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精神科の2026年度診療報酬改定 — 非指定医の60%減算と児童思春期の追い風

通院・在宅精神療法に注13が新設され、施設基準を満たさない非指定医は所定点数の100分の60で算定することになりました。一方で児童思春期支援指導加算2が新設され減算除外の通知も出ており、20歳未満の診療は明確な追い風です。公認心理師の活用余地も大きく広がりました。

2026年7月30日

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精神科は、今回の改定でもっとも構造的な影響を受ける診療科です。

通院・在宅精神療法に注13が新設され、施設基準を満たさない非指定医は所定点数の100分の60で算定することになりました。例えば再診30分未満で、指定医315点/非指定医(基準適合)290点/非指定医(基準非適合)174点。非指定医中心のクリニックでは、外来収益の根幹が直撃されます。

一方で、児童思春期領域には明確な追い風が吹いています。

1. 主な変更点

項目変更内容新旧点数影響度
通院・在宅精神療法(I002)初診の時間区分指定医による初診の評価を引き上げ、30分以上60分未満の新区分を追加初診60分以上(指定医)600→650点。初診30分以上60分未満(指定医)550点【新設】。非指定医の初診60分以上550点(要一次確認)
非指定医の60%減算・注13(新設)注13施設基準を満たさない非指定医の通院・在宅精神療法は所定点数の100分の60に減算。基準は「令和8年5月31日時点で精神医療に20年以上従事」または「過去1年間の医療観察法診察・保健所/児童相談所嘱託医等の行政業務従事」。減算時は3種類以上の抗うつ薬・抗精神病薬投与で算定不可、心理支援加算の併算定不可例:再診30分未満 指定医315点/非指定医(基準適合)290点/非指定医(基準非適合)174点(要一次確認)
減算除外の通知(2回発出)2026/5/1:急性期病院で精神科救急等届出。2026/5/29:障害者施設等入院基本料届出病院、児童思春期精神科専門管理加算・児童思春期支援指導加算届出機関の20歳未満患者等
児童思春期支援指導加算加算1は引き上げ。実績要件を緩和した加算2を新設(過去3か月の20歳未満初診が月平均4人以上等)加算1:初診3月以内60分以上1,000→1,100点、2年以内450→490点、その他250→290点。加算2【新設】:500/400/100点(要一次確認)
精神科地域密着多機能体制加算(新設)精神病床350床以下かつ精神病床比率65%以上の小規模多機能病院を評価。平均在院日数150日以内、退院後6か月以内の自宅等移行率60%以上、多職種配置等が要件加算1:800点、加算2:250点、加算3:50点【新設・要一次確認】大(対象病院)
心理支援加算点数引き上げ+対象を心的外傷起因症状から「神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害」へ拡大。実施者要件(精神科標榜機関で週22時間以上・1年以上勤務の公認心理師)を明確化250→280点(月2回まで)(要一次確認)
認知療法・認知行動療法公認心理師による心理支援を伴う場合330点を新設。対象疾患に不眠症を追加(不眠症は8回限度、他は16回)。医師480点・医師看護師共同350点は据え置き330点【新設・要一次確認】
初診の情報通信機器を用いた精神療法(新設)遠隔での初診精神療法を新設(保健所等との連携、患者側への精神保健福祉専門職同席等が要件)60分以上566点、30分以上60分未満479点【新設・要一次確認】
精神科デイ・ケア基本点数は据え置き(小規模590点・大規模700点)。長期(3年超・週3日超)90/100逓減は令和6年度からの継続据え置き(要一次確認)
精神科訪問看護医科点数表側(I012)の大きな点数変更は確認できず。訪問看護療養費側で機能強化型訪問看護管理療養費4を新設機能強化型4:月初日9,030円【新設・要一次確認】

2. 経営インパクトと対応

(1)まず注13の充足状況を棚卸しする。 勤務医・管理者について、精神保健指定医資格の有無、精神医療への従事年数(20年以上)、行政業務(医療観察法診察、保健所・児童相談所嘱託医等)の従事実績を確認してください。該当するなら速やかに届出、該当しないなら減収額を試算し、指定医の診療配置を見直す必要があります。

