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電子カルテの保守費用・更新費用の相場|ランニングコストの中身と確認すべき点

2026年8月28日

電子カルテの保守費用・更新費用の相場|ランニングコストの中身と確認すべき点
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電子カルテの費用を検討するとき、比較の中心になるのは初期費用と月額です。しかし実際に負担として効いてくるのは、導入後に毎年かかる保守費用と、数年ごとに発生する更新(更改)費用です。

「月額は安かったが、5年目のサーバー更改で数百万円かかった」——後から気づく類の費用がここに集中しています。

本記事では、保守費用と更新費用の中身、クラウドとオンプレミスでの意味の違い、そして見積書で何を分けて確認すべきかを整理します。導入費用を含めた全体像は 電子カルテの費用相場まとめ をご覧ください。

免責:本記事は一般的な情報提供です。具体的な金額は製品・構成・診療科・規模によって大きく変わるため、断定的な相場額は扱いません。必ず複数社から見積もりを取得してください。

「保守費用」は何に対する費用か——4つの中身

保守費用は一つの費目に見えますが、実際には性質の違う4つが束ねられています。契約書でどこまで含まれるかは製品ごとに違います。

中身内容確認すべき点
① 障害対応動かなくなったときの復旧対応時間帯、駆けつけの有無、応答時間の目安
② 問い合わせ対応操作方法、設定変更の相談回数制限の有無、電話/メール/訪問の別
③ アップデート機能追加、不具合修正含まれるか、別料金か
④ 制度改定対応診療報酬改定、法令改正への追随改定年に別料金が発生しないか

**④が最も金額の差が出る項目です。**診療報酬改定は2年ごと(診療報酬改定DX により施行時期が6月へ移行)にあり、マスタと算定ロジックの更新が必要になります。ここが保守費に含まれているか、改定年ごとに別途請求されるかで、数年の総額が変わります。

クラウドとオンプレミスで「保守費」の意味が違う

同じ「保守費用」という言葉が、両者で指すものが違う点に注意が必要です。

クラウド型オンプレミス型
保守費の位置づけ月額に含まれることが多い別建ての保守契約として発生
含まれやすいものアップデート、サーバー運用、バックアップソフトの障害対応、問い合わせ
別料金になりやすいもの端末追加、オプション機能サーバー機器の保守、OS更新、ハードウェア故障
数年後の更新費生じにくいハードウェア更改費が発生する

**オンプレミスでは「ソフトの保守」と「ハードの保守」が別契約になっていることがあります。**片方だけを見て「保守費はこの金額」と理解すると、実際の負担を見誤ります。

クラウドとオンプレミスの全体比較は クラウド型 vs オンプレミス型 電子カルテ徹底比較 をご覧ください。

更新(更改)費用とは何か

オンプレミス型で数年ごとに発生するのが更新費用です。内訳は主に次の3つです。

① ハードウェアの更改 院内サーバーやクライアント端末には耐用年数があります。メーカーの保守期限を過ぎると、故障時の部品供給が止まります。

② OS・ミドルウェアのサポート終了対応 サーバーOSやデータベースにはサポート期限があります。期限切れの環境を使い続けることは、3省2ガイドライン の観点でも問題になります。

③ ソフトウェアのバージョンアップ 古いバージョンのサポートが終了し、新バージョンへの移行が必要になる場合があります。このとき、実質的に再導入に近い作業とデータ移行が発生することがあります。

更新のサイクルは一般に5年前後が目安とされますが、機器構成や保守方針によって変わります。重要なのは、その周期と概算を導入時点で確認しておくことです。

見積書で分けて確認すべき項目

「月額◯円」「保守費 年◯円」という表示だけでは判断できません。次の粒度で分解して聞くのが実務的です。

費目聞き方
月額/年額の基本料何が含まれるか。端末数・利用者数で変わるか
端末追加の単価1台増やすといくらか
オプション機能予約、Web問診、画像連携、AI機能などの追加料金
制度改定対応改定年に別料金が発生するか
障害対応時間帯、訪問の有無、時間外は別料金か
問い合わせ回数制限、時間外の扱い
バックアップ・データ保管含まれるか。保管期間はどれだけか
ハードウェア保守(オンプレ)何年間か、延長できるか、期限後はどうなるか
更改費用(オンプレ)想定周期と概算
データ移行・返却(解約時)費用と形式

