脳神経外科にとって今回の改定は、画像診断と血管内治療の2点で明確なプラスです。
MRI撮影は3テスラ以上の機器による撮影が+100点。頭部画像の件数が多いこの科では、純増要因になります。経皮的脳血栓回収術には、頸動脈ステント留置術を併施する区分が新設されました。
1. 主な変更点
| 項目 | 変更内容 | 新旧点数 | 影響度 |
|---|---|---|---|
| MRI撮影(E202)3テスラ以上の増点 | 3T以上の機器による撮影が+100点。1.5T・その他は据え置き | 共同利用:1,620→1,720点/その他:1,600→1,700点/1.5T:1,330点(据え置き)/その他機器:900点(据え置き)(要一次確認) | 大(3T保有施設) |
| 頭部MRI撮影加算 | 継続(3T以上・施設基準届出) | 100点(据え置き・要一次確認) | 小 |
| 経皮的脳血栓回収術(K178-4)の区分新設 | 従来の単一区分から「頸動脈ステント留置術を併施するもの」を新区分として評価 | 33,150点(単一)→ 1 頸動脈ステント併施 47,150点/2 その他 33,150点(要一次確認) | 中(血管内治療実施病院) |
| 超急性期脳卒中加算(A205-2) | 大きな変更は確認できず(据え置き) | 10,800点(入院初日、据え置き・要一次確認) | 小 |
| 脳血管疾患等リハビリテーション料(H001) | 本体据え置き。早期リハ加算再編(1〜3日目60点)・離床を伴わないリハの90%減算は脳卒中リハに直撃 | (Ⅰ)245点/(Ⅱ)200点/(Ⅲ)100点(据え置き・要一次確認) | 中 |
| 脳ドック | 自由診療のため改定の直接対象外。保険側の3T MRI増点による間接影響のみ | ― | 小 |
2. 経営インパクトと対応
(1)3T MRI保有施設は取りこぼしを潰す。 頭部MRI1件あたり+100点は、外来・救急の頭部画像件数が多い脳神経外科では素直な純増です。共同利用の場合は1,720点となるため、共同利用体制の届出も含めて算定区分を確認してください。年間2,000件の施設なら年間20万点=200万円の増収に相当します。
(2)血栓回収の新区分は記載精度が収益差になる。 頸動脈ステント留置術を併施した場合の47,150点は、従来区分(33,150点)との差が14,000点。症例登録と術式記載の精度が、そのまま収益差になります。 包括外の出来高評価であるため、記録の粒度が請求に直結します。
(3)急性期脳卒中リハは「3日以内開始」への傾斜が強まった。 早期リハビリテーション加算が入院1〜3日目60点、4〜14日目25点に再編され、さらに離床を伴わないリハは90%減算となりました。SCU・病棟でのリハ開始日管理(発症・入院からの日数をKPIとして持つ)を導入してください。
3. 実務チェックリスト
- 3T MRIの算定区分(共同利用/その他)が正しく設定されているか
- 頭部MRI撮影加算の施設基準を届け出ているか
- 経皮的脳血栓回収術で頸動脈ステント併施の症例を、新区分で請求できているか
- 術式記載の粒度が、新区分の判別に足りているか
- (入院)リハ開始日を発症・入院からの日数で管理できているか
- (入院)離床を伴わないリハの90%減算をレセコンに反映したか
4. AIカルテはこの改定にどう効くか — 機能単位で見る
脳神経外科の2026年は、増点の機会がある一方で「正しく記録し、正しく請求できているか」が問われる年になりました。ポテックのAIカルテがどう支えるのか、機能ごとにご紹介します。
機能1:会計・レセプト管理 — 増点分を確実に請求に乗せる
自動算定エンジンが包括・背反・回数制限をチェックし、算定可否を自動判定します。
3T MRIの+100点も、血栓回収の新区分47,150点も、「請求に反映されて初めて増収になる」性質のものです。とくに区分が細分化された項目は、旧区分のまま請求され続けても表面上は正常に見えてしまいます。撮影機器や併施手術の情報から算定区分が自動判定される仕組みが、増点を取りこぼさないための前提になります。
機能2:カルテ・オーダー作成 — 術式と実施日を正確に残す
診察中の音声からAIがSOAPカルテを生成し、セットオーダーで検査・処方を一括入力できます。
血栓回収の新区分は**「頸動脈ステント留置術を併施したか」で14,000点が変わります。** 急性期の現場で、この記載が後回しになることは珍しくありません。リハ開始日についても、入院1〜3日目か4日目以降かで60点と25点が分かれます。急性期ほど記録の負担が重く、そして記録が収益を決めます。
機能3:AIアシスタント — 画像・所見の要約で判断を速くする
診断提案・鑑別診断に加え、検査値のトレンド要約、患者向け説明文のパーソナライズを行います。
超急性期脳卒中の診療は、時間そのものが治療成績を決める領域です。過去の画像・投薬歴・併存疾患を短時間で把握できることは、治療開始までの時間短縮に効きます。患者・家族への説明文の生成は、緊急時のインフォームドコンセントという難しい場面を支えます。
全科共通事項もあわせてご確認ください
初再診料、物価対応料、ベースアップ評価料、電子的診療情報連携体制整備加算などの共通変更点は「全科共通事項」にまとめています。
出典(主要)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- しろぼんねっと「E202 磁気共鳴コンピューター断層撮影(令和8年医科点数表)」 https://shirobon.net/medicalfee/latest/ika/r08_ika/r08i_ch2/r08i2_pa4/r08i24_sec3/r08i243_E202.html
- ナレティ「K178-4 経皮的脳血栓回収術(令和8年度点数表)」 https://knowlety.jp/ika/k178-4/
- ナレティ「A205-2 超急性期脳卒中加算(令和8年度点数表)」 https://knowlety.jp/ika/a205-2/
- PT-OT-ST.NET「令和8年 診療報酬改定情報」 https://www.pt-ot-st.net/contents4/medical-treatment-reiwa-8/