眼科は、今回の改定でもっとも打撃が大きい診療科のひとつです。
短期滞在手術等基本料1が大幅に引き下げられ、あわせて施設基準を「病院」に限定する方向が短冊段階で示されました。「入院で行う必要性が乏しい短期滞在手術の外来移行」という国の意図は明確で、背景には白内障手術で「経営上入院が望ましい」が入院理由の24.0%を占めたというデータがあります。
1. 主な変更点
| 項目 | 変更内容 | 新旧点数 | 影響度 |
|---|---|---|---|
| 短期滞在手術等基本料1(日帰り・白内障手術等) | 大幅引き下げ。あわせて施設基準を「病院」に限定する方向が示され、症例選別・運用管理の適正化を重視 | 麻酔を伴う場合 1,588→795点/麻酔を伴わない場合 1,359→680点(約▲50%・要一次確認) | 大 |
| 短期滞在手術等基本料3・入院白内障 | 「入院で行う必要性が乏しい短期滞在手術の外来移行」を明確に誘導。白内障は原則外来へ | 具体点数は要一次確認 | 大 |
| 眼科医療機関連携強化加算(新設) | 生活習慣病管理料の見直しに伴い新設。糖尿病患者で眼科受診が必要な場合の連携を評価。算定は内科側・患者1人年1回 | 新設 60点(要一次確認) | 中(眼科には紹介増のプラス) |
| 近視抑制治療関連の検査 | 選定療養化に伴い、関連検査は「年2回まで」「1回の受診で2種類まで」等の算定制限 | 制限強化(要一次確認) | 小〜中 |
| コンタクトレンズ検査料 | 2026年度に特有の大きな変更は確認できず(現行1〜4の区分・点数は継続とみられる) | ―(要一次確認) | 小 |
2. 経営インパクトと対応
(1)日帰り外来手術への完全移行を急ぐ。 短手1の半減と病院限定の方向により、入院・短期滞在の白内障手術に依存する有床診・中小病院は手術部門の収益が直撃されます。日帰り外来手術への移行、手術枠の増設による件数確保、そして選定療養(多焦点眼内レンズ)比率の引き上げが急務です。
(2)入院を残す場合は医学的適応を文書化する。 全身麻酔が必要な症例、認知症や全身リスクを抱える症例など、医学的な入院適応の根拠をカルテに残す運用を徹底してください。レセプト査定への備えとして必須です。
(3)内科の眼科連携強化加算は追い風。 内科側に新設された60点(年1回)は、糖尿病患者の眼科受診を促す加算です。地域の生活習慣病管理料算定クリニックに対して「糖尿病眼手帳・報告書の返書体制」を提示すれば、網膜症スクリーニングから抗VEGF治療までの患者パイプラインを構築できます。 眼科側が算定する加算ではありませんが、紹介の入口が制度的に作られた意味は小さくありません。
(4)近視抑制治療は算定制限に注意。 選定療養化に伴い、関連検査に「年2回まで」「1回の受診で2種類まで」といった制限が入りました。
3. 実務チェックリスト
- 短手1で算定している白内障手術について、外来(日帰り)への移行可否を検討したか
- 入院を継続する症例について、医学的適応の記録運用を整備したか
- 選定療養(多焦点眼内レンズ)の説明資材と価格掲示を整備したか
- 地域の内科クリニックに対し、糖尿病網膜症の紹介・返書体制を提示したか
- 近視抑制治療の関連検査について、算定回数制限をレセコンに反映したか
- 手術枠の稼働率と1枠あたりの件数を把握しているか
4. AIカルテはこの改定にどう効くか — 機能単位で見る
眼科の2026年は、「入院から外来へ」「保険から選定療養へ」という2つの移行を同時に進める年になりました。ポテックのAIカルテがどう支えるのか、機能ごとにご紹介します。
機能1:会計・レセプト管理 — 保険と選定療養を正しく分ける
自動算定エンジンが包括・背反・回数制限をチェックし、算定可否を自動判定します。
多焦点眼内レンズの選定療養は、保険部分と自費部分を明確に分けて計算する必要がある仕組みです。比率を上げるということは、この計算の件数が増えるということでもあります。近視抑制治療の関連検査に入った「年2回まで」「1回の受診で2種類まで」という制限も同様で、回数管理がシステム側にあることが査定を防ぎます。
機能2:外部連携・API — 内科との紹介・返書を回す
OAuth2ゲートウェイ、MCPサーバー、HAPI FHIRに対応し、外部システムと連携できます。
眼科医療機関連携強化加算は内科側が算定する加算ですが、算定には眼科からの返書が必要です。つまり、返書を確実に返せる眼科ほど紹介を集めやすくなります。紹介元の内科が年1回この加算を算定するたびに、その患者は眼科を受診しているという構造です。連携の手間を下げる仕組みは、そのまま紹介件数の上限を上げます。
機能3:経営分析ダッシュボード — 手術部門の構造変化を数字で追う
来院実績・患者単価・月次推移を自動集計し、可視化します。
入院から外来への移行は、「件数は同じでも収益構造がまったく変わる」変化です。1件あたり収益、選定療養の比率、手術枠の稼働率——これらを分けて見られなければ、移行がうまくいっているのかどうかも判断できません。減収局面では、どこで取り返すかを数字で決める必要があります。
全科共通事項もあわせてご確認ください
初再診料、物価対応料、ベースアップ評価料、電子的診療情報連携体制整備加算などの共通変更点は「全科共通事項」にまとめています。
出典(主要)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 船井総研「2026年診療報酬改定による眼科クリニックへの影響」 https://byoin-clinic-keiei.funaisoken.co.jp/blogs/column/ganka-0477
- HOKUTO「診療報酬改定 短冊①:短期滞在手術等基本料、加算条件を厳格化」 https://hokuto.app/post/jdCgwqPUPsNp1EvamUle
- PRRISM「短期滞在手術等基本料3に関する2026年度診療報酬改定の方向性」 https://www.prrism.com/newscolumns/10560/
- 前山田純書店「生活習慣病管理料は2026年改定でどう変わる?(眼科・歯科連携60点)」 https://www.maeyamadajun-shoten.com/blog/1030