リハビリテーション科にとって、今回は構造転換を求められる改定です。医療・介護の同時改定年でもあります。
キーワードは**「離床」と「アウトカム」**の2つ。単位数を積み上げる運用は減算で直接減収になり、回復期では実績指数のハードルが上がりました。
1. 主な変更点
| 項目 | 変更内容 | 新旧点数 | 影響度 |
|---|---|---|---|
| 疾患別リハ料:離床を伴わない訓練の減算 | ベッドサイドで離床を伴わない他動的訓練等のみの場合、所定点数の90/100(1割減算)・1日2単位まで | ▲10%(要一次確認) | 大 |
| 早期リハビリテーション加算 | 入院3日以内:25→60点(+35点)、4日目以降25点。起算日を「発症日」から「入院日」に変更、算定期間14日に統一。初期加算45点と併せ最大105点/単位 | 25→60点(要一次確認) | 中〜大 |
| 休日リハビリテーション加算(新設) | 入院患者の土日祝リハを評価、起算日から30日間 | 新設 25点/単位(要一次確認) | 中 |
| リハビリテーション総合計画評価料の逓減制 | 標準的算定日数の1/3経過後(例:脳血管60日目・運動器50日目)は逓減 | 評価料1:300点→2回目以降240点、評価料2:240点→196点(要一次確認) | 中 |
| リハ実施計画書 | 患者署名欄廃止、説明者を医師から多職種(看護師・PT・OT・ST)へ拡大、様式簡素化 | ― | 小(業務効率化) |
| 回復期リハ病棟入院料 | 入院料1:2,229→2,346点(+117)、2:2,166→2,274点(+108)、3:1,917→2,062点(+145)、4:1,859→2,000点(+141)。実績指数基準は入院料1で40→42へ引き上げ、入院料2・4にも32を新設。FIM利得は「トイレ動作・歩行/車椅子」の改善で重み付け加点、80歳以上の除外規定廃止 | 左記(要一次確認) | 大 |
| 回復期リハビリテーション強化体制加算(新設) | 入院料1の上位評価。実績指数48以上、退院前訪問指導実績、排尿自立支援加算届出等が要件 | 新設 80点/日(要一次確認) | 大 |
| 看護・多職種協働加算(新設)/みなし単位 | 急性期病棟への療法士等追加配置を評価。訓練以外の業務20分=1単位とみなす運用(請求不可、18単位上限カウントのみ) | 要一次確認 | 中 |
| 介護保険連携(同時改定) | リハ・栄養・口腔の一体的取り組み推進、生活期リハの介護保険移行と情報連携(計画書共有)を継続強化 | ― | 中 |
2. 経営インパクトと対応
(1)離床プログラムへの組み替えが最優先。 ベッド上のみの他動訓練は90%減算・1日2単位まで。ベッドサイド単独介入の棚卸しを行い、離床を伴うプログラムへ組み替えてください。単位数を積む運用は、そのまま減収に直結します。
(2)早期リハ加算を取り切る。 入院1〜3日目が60点(初期加算45点と併せ最大105点/単位)。起算日が「発症日」から「入院日」に変わった点も重要です。土日を含めた初期集中投入ができるかどうかが、増収の分かれ目になります。
(3)休日リハ加算(25点/単位・30日間)を活かす。 新設されたこの加算は、365日体制を取る施設にとって明確なプラスです。人員配置の見直しと合わせて検討してください。
(4)回復期は「上げ幅は飴、実績指数は鞭」。 入院料は+108〜145点と増点された一方、実績指数の基準は入院料1で40→42へ引き上げ、入院料2・4にも32が新設されました。さらに強化体制加算(80点/日)は実績指数48以上・退院前訪問指導実績・排尿自立支援加算届出が要件です。80点/日はベッド当たり年間約29万円規模のインパクトがあり、3要件を逆算したKPI管理の導入が要ります。FIM利得の重み付けが「トイレ動作・歩行/車椅子」に置かれた点、80歳以上の除外規定が廃止された点も、実績指数の計算に直接効きます。
(5)総合計画評価料の逓減は長期例で確実に減収。 標準的算定日数の1/3経過後(脳血管60日目・運動器50日目)から逓減します。標準算定日数内での目標達成と退院支援、介護保険リハ(通所リハ等)への計画的な移行導線の強化が対策になります。