(2)減算除外の適用可否を確認する。 2026年5月に2回、除外通知が発出されています。とくに児童思春期精神科専門管理加算・児童思春期支援指導加算の届出機関における20歳未満患者は除外対象とされており、児童思春期領域を持つかどうかで状況が変わります。

(3)児童思春期は参入障壁が下がった。 実績要件を緩和した加算2が新設され(過去3か月の20歳未満初診が月平均4人以上等)、さらに減算除外もかかります。20歳未満初診の実績管理と、児童思春期精神医療研修の受講を進める価値が高い局面です。

(4)公認心理師の活用余地が大幅に広がった。 心理支援加算の対象拡大(神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害)と、認知行動療法330点の新設。雇用要件(精神科標榜機関で週22時間以上・1年以上勤務)を満たす体制を設計すれば、外来単価の底上げが可能です。ただし注13適用時は心理支援加算と併算定できません。

(5)350床以下の多機能型精神科病院は、地域密着多機能体制加算(最大800点)が大型の増収項目になります。在院日数・自宅等移行率のKPI管理体制を整備してください。

3. 実務チェックリスト

  • 在籍医師の注13該当性(指定医資格/20年従事/行政業務従事)を棚卸ししたか
  • 減算除外通知(2026/5/1、2026/5/29)の適用可否を確認したか
  • 20歳未満初診の月平均人数を集計し、児童思春期支援指導加算2の要件を満たすか確認したか
  • 公認心理師の勤務時間(週22時間以上・1年以上)が要件を満たすか確認したか
  • 心理支援加算の対象疾患拡大をレセコンに反映したか
  • 抗うつ薬・抗精神病薬3種類以上の患者を抽出し、減薬計画を立てたか

4. AIカルテはこの改定にどう効くか — 機能単位で見る

精神科の2026年は、「誰が」「何分」「どんな処方で」診たかが点数を決める年になりました。ポテックのAIカルテがどう支えるのか、機能ごとにご紹介します。

機能1:会計・レセプト管理 — 医師・時間・処方の組み合わせで算定を判定する

自動算定エンジンが包括・背反・回数制限をチェックし、算定可否を自動判定します。

この科の算定ルールは、今回の改定で**「担当医が指定医か」「注13基準に適合するか」「診療時間はどの区分か」「向精神薬は何種類か」「除外通知の対象患者か」という複数条件の掛け算**になりました。これを人の判断だけで運用するのは無理があります。処方の時点で「この処方だと算定できない」と分かる仕組みは、月末に気づくより遥かに実務的です。

機能2:カルテ・オーダー作成 — 診療時間と内容を確実に残す

診察中の音声からAIがSOAPカルテを生成し、セットオーダーで検査・処方を一括入力できます。

初診に「30分以上60分未満」という区分が入り、診療時間の記録が直接点数を決めるようになりました。精神療法は記録の負担が大きい診療であり、時間区分と内容を正確に残すことは指導対策としても不可欠です。音声からカルテが生成される仕組みは、診察に集中しながら記録を残せるという点で、この科では特に価値があります。

機能3:経営分析ダッシュボード — 児童思春期の実績を管理する

来院実績・患者単価・月次推移を自動集計し、可視化します。

児童思春期支援指導加算2の要件は「過去3か月の20歳未満初診が月平均4人以上」。これは追跡していなければ達成しているかどうかも分からない要件です。 減算除外の適用にも関わるため、20歳未満初診の月次推移は、この科でもっとも重要な管理指標のひとつになりました。注13による減収額の把握も同じ仕組みで行えます。

全科共通事項もあわせてご確認ください

初再診料、物価対応料、ベースアップ評価料、電子的診療情報連携体制整備加算などの共通変更点は「全科共通事項」にまとめています。

出典(主要)

この診療科の経営トレンドを読む精神科クリニックの経営トレンド2026 — 「診療+デイケア+訪問看護」の面的展開
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本記事の位置づけ本記事の点数・加算・改定内容・費用相場は、コンサルティング会社・税理士法人・各医療機関の公表資料等の二次情報を基に整理したものです。実際の算定・届出・投資判断にあたっては、厚生労働省の告示・通知等の一次情報を必ずご確認ください。

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