放射線科における今回の改定の柱は、放射線科診断医不足への構造的対応です。
従来「院内読影が原則」とされてきた画像診断管理加算の施設基準が見直され、一定条件下で最大20%まで保険医療機関間での読影委託が容認されました。 これは診断医が確保できない病院にとって、加算を丸ごと返上するか無理を続けるかの二者択一しかなかった状況を変える改定です。
1. 主な変更点
| 項目 | 変更内容 | 新旧点数 | 影響度 |
|---|---|---|---|
| 画像診断管理加算:読影の一部外部委託を初容認 | 「院内読影が原則」だった施設基準を見直し、「翌診療日までに院内で80%以上の読影」等の条件下で、最大20%まで保険医療機関間での読影委託を容認。一部委託時の区分として「画像診断管理加算2(一部委託)」を設定 | 加算2(一部委託)166点/加算2 175点/加算3 235点(区分名称・点数とも要一次確認) | 中〜大 |
| 遠隔画像診断 | 上記の委託容認により、遠隔読影サービス活用の制度的位置づけが拡大(受託側=読影センター・大学病院等にも市場拡大) | 要一次確認 | 中 |
| AI画像診断(プログラム医療機器・CAD等) | 診療報酬上の新規評価項目は確認できず(画像診断管理加算3・4の施設基準における「AI関連技術を用いた読影補助の管理」等の従来枠組みが継続とみられる) | ―(要一次確認) | 小 |
| MRI撮影(E202)3テスラ以上の増点 | 3T以上の機器による撮影が+100点(共通・全科に影響) | 共同利用:1,620→1,720点/その他:1,600→1,700点(要一次確認) | 中 |
2. 経営インパクトと対応
(1)加算返上を避ける選択肢ができた。 常勤読影医の負担が限界に達している病院は、これまで「無理を続けるか、加算を返上して読影料をゼロにするか」の二択でした。20%枠での外部委託+加算2(一部委託)166点という選択肢は、加算2(175点)と比べれば9点低いものの、返上と比べれば圧倒的に有利です。委託契約と読影率モニタリング体制(院内80%・翌診療日ルールの実績管理)を整備して届出を検討してください。
(2)読影率の実績管理が新しい業務になる。 「翌診療日までに院内で80%以上」という要件は、実績として測定・記録できていなければ届出を維持できません。 委託件数と院内読影件数の比率を継続的に把握する仕組みが必要です。
(3)受託側には市場拡大の追い風。 読影センター、大学病院、放射線科医のフリーランス読影にとっては市場が広がります。単価とTAT(読影所要時間)のSLA設計が競争力になります。
(4)AI-CADは今回も独立点数化されなかった。 導入判断は診療報酬ではなく、読影生産性の向上と医師採用力の観点から行うべきです。
3. 実務チェックリスト
- 現在の画像診断管理加算の届出区分を確認したか
- 院内読影率(翌診療日までに80%以上)を測定・記録できる状態か
- 委託先医療機関との契約体制を整備したか
- 一部委託時の区分(加算2一部委託)と現行区分の点数差を試算したか
- 3T MRIの算定区分(共同利用/その他)が正しく設定されているか
- (受託側)TATと単価のSLAを設計したか
4. AIカルテはこの改定にどう効くか — 機能単位で見る
放射線科の2026年は、「読影をどこで行うか」という運用の自由度が増した一方、その実績を測る責任が生じた年になりました。ポテックのAIカルテがどう支えるのか、機能ごとにご紹介します。
機能1:経営分析ダッシュボード — 読影率を実績として測る
来院実績・患者単価・月次推移を自動集計し、可視化します。
「翌診療日までに院内で80%以上」という要件は、測れなければ守れているかどうかも分からない要件です。委託件数、院内読影件数、読影までの所要時間。これらを継続的に把握できる仕組みが、届出の維持そのものを支えます。加算2(一部委託)166点と加算2(175点)、加算3(235点)のどの区分を狙うかの判断材料にもなります。
機能2:外部連携・API — 遠隔読影とつなぐ
OAuth2ゲートウェイ、MCPサーバー、HAPI FHIRに対応し、外部システムと連携できます。
読影の外部委託が制度的に認められた以上、委託のたびに画像と依頼情報を手作業で送るのでは、20%枠を使い切ることすらできません。 標準規格での連携基盤があることが、委託を実務として回せるかどうかを決めます。受託側にとっても、依頼元とスムーズにつながれることがTAT短縮という競争力に直結します。
機能3:会計・レセプト管理 — 区分変更を請求に反映する
自動算定エンジンが包括・背反・回数制限をチェックし、加算の算定可否を自動判定します。
画像診断管理加算に「一部委託」という新しい区分が加わり、3T MRIの点数も変わりました。区分が細分化された項目は、旧区分のまま請求され続けても表面上は正常に見えてしまいます。 撮影機器や委託の有無から算定区分が自動判定される仕組みが、増点の取りこぼしと過大請求の両方を防ぎます。
全科共通事項もあわせてご確認ください
初再診料、物価対応料、ベースアップ評価料、電子的診療情報連携体制整備加算などの共通変更点は「全科共通事項」にまとめています。
出典(主要)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- ViewSend ICT(嗣江建栄)「2026年度診療報酬改定 放射線科診断医師への影響は」 https://mbp-japan.com/tokyo/viewsend-ict/column/5227501/
- しろぼんねっと「E202 磁気共鳴コンピューター断層撮影(令和8年医科点数表)」 https://shirobon.net/medicalfee/latest/ika/r08_ika/r08i_ch2/r08i2_pa4/r08i24_sec3/r08i243_E202.html
- 東京保険医協会「2026年度診療報酬改定 中医協答申(抜粋)」 https://www.hokeni.org/docs/2026021200012/