小児科の今回の改定は、点数面ではほぼ据え置きです。小児科外来診療料も小児かかりつけ診療料も、初診は据え置き、再診が再診料の引き上げに連動して+1点。増収余地は共通事項(外来・在宅物価対応料、ベースアップ評価料)側に依存します。
変わったのは点数ではなく、算定要件として何を求められるかです。小児かかりつけ診療料に「発達障害の疑いがある患者への相談対応・専門機関への紹介」「育児不安等への適切な対応」がかかりつけ機能として明記されました。
1. 主な変更点
| 項目 | 変更内容 | 新旧点数 | 影響度 |
|---|---|---|---|
| 小児科外来診療料(B001-2) | 本体は初診据え置き。再診時の包括点数が+1点(再診料引き上げの反映)。算定除外(パリビズマブ・ニルセビマブ投与中等)は継続 | 初診:処方箋交付604点/交付なし721点(据え置き)。再診:処方箋交付410→411点、交付なし528→529点(要一次確認) | 小 |
| 小児かかりつけ診療料(B001-2-11) | 本体は初診据え置き・再診+1点。算定要件に「発達障害の疑いがある患者への相談対応・専門機関への紹介」「育児不安等への適切な対応」を明記。発達障害・虐待に関する研修修了は「望ましい」と位置づけ | 診療料1:初診652/769点(据え置き)、再診458→459点/576→577点。診療料2:初診641/758点、再診447→448点/565→566点(要一次確認) | 中 |
| 小児特定疾患カウンセリング料(B001-4) | 令和6年度に再編された体系を維持。当該科特有の大きな変更は確認できず | 医師:初回800点、1年以内600/500点、2年以内500/400点、4年以内400点、公認心理師200点(据え置き・要一次確認) | 小 |
| 時間外・休日・深夜対応 | 小児科特例自体の特有の変更は確認できず。小児かかりつけ診療料の施設基準として時間外対応加算1/3(診療料1)、2/4または初期小児救急への年6回以上参加(診療料2)が引き続き要求される | ― | 小 |
| 発達障害関連 | 小児科単独の新設点数は確認できず。児童思春期関連の新評価は精神科側(通院・在宅精神療法の児童思春期支援指導加算2新設等・精神科標榜が前提)に置かれた | ― | 中 |
2. 経営インパクトと対応
特有項目での増収インパクトは限定的です。したがって、共通事項の取り切りが実質的な増収策になります。小児科は再診の回転が速く患者数も多いため、再診時の物価対応料2点・ベースアップ評価料4〜6点の積み上がりは決して小さくありません。
一方、小児かかりつけ診療料は「相談機能が実体として存在するか」を問う改定になりました。返還リスク対策として、以下の3点の標準化が必要です。
- 同意書・説明文書の整備
- 発達障害の疑いがある患者への相談・紹介の記録
- 時間外対応の運用記録
発達障害研修は現時点で「望ましい」という位置づけですが、次回改定で要件化される可能性が高いと見るべきです。今期中の受講をおすすめします。
20歳未満の心理社会的支援を強化したい場合、精神科標榜を追加し、通院精神療法の児童思春期支援指導加算2(新設・実績要件が緩い区分)を狙うという選択肢もあります。詳しくは精神科の改定記事をご覧ください。
3. 実務チェックリスト
- 小児かかりつけ診療料の同意書・説明文書を最新の要件に合わせて更新したか
- 発達障害の疑いがある患者への相談・紹介をカルテに記録する運用になっているか
- 育児不安等への対応を記録として残しているか
- 時間外対応の実績(時間外対応加算の区分、初期小児救急への参加回数)を記録できているか
- 発達障害・虐待に関する研修の受講計画を立てたか
4. AIカルテはこの改定にどう効くか — 機能単位で見る
小児科の2026年は、点数ではなく「かかりつけ機能を果たしていることを記録で示せるか」が問われる年になりました。ポテックのAIカルテがどう支えるのか、機能ごとにご紹介します。
機能1:カルテ・オーダー作成 — 相談対応を記録として残す
診察中の音声からAIがSOAPカルテを生成し、セットオーダーで検査・処方を一括入力できます。
発達の相談、育児不安への対応、専門機関への紹介——これらは日常の診察の流れのなかで自然に発生し、そして記録に残りにくいやり取りです。小児科は1日の患者数が多く、1件あたりの記録に割ける時間は限られます。音声からカルテが生成される仕組みは、算定要件として明記された相談機能を「やったが記録がない」状態にしないという意味で、この科では特に効きます。
機能2:患者向けPHRアプリ「ポテ君」連携 — 保護者との接点を持つ
受診予約、LINEログインとPush通知、服薬リマインダに対応します。
小児科は保護者との継続的な関係が「かかりつけ」の実体です。予防接種のスケジュール、乳幼児健診の案内、感染症流行期の受診の目安。これらが保護者側に届く仕組みは、かかりつけ機能の実践そのものであり、同時にマイナ保険証利用率30%という共通要件(電子的診療情報連携体制整備加算)を満たすうえでも効いてきます。
機能3:経営分析ダッシュボード — 季節変動のなかで実績を読む
来院実績・患者単価・月次推移を自動集計し、可視化します。
小児科は感染症の流行に業績が大きく左右される科です。共通事項の取り切りが増収の主軸である以上、「患者数の増減」と「1人あたり単価の増減」を分けて見られる状態が要ります。物価対応料・ベースアップ評価料が正しく乗っているかは、単価の推移を見れば分かります。
全科共通事項もあわせてご確認ください
初再診料、物価対応料、ベースアップ評価料、電子的診療情報連携体制整備加算などの共通変更点は「全科共通事項」にまとめています。患者数の多い小児科では、共通事項の取り切りが増収の主軸になります。
出典(主要)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- ナレティ「小児科外来診療料(令和8年度点数表)」 https://knowlety.jp/ika/b001-2/
- ナレティ「小児かかりつけ診療料(令和8年度点数表)」 https://knowlety.jp/ika/b001-2-11/
- しろぼんねっと「B001-4 小児特定疾患カウンセリング料(令和8年度医科点数表)」 https://shirobon.net/medicalfee/latest/ika/r08_ika/r08i_ch2/r08i2_pa1/r08i21_sec1/r08i211_cls1/r08i2111_B001_0_4.html
- m-assets「小児かかりつけ診療料2026の算定戦略」 https://m-assets.com/lp/clinic/blog/shoni-kakaritsuke-santei-unyo