透析部門にとって今回の改定は、「基本点数▲20点+体制加算+20点」という付け替え構造です。
J038人工腎臓の基本点数が全9区分で一律20点引き下げられ、同時に腎代替療法診療体制充実加算(20点/日)が新設されました。加算を取れる施設は従来水準を維持し、取れない施設だけが減収になります。
1. 主な変更点
| 項目 | 変更内容 | 新旧点数 | 影響度 |
|---|---|---|---|
| J038 人工腎臓の基本点数一律引き下げ | 全9区分で一律▲20点 | 慢性維持透析1:4時間未満1,876→1,856点/4〜5時間2,036→2,016点/5時間以上2,171→2,151点、「その他の場合」1,580→1,560点(要一次確認) | 大 |
| 腎代替療法診療体制充実加算(新設) | ①災害対策(マニュアル・訓練年1回)②腹膜透析(在宅自己腹膜灌流指導管理料24回/年)または腎移植(前年2人以上)の実績③シャントトラブル時の連携体制 | 新設 20点/日(要一次確認) | 大 |
| 同加算の経過措置 | 訓練要件は令和9年5月31日まで、実績要件は令和10年5月31日まで適用除外 | ― | 中 |
| 既存加算は据え置き | 時間外・休日加算380点、透析液水質確保加算10点、下肢末梢動脈疾患指導管理加算100点/月、導入期加算各種など変更なし | 据え置き(要一次確認) | 小 |
| 慢性腎臓病(CKD)関連 | 地域包括診療加算等の対象疾患に「慢性腎臓病」(+要介護等)を追加。過疎地域の遠隔連携診療料の対象に慢性維持透析患者を追加 | ―(要一次確認) | 中 |
2. 経営インパクトと対応
加算を取れない場合の減収額は明確に計算できます。 透析1回あたり20点(200円)×年間約156回/人。患者100人規模の施設なら、年間約312万円の実質減収です。
経過措置期間中に、以下を計画的に進めることが最優先です。
(1)災害対策マニュアルの整備と訓練の実施。 年1回の訓練が要件で、日本透析医会等の訓練への参加も選択肢になります。訓練要件の経過措置は令和9年5月31日までです。
(2)腹膜透析プログラムの立ち上げ、または実施施設との実績連携。 在宅自己腹膜灌流指導管理料24回/年という要件は、月2人の管理で到達可能です。PD外来の新設は、加算要件を満たすためだけでなく、高齢者の通院困難への対応という地域ニーズの両面で合理的な選択になります。腎移植の実績(前年2人以上)でも代替できます。実績要件の経過措置は令和10年5月31日までです。
(3)バスキュラーアクセス連携先との事前合意の文書化。 シャントトラブル時の連携体制が要件に含まれます。口頭の了解ではなく、文書として整備しておくべきです。
保存期CKDについては、地域包括診療加算の対象疾患に慢性腎臓病が追加されたことで、かかりつけ機能としての算定機会が広がります。紹介元の内科との役割分担を再設計してください。
3. 実務チェックリスト
- 災害対策マニュアルを整備し、年1回の訓練計画を立てたか(経過措置:令和9年5月31日まで)
- 腹膜透析24回/年、または腎移植2人/年の実績要件をどう満たすか決めたか(経過措置:令和10年5月31日まで)
- シャントトラブル時の連携先と文書で合意したか
- 加算を取得できなかった場合の減収額を試算したか
- 保存期CKD患者について、地域包括診療加算の算定可否を確認したか
4. AIカルテはこの改定にどう効くか — 機能単位で見る
透析施設の2026年は、「体制を整えていることを証明できるか」が1回あたり20点を分ける年になりました。ポテックのAIカルテがどう支えるのか、機能ごとにご紹介します。
機能1:会計・レセプト管理 — 実績要件の達成状況を数える
自動算定エンジンが包括・背反・回数制限をチェックし、加算の算定可否を自動判定します。
腎代替療法診療体制充実加算の実績要件は、「在宅自己腹膜灌流指導管理料を年24回」「腎移植を前年2人以上」という、数えれば分かる要件です。ただし数えられる状態になっていなければ、経過措置の期限直前になって足りないと気づくことになります。算定実績を継続的に把握できる仕組みが、届出の可否判断そのものを支えます。
機能2:経営分析ダッシュボード — 20点の差を経営指標として扱う
来院実績・患者単価・月次推移を自動集計し、可視化します。
透析は患者数×回数という構造が読みやすいぶん、単価の変動が素直に業績へ出ます。 加算取得の有無で年間300万円規模の差が生じる以上、要件の達成状況(訓練実施、PD管理件数、連携体制)を経営指標として月次で追うべきです。経過措置の期限までのカウントダウンを可視化しておくと、対応が後手に回りません。
機能3:カルテ・オーダー作成 — PD外来の記録を定型化する
診察中の音声からAIがSOAPカルテを生成し、セットオーダーで検査・処方を一括入力できます。
腹膜透析プログラムを新たに立ち上げる場合、指導内容の記録が管理料算定の裏付けになります。立ち上げ期は運用が固まっておらず、記録の粒度がばらつきがちです。テンプレートで記録形式を揃えられることは、24回/年という実績要件を確実に積み上げるうえで実務的な意味を持ちます。
全科共通事項もあわせてご確認ください
初再診料、物価対応料、ベースアップ評価料、電子的診療情報連携体制整備加算などの共通変更点は「全科共通事項」にまとめています。
出典(主要)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- 岡大徳「人工腎臓評価見直し・腎代替療法診療体制充実加算」 https://www.daitoku0110.news/p/artificial-kidney-revision-2026
- dialysis-dad-life「2026年透析診療報酬改定 点数比較」 https://dialysis-dad-life.blog/medical-fee-revision-2026-dialysis/
- med-cpa「地域包括診療加算等の見直し」 https://med-cpa.jp/hoshu-14/