泌尿器科について、クリニックレベルでは特有の増減点は限定的です。収益は共通事項(初再診料、物価対応料、ベースアップ評価料)と、検査・処置の適正算定が中心になります。
一方で、病院に勤務する泌尿器科医にとっては、院内での位置づけが変わる改定でした。回復期リハビリテーション強化体制加算の要件に排尿自立支援加算の届出が組み込まれたためです。
1. 主な変更点
| 項目 | 変更内容 | 新旧点数 | 影響度 |
|---|---|---|---|
| 尿管ステント留置術・前立腺針生検法 | 難易度別の加算が新設・拡充。前立腺針生検は短期滞在手術等基本料の見直し(外来移行誘導)の対象議論に含まれる | 点数不詳(要一次確認) | 中 |
| 在宅自己導尿指導管理料 | 訪問看護ステーションとの連携加算が強化 | 点数不詳(要一次確認) | 小〜中 |
| 排尿自立支援加算 | 新設の「回復期リハビリテーション強化体制加算」の要件に排尿自立支援加算の届出が組み込まれ、病院内の排尿ケアチーム(泌尿器科医関与)の重要性が上昇 | 間接影響 | 中(病院勤務泌尿器科) |
| 過活動膀胱・前立腺肥大症の薬物・検査関連 | 特有の大きな変更は確認できず。残尿測定(55点)・ウロダイナミクス等は改定対象として明示されておらず据え置きの見込み | ―(要一次確認) | 小 |
2. 経営インパクトと対応
(1)外来クリニックは検査・処置の算定精度を上げる。 超音波検査と残尿測定の同日併算定は、摘要欄への記載を徹底しないと査定の対象になります。 頻度の高い組み合わせだけに、取りこぼしと査定の両方が累積します。
(2)在宅部門の管理料を体系化する好機。 在宅自己導尿指導管理料について訪問看護ステーションとの連携評価が強化されました。在宅カテーテル管理を含め、施設訪問診療も視野に入れた在宅部門の管理料算定を体系化するタイミングです。
(3)病院泌尿器科は排尿ケアチームの体制を整備する。 回復期リハビリテーション病棟の強化体制加算(80点/日)の要件に排尿自立支援加算の届出が入ったことで、排尿ケアチームは「泌尿器科の中だけの取り組み」から「病院全体の加算取得に関わる機能」へと位置づけが変わりました。 他病棟へのコンサルト体制を整備し、加算取得に貢献する立ち位置を作ることが、院内での資源配分交渉にも効きます。
(4)前立腺針生検の外来移行議論に注意。 短期滞在手術等基本料の見直しの流れで、外来移行が誘導される対象に含まれる可能性があります。入院で実施している場合は算定方式の再点検が必要です。
3. 実務チェックリスト
- 超音波検査と残尿測定の同日併算定について、摘要欄の記載運用を徹底しているか
- 尿管ステント留置術・前立腺針生検の難易度別加算の内容を一次情報で確認したか
- 前立腺針生検を入院で実施している場合、算定方式を再点検したか
- 在宅自己導尿指導管理料について、訪問看護ステーションとの連携体制を整備したか
- (病院)排尿自立支援加算を届け出ているか
- (病院)回復期リハ病棟からの排尿ケアコンサルトに対応できる体制か
4. AIカルテはこの改定にどう効くか — 機能単位で見る
特有の大きな増点がない年は、算定の精度と在宅・連携領域の積み上げが業績を決めます。ポテックのAIカルテがどう効くのか、機能ごとにご紹介します。
機能1:会計・レセプト管理 — 併算定と摘要記載の抜けを防ぐ
自動算定エンジンが包括・背反・回数制限をチェックし、算定可否を自動判定します。
泌尿器科の外来は、超音波検査・残尿測定・尿検査といった組み合わせが日常的に発生する診療です。同日併算定の可否と摘要欄への記載要否は、件数が多いぶん取りこぼしと査定が累積します。算定ルールがシステム側で判定される状態は、単価の防衛として地味ですが確実に効きます。
機能2:外部連携・API — 在宅・訪問看護との連携を回す
OAuth2ゲートウェイ、MCPサーバー、HAPI FHIRに対応し、外部システムと連携できます。
在宅自己導尿指導管理料の連携評価が強化されたことで、訪問看護ステーションとの情報共有の質が算定に関わるようになりました。 指示書の発行、状態の共有、トラブル時の連絡。これらを紙とFAXで回している限り、在宅患者数を増やすほど事務が破綻します。連携基盤があることが、在宅部門を伸ばせるかどうかの上限を決めます。
機能3:カルテ・オーダー作成 — 排尿ケアの記録を定型化する
診察中の音声からAIがSOAPカルテを生成し、セットオーダーで検査・処方を一括入力できます。
排尿自立支援加算は多職種(医師・看護師・理学療法士等)による評価と計画が算定の裏づけになります。他病棟へのコンサルトが増えれば増えるほど、記録の形式が揃っていることの価値が上がります。テンプレートで粒度を揃えられることは、病院全体の加算取得に貢献する立ち位置を作るうえで実務的な意味を持ちます。
全科共通事項もあわせてご確認ください
泌尿器科の増収は共通事項の取り切りが主軸です。初再診料、物価対応料、ベースアップ評価料、電子的診療情報連携体制整備加算については「全科共通事項」をご確認ください。
出典(主要)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 船井総研「【2026最新】泌尿器科の診療報酬改定まとめ」 https://byoin-clinic-keiei.funaisoken.co.jp/blogs/column/hinyouki20260311
- m-assets「診療報酬改定2026 泌尿器科」 https://m-assets.com/lp/clinic/blog/2026-urology-revision
- GemMed「【答申9】回復期リハビリ病棟、新加算取得やリハビリ実績指数」 https://gemmed.ghc-j.com/?p=73028