機会も広がります。
3. 実務チェックリスト
- 心不全再入院予防継続管理料3の施設基準(専任医師の経験年数、看護師等の配置)を満たすか確認したか
- 管理栄養士の連携先(栄養ケアステーション等)を確保したか
- 現在特定疾患療養管理料を算定している心不全患者について、管理料3との収益比較を行ったか
- 急性期病院との連携パス(管理料2→3への引き継ぎ)を整備したか
- CPAP患者のアドヒアランス実績(4時間×20日以上の月の割合)を集計できる状態か
4. AIカルテはこの改定にどう効くか — 機能単位で見る
循環器内科の2026年は、ほぼすべてが「要件を満たしていることをデータで示せるか」に行き着きます。採血の間隔、CPAPの使用実績、多職種の記録。この証明の手間をポテックのAIカルテがどう引き受けるのか、機能ごとにご紹介します。
機能1:外部連携・API — CPAPのデータをカルテに取り込む
OAuth2ゲートウェイ、MCPサーバー、HAPI FHIRに対応し、外部システム・デバイスと連携できます。
充実管理体制加算の施設基準には、使用時間・AHIを遠隔モニタリング可能な機器の活用と、「4時間以上使用が20日以上ある月」の割合が直近3か月の40%以上というアウトカム連動の実績要件が含まれます。これはデバイスから出るデータを継続的に取り込み、集計できて初めて成立する要件です。デバイス連携とデータ可視化が、そのまま加算算定の可否になります。
機能2:カルテ・オーダー作成 — 多職種の記録を揃える
診察中の音声からAIがSOAPカルテを生成し、セットオーダーで検査・処方を一括入力できます。
心不全再入院予防継続管理料は、医師・看護師・管理栄養士の適切な配置を施設基準としています。多職種が関わる管理では、誰がいつ何を指導したかの記録が算定の裏付けになります。職種ごとに記録の粒度がばらつくと要件充足の証明が難しくなるため、テンプレートと音声入力で記録形式を揃えられることは、単なる時短以上の意味を持ちます。
機能3:会計・レセプト管理 — 併算定不可と期限を機械的に判定する
自動算定エンジンが包括・背反・回数制限をチェックし、加算の算定可否を自動判定します。
管理料3には「起算日から1年限度」「1〜6回目は400点、7回目以降は225点」という逓減と期限があり、さらに特定疾患療養管理料・外来栄養食事指導料との併算定不可という制約が重なります。この組み合わせを人の記憶で管理するのは現実的ではありません。 算定回数と併算定の可否をシステムが判定できる状態が、返戻を防ぎます。
全科共通事項もあわせてご確認ください
初再診料、物価対応料、ベースアップ評価料、生活習慣病管理料(Ⅰ)の6か月採血要件などの共通変更点は「全科共通事項」にまとめています。
出典(主要)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 佐々木総研「心不全再入院予防継続管理料の新設」 https://www.sasakigp.co.jp/column/10029870
- クレドメディカル「在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料の見直し」 https://www.credo-m.co.jp/column/detail/hosyu/25383/
- med-cpa「地域包括診療加算等の見直し」 https://med-cpa.jp/hoshu-14/