整形外科にとって今回の改定は、**「単価は守られたが、継続患者の周辺点数が削られた」**改定です。
運動器リハビリテーション料の本体点数は据え置き((Ⅰ)185点/(Ⅱ)170点/(Ⅲ)85点)。しかし、リハビリテーション総合計画評価料に逓減制が導入され、2回目以降は減点となりました。外来リハを継続する患者の大半がこの影響を受けます。
1. 主な変更点
| 項目 | 変更内容 | 新旧点数 | 影響度 |
|---|---|---|---|
| 運動器リハビリテーション料(H002) | 本体点数は据え置き | (Ⅰ)185点/(Ⅱ)170点/(Ⅲ)85点(据え置き・要一次確認) | 小 |
| リハビリテーション総合計画評価料(H003-2)の逓減制導入 | 「初回」「2回目以降」に細分化し、2回目以降を減点(月1回算定) | 評価料1:300点→初回300点・2回目以降240点/評価料2:240点→初回240点・2回目以降196点(要一次確認) | 大 |
| 早期リハビリテーション加算の再編 | 算定可能期間を入院14日目までに短縮する一方、入院3日目以内を大幅増点 | 25点(30日)→入院1〜3日目60点、4〜14日目25点(要一次確認) | 中 |
| 急性期リハビリテーション加算 | 重症患者への発症後14日間の評価として継続 | 50点/単位(据え置き・要一次確認) | 小 |
| 離床を伴わないリハの減算(新設) | ベッド上のみの拘縮予防等の他動訓練は疾患別リハ点数の100分の90、1日2単位まで | 所定点数×90/100【新設・要一次確認】 | 中(入院リハ) |
| リハビリテーションデータ提出加算 | データ提出評価(月1回) | 50点(要一次確認) | 小 |
| 消炎鎮痛等処置(J119) | 大きな変更は確認できず(据え置き)。同一日複数療法は主たるもののみ等の従来ルール継続 | 手技・器具・湿布とも35点(据え置き) | 小 |
2. 経営インパクトと対応
(1)外来リハ主体のクリニックは、総合計画評価料の逓減が効く。 継続患者の大半は「2回目以降240点」となります。月200人規模で算定していれば、月あたり約12,000点=約12万円、年間約144万円の減収に相当します。計画書作成と多職種カンファレンスの業務量に見合うかを再評価するとともに、算定患者の初回/2回目以降フラグをレセコンで正しく管理できているかを6月に遡って点検してください。
(2)入院(急性期)は「早く、離床させて」がキーワード。 入院1〜3日目への大幅増点(25点→60点)と、離床を伴わないリハの90%減算がセットで入りました。術後即日〜翌日にリハを開始できる運用(土日を含む配置)に組み替えられるかが、増収と減収の分かれ目です。
(3)物理療法依存モデルは今回も評価されなかった。 消炎鎮痛等処置(35点)は据え置きで、増点はありません。リハビリテーション料(Ⅰ)〜(Ⅱ)の取得と運動器リハへの移行が、引き続き基本戦略です。
3. 実務チェックリスト
- リハビリテーション総合計画評価料の「初回/2回目以降」をレセコンで判別できているか
- 6月以降のレセプトで、逓減後の点数が正しく適用されているか点検したか
- 継続患者の逓減による減収額を試算したか
- (入院)術後1〜3日目にリハを開始できる人員配置になっているか
- (入院)離床を伴わないリハの対象患者を把握し、90%減算をレセコンに反映したか
- リハビリテーションデータ提出加算を届け出ているか
4. AIカルテはこの改定にどう効くか — 機能単位で見る
整形外科の2026年は、「何回目の算定か」「いつ開始したか」「離床を伴ったか」という条件が点数を分ける年になりました。ポテックのAIカルテがどう支えるのか、機能ごとにご紹介します。
機能1:会計・レセプト管理 — 「初回か2回目以降か」を機械的に判定する
自動算定エンジンが包括・背反・回数制限をチェックし、算定可否を自動判定します。
総合計画評価料の逓減は、患者ごとに「これは初回か、2回目以降か」を正しく判定できて初めて正しく請求できます。 外来リハを継続する患者を数百人抱えるクリニックで、この判定を手作業で行うのは現実的ではありません。誤って初回点数で請求すれば返戻となり、逆に初回を2回目以降で請求すれば取り損です。算定回数がシステムで管理されている状態が前提になります。
機能2:カルテ・オーダー作成 — リハ開始日と離床の有無を記録する
診察中の音声からAIがSOAPカルテを生成し、セットオーダーで検査・処方を一括入力できます。
入院リハでは、「入院何日目に開始したか」が60点と25点を分け、「離床を伴ったか」が90%減算の対象かどうかを分けます。 これらは実施記録に残っていなければ証明できません。療法士の記録形式を揃えられることは、単価の防衛に直結します。
機能3:経営分析ダッシュボード — 逓減後の実質単価を把握する
来院実績・患者単価・月次推移を自動集計し、可視化します。
総合計画評価料の逓減は、気づかないうちに単価がじわじわ下がるタイプの改定です。「リハ患者は増えているのに収益が伸びない」という状態になったとき、原因が逓減にあるのか稼働率にあるのかを切り分けられなければ手の打ちようがありません。初回/2回目以降の構成比を月次で見られる状態が、対策の出発点になります。
全科共通事項もあわせてご確認ください
初再診料、物価対応料、ベースアップ評価料、電子的診療情報連携体制整備加算などの共通変更点は「全科共通事項」にまとめています。
出典(主要)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- クレドメディカル「令和8年度改定|リハビリテーション総合計画評価料の見直し」 https://www.credo-m.co.jp/column/detail/hosyu/25659/
- ナレティ「運動器リハビリテーション料(令和8年度点数表)」 https://knowlety.jp/ika/h002/
- ナレティ「リハビリテーション総合計画評価料(令和8年度点数表)」 https://knowlety.jp/ika/h003-2/
- PT-OT-ST.NET「令和8年 診療報酬改定情報」 https://www.pt-ot-st.net/contents4/medical-treatment-reiwa-8/