皮膚科の今回の改定は、**「点数は維持、要件は追加」**という形をとりました。
皮膚科特定疾患指導管理料の点数変更は確認できませんでしたが、算定要件に長期処方・リフィル処方箋への対応体制と、その旨の院内掲示が加わっています。要件追加型の改定は、未対応のまま算定を続けると返戻・査定のリスクになる点で注意が必要です。
1. 主な変更点
| 項目 | 変更内容 | 新旧点数 | 影響度 |
|---|---|---|---|
| 皮膚科特定疾患指導管理料 | 長期処方・リフィル処方箋推進の観点から算定要件を見直し。28日以上の長期投薬に対応可能な体制、リフィル処方箋交付への対応体制、その旨の院内掲示、患者希望時の適切な対応が要件化 | 点数変更は確認できず(現行(Ⅰ)250点/(Ⅱ)100点のまま据え置きとみられる・要一次確認) | 中 |
| 難治性皮膚疾患患者への訪問看護 | 在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料の対象患者(天疱瘡・類天疱瘡・表皮水疱症等)が、訪問看護基本療養費の「週4日以上算定可能な対象(別表第八)」に正式追加 | 対象拡大(点数新設ではない・要一次確認) | 小〜中 |
| アトピー性皮膚炎の生物学的製剤・在宅自己注射関連 | 皮膚科に特有の大きな変更は確認できず(在宅自己注射指導管理料の枠組み・対象薬剤運用は継続。共通事項の影響が中心) | ― | 小 |
2. 経営インパクトと対応
(1)掲示物とカルテ記載ルールの整備を即時に。 皮膚科特定疾患指導管理料は、点数が維持されたぶん要件で締まりました。長期処方・リフィル対応が可能である旨の院内掲示と、患者から希望があった場合の対応の記録。これは6月施行対応として、すでに実施されているべき事項です。 未対応であれば早急に整備してください。
(2)生物学的製剤の粗利を再点検する。 アトピー性皮膚炎のデュピルマブ等の在宅自己注射は、引き続き管理料ベースの収益柱です。改定での直接的な変更は確認できませんでしたが、薬価改定(▲0.86%)側の影響と合わせて粗利を再計算しておくべきです。
(3)重症水疱症等を診る施設は在宅対応力を訴求できる。 天疱瘡・類天疱瘡・表皮水疱症等が訪問看護の週4日以上算定の対象に加わりました。訪問看護ステーションとの連携(指示書の運用)を整備すれば、地域での役割を明確にできます。
(4)共通事項の取り切りが増収の主軸。 皮膚科は患者数が多く再診の回転が速いため、再診側の上乗せ(物価対応料2点、ベースアップ評価料4〜6点)が積み上がりやすい構造です。
3. 実務チェックリスト
- 長期処方・リフィル処方箋に対応可能である旨を院内に掲示したか
- 28日以上の長期投薬に対応できる体制を整備したか
- リフィル処方箋の交付を希望された場合の対応をカルテに記録する運用になっているか
- 生物学的製剤の薬価改定後の粗利を再計算したか
- 難治性皮膚疾患患者について、訪問看護ステーションとの連携体制を整備したか
- 物価対応料・ベースアップ評価料が再診レセプトに乗っているか確認したか
4. AIカルテはこの改定にどう効くか — 機能単位で見る
皮膚科の2026年は、点数ではなく「要件を満たした運用になっているか」が問われる年になりました。ポテックのAIカルテがどう支えるのか、機能ごとにご紹介します。
機能1:カルテ・オーダー作成 — 要件化された対応を記録に残す
診察中の音声からAIがSOAPカルテを生成し、セットオーダーで検査・処方を一括入力できます。
長期処方・リフィルへの対応は、「対応できる体制がある」だけでなく「患者希望時に適切に対応した」記録が求められます。 皮膚科は1日の患者数が多く、1件あたりの記録に割ける時間が限られます。音声からカルテが生成される仕組みは、要件化された対応を「やったが記録がない」状態にしないという意味で効きます。
機能2:会計・レセプト管理 — 指導管理料の算定要件を機械的に確認する
自動算定エンジンが包括・背反・回数制限をチェックし、算定可否を自動判定します。
皮膚科特定疾患指導管理料は月1回の算定であり、対象疾患・算定回数・要件充足の3点が揃って初めて算定できます。 要件が追加された直後は、旧来の運用のまま算定を続けてしまいがちです。算定条件がシステム側で管理されている状態が、査定リスクを下げます。
機能3:患者向けPHRアプリ「ポテ君」連携 — 長期処方の患者と接点を保つ
処方箋のOCR取り込みと服薬リマインダ、受診予約、LINEログインとPush通知に対応します。
長期処方・リフィルの推進は、裏を返せば受診間隔が延びるということです。アトピー性皮膚炎や乾癬のように長期管理を要する疾患では、受診間隔が延びたぶん、そのあいだの状態把握が難しくなります。服薬継続のリマインドと次回受診の案内が患者側に届く仕組みは、長期処方時代の継続管理を支えます。
全科共通事項もあわせてご確認ください
初再診料、物価対応料、ベースアップ評価料、電子的診療情報連携体制整備加算、長期収載品の負担増などの共通変更点は「全科共通事項」にまとめています。
出典(主要)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- クレドメディカル「【令和8年度診療報酬改定】皮膚科特定疾患指導管理料の算定要件」 https://www.credo-m.co.jp/column/detail/hosyu/7248/
- ケアチーム「難治性皮膚疾患への訪問看護、週4回以上の算定が可能に」 https://careteam.jp/column/column066
- 東京保険医協会「2026年度診療報酬改定 中医協答申(抜粋)」 https://www.hokeni.org/docs/2026021200012/