3. 実務チェックリスト
- ベッドサイドで離床を伴わない訓練の実施状況を棚卸しし、90%減算の対象を把握したか
- 離床を伴うプログラムへの組み替えを計画したか
- 入院1〜3日目にリハを開始できる人員配置(土日を含む)になっているか
- 休日リハビリテーション加算の算定体制を整備したか
- 回復期の実績指数の現在値を把握し、42(入院料1)・48(強化体制加算)との差を確認したか
- 強化体制加算の3要件(実績指数48、退院前訪問指導、排尿自立支援加算届出)の充足状況を確認したか
- 総合計画評価料の「初回/2回目以降」をレセコンで判別できているか
4. AIカルテはこの改定にどう効くか — 機能単位で見る
リハビリテーション科の2026年は、「何単位やったか」ではなく「どう介入し、どこまで改善したか」が点数を決める年になりました。ポテックのAIカルテがどう支えるのか、機能ごとにご紹介します。
機能1:カルテ・オーダー作成 — 離床の有無と開始日を記録に残す
診察中の音声からAIがSOAPカルテを生成し、セットオーダーで検査・処方を一括入力できます。
今回の改定で点数を分けるのは、「離床を伴ったか」「入院何日目に開始したか」「休日に実施したか」という、実施記録に残っていなければ証明できない事項です。療法士の記録形式がばらついていると、90%減算の対象かどうかの判別すらできません。テンプレートで記録の粒度を揃えられることは、この科では単価の防衛そのものです。
機能2:経営分析ダッシュボード — 実績指数をKPIとして日々見る
来院実績・患者単価・月次推移を自動集計し、可視化します。
回復期の実績指数は、期末に集計して「届かなかった」と分かるのでは手遅れの指標です。入院料1で42、強化体制加算で48。FIM利得の重み付けが変わり、80歳以上の除外規定も廃止された以上、これまでの計算前提は通用しません。現在値と目標値の差を継続的に追える状態が、加算取得の可否を決めます。強化体制加算の80点/日は、ベッド当たり年間約29万円です。
機能3:外部連携・API — 介護保険リハへの移行をつなぐ
OAuth2ゲートウェイ、MCPサーバー、HAPI FHIRに対応し、外部システムと連携できます。
医療・介護の同時改定であり、生活期リハの介護保険移行と情報連携(計画書の共有)が強化されました。総合計画評価料の逓減がある以上、標準算定日数内で目標を達成し通所リハ等へ移行する導線が経営上も重要になります。移行のたびに計画書を手作業で作り直していては、件数が増えるほど事務が破綻します。
全科共通事項もあわせてご確認ください
初再診料、物価対応料、ベースアップ評価料、電子的診療情報連携体制整備加算などの共通変更点は「全科共通事項」にまとめています。療法士はベースアップ評価料の対象職種であり、賃金改善計画との整合が必要です。
出典(主要)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- GemMed「【答申9】回復期リハビリ病棟、新加算取得やリハビリ実績指数」 https://gemmed.ghc-j.com/?p=73028
- GemMed「【答申10】リハ・栄養・口腔管理の一体的取り組み」 https://gemmed.ghc-j.com/?p=73044
- クレドメディカル「令和8年度改定|リハビリテーション総合計画評価料の見直し」 https://www.credo-m.co.jp/column/detail/hosyu/25659/
- リハビリ評価・計算ツール「2026年(令和8年)診療報酬改定 リハビリ関連まとめ」 https://reha-tool.jp/articles/r8-kaitei-matome.html
- PT-OT-ST.NET「令和8年 診療報酬改定情報」 https://www.pt-ot-st.net/contents4/medical-treatment-reiwa-8/