令和8年度(2026年度)診療報酬改定で、医療DX関連の加算体系が抜本的に再編されました。これまで中核だった医療DX推進体制整備加算と医療情報取得加算は廃止され、新設された電子的診療情報連携体制整備加算に統合されています。
旧加算を届け出ていた医療機関でも、自動的に移行されるわけではなく、改めて届出が必要です。本記事では、何がどう変わったのか、何をすべきかを整理します。
免責:本記事は一般的な情報提供です。点数・施設基準・経過措置の詳細は告示・通知で定められ、変更もされ得ます。実務では必ず最新の一次情報(厚生労働省・地方厚生(支)局)でご確認ください。
何が変わったのか
再編の全体像は次のとおりです。
| 区分 | 改定前 | 改定後 |
|---|---|---|
| 医療情報取得加算 | あり | 廃止 |
| 医療DX推進体制整備加算 | あり | 廃止 |
| 電子的診療情報連携体制整備加算 | — | 新設 |
施行時期は、旧加算が令和8年5月31日をもって廃止され、新加算は令和8年6月1日から算定開始となっています。
再編の考え方として、患者ごとの情報取得の状況を評価する形(医療情報取得加算)から、医療機関全体としてのDX対応レベルを評価する形へと軸足が移されたと説明されています。医療DXの「導入」を促す段階から、「活用」を評価する段階への移行という位置づけです。
電子的診療情報連携体制整備加算の概要
点数の構成
報道されている内容によれば、点数は次のように区分されています。
| 対象 | 区分 | 点数 |
|---|---|---|
| 初診料 | 加算1 | 15点 |
| 初診料 | 加算2 | 9点 |
| 初診料 | 加算3 | 4点 |
| 再診料・外来診療料 | 一律 | 2点(月1回) |
| 入院料 | 加算1 | 160点(入院初日) |
| 入院料 | 加算2 | 80点(入院初日) |
点数の具体値は必ず告示・通知でご確認ください。
施設基準の考え方
施設基準は複数の区分に分かれ、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスへの対応状況に応じて区分される構成となっています。
全区分に共通して求められるとされる要件には、次のようなものが挙げられています。
- レセプトのオンライン請求を行っていること
- 明細書を無料で発行する体制を有していること
- オンライン資格確認を行う体制を有していること
- マイナ保険証の利用率について、一定の基準を満たすこと
上位の区分では、これに加えて電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスへの対応が求められるとされています。
この構成自体は、旧・医療DX推進体制整備加算の考え方を引き継いでいます。つまり、すでに旧加算の体制を整えていた医療機関にとって、求められる体制が根本から変わったわけではありません。変わったのは加算の枠組みと、届出のやり直しが必要になった点です。
最重要:届出は「やり直し」が必要
今回の再編でもっとも実務的な影響が大きいのがここです。
旧加算(医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算)を届け出ていた医療機関であっても、新加算を算定するには改めて届出が必要とされています。旧加算の届出が新加算に自動的に引き継がれることはありません。
届出を失念すると、体制は整っているのに算定できないという状態になります。自院の届出状況を今すぐ確認することをおすすめします。
確認すべき点は次のとおりです。
- 新加算の届出を提出済みか
- 提出した区分は、自院の体制に対して適切か
- マイナ保険証の利用率が、算定する区分の基準を満たし続けているか
- 掲示要件(院内掲示・ウェブサイト)を新加算の内容に更新したか
掲示要件の更新を忘れない
見落とされやすいのが掲示です。旧加算の名称で院内掲示やウェブサイトの記載を作成していた場合、新加算に合わせた内容へ更新する必要があります。
とくにウェブサイトの記載は、院内掲示ほど頻繁に見直されないため、旧加算の名称のまま残っているケースが起こりがちです。
あわせて再編された加算
今回の改定では、他にも関連する見直しが行われています。報道されている内容によれば、診療録管理体制加算についても区分の再編が行われ、従来の3区分から2区分へ整理されています。
改定全体の変更点は 診療報酬改定2026 クリニックが押さえるべき変更点と対応策 で扱っています。
マイナ保険証の利用率要件
新加算においても、マイナ保険証の利用率が施設基準に組み込まれています。この基準はこれまでも段階的に見直されてきた経緯があり、算定を始めた後も継続して満たす必要がある点は旧加算と同様です。
利用率が基準を下回ると、その期間は算定できません。月次で自院の利用率を確認する運用を組み込んでおくことが有効です。
マイナ保険証をめぐる政策の経緯は マイナ保険証の政策解説|なぜ利用率が施設基準になったのか で扱っています。
体制整備をどう進めるか
新加算の上位区分を算定するには、電子処方箋と電子カルテ情報共有サービスへの対応が鍵になります。
- 電子処方箋:導入の進め方は 電子処方箋とは?クリニック導入のメリット・費用・進め方
- 電子カルテ情報共有サービス:共有される情報の範囲は 電子カルテ情報共有サービス完全ガイド|共有される情報と加算要件
- オンライン資格確認:オンライン資格確認の義務化とは?導入手順・補助金・経過措置
これらを個別に整えるのは負担が大きく、システムが分散していると連携部分でトラブルが起きがちです。
ポテックが開発する「AIカルテ」は、レセコン一体型のクラウド電子カルテで、オンライン資格確認・電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスへの対応を同一基盤で進められる設計としています。診療報酬改定にあわせてシステムが更新されるため、要件の見直しにも追随しやすくなります。
対応チェックリスト
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 届出 | 新加算の届出を提出したか。旧加算の届出は引き継がれない |
| 区分 | 自院の体制に対して適切な区分を選択したか |
| 利用率 | マイナ保険証の利用率が基準を満たし続けているか |
| 掲示(院内) | 新加算の内容に更新したか |
| 掲示(Web) | ウェブサイトの記載を更新したか。旧加算名が残っていないか |
| 電子処方箋 | 上位区分を目指すなら対応状況を確認 |
| 情報共有サービス | 上位区分を目指すなら対応状況を確認 |
| 算定状況 | 6月以降、実際に算定できているかレセプトで確認 |
まとめ
- 令和8年度改定で、医療情報取得加算と医療DX推進体制整備加算は廃止された
- 代わりに電子的診療情報連携体制整備加算が新設され、令和8年6月1日から算定開始
- 評価の軸が、患者ごとの情報取得から医療機関全体のDX対応レベルへ移った
- 旧加算を届け出ていても、改めて届出が必要。自動的には移行されない
- 施設基準の考え方は旧加算を引き継いでおり、求められる体制が根本から変わったわけではない
- 掲示(とくにウェブサイト)の更新漏れが起きやすい
- 上位区分の鍵は電子処方箋と電子カルテ情報共有サービスへの対応
- 点数・要件の具体値は必ず告示・通知で確認する
AIカルテの詳細やデモをご希望の場合は お問い合わせ からご連絡ください。
参考・出典
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定説明資料等について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71068.html