**最後の項目は解約時にしか発生しませんが、導入時に確認すべきです。**解約が決まってから聞くと、交渉の余地がありません。詳しくは 電子カルテのベンダーロックインをどう避けるか をご覧ください。

保守費が上がりやすい/別料金になりやすい場面

実際に「聞いていた金額と違う」となりやすいのは、次の場面です。

① 端末を増やしたとき 分院展開、スタッフ増員、診察室追加。ライセンス体系が端末数・ユーザー数連動なら、増員のたびに月額が上がります。

② 診療報酬改定の年 改定対応が保守費に含まれない契約では、改定のたびに費用が発生します。

③ オプションを後から足したとき 導入時に「まずは基本機能で」と絞ると、後から追加するオプションが積み上がります。3年後の構成を想定して初期見積もりを取るのが実務的です。

④ サポート形態を上げたとき 電話のみ→訪問あり、平日のみ→時間外対応。運用が始まってから必要性に気づくことが多い領域です。

⑤ データ量が増えたとき 画像を多く扱う診療科では、保管容量に応じた課金が効いてくる場合があります。

5年総額(TCO)で比較する

保守費と更新費を含めて比較するには、5年間の総額で並べるのが実務的です。

5年総額 = 初期費用
        + 月額 × 60か月
        + 保守費 × 5年(月額に含まれない場合)
        + 改定対応費 × 改定回数(含まれない場合)
        + オプション追加分
        + 更改費用(オンプレの場合、5年目に発生する想定額)
        + 端末増加分(見込み)

**この式で並べると、初期費用と月額だけの比較とは順位が変わることがあります。**特にオンプレミス型は5年目の更改費が乗るため、5年より長い期間で見るとさらに差が開きます。

補助金が使える場合は初期費用の負担を下げられますが、**保守費・更新費は原則として自院の負担が続きます。**制度は年度ごとに変わるため、最新の公募要領を確認してください(電子カルテに使える補助金2026)。

契約書で見ておく条項

金額表だけでなく、契約条項にも確認すべき点があります。

  • 値上げ条項:保守費の改定条件、通知期間
  • サポート終了:現行バージョンのサポート期限、終了時の選択肢
  • 契約期間と解約:最低利用期間、中途解約時の違約金
  • データの返却:解約時に何を、どの形式で、いつまでに受け取れるか
  • 責任分界:障害時にどこまでがベンダーの責任か(AI電子カルテのセキュリティ設計と責任分界

ベンダーへの質問リスト

そのまま商談で使える形にまとめます。

  1. 保守費用に、診療報酬改定への対応は含まれますか。改定年に別料金は発生しますか
  2. 保守費用に、アップデートは含まれますか
  3. 障害時の対応は何時から何時までですか。時間外は別料金ですか。訪問対応はありますか
  4. 問い合わせに回数制限はありますか
  5. 端末を1台追加すると、月額はいくら増えますか
  6. (オンプレの場合)ハードウェア保守は何年間ですか。期限後はどうなりますか
  7. (オンプレの場合)更改の想定周期と概算額を教えてください
  8. バックアップとデータ保管は含まれますか。保管期間は何年ですか
  9. 保守費用の値上げ条件は契約書のどこに書かれていますか
  10. 解約時、データを受け取る費用と形式を教えてください

1番と7番を最初に聞くと、その後の議論が具体的になります。

まとめ

  • 保守費用は①障害対応 ②問い合わせ ③アップデート ④制度改定対応の4つが束ねられたもの。契約ごとに含まれる範囲が違う
  • 最も金額差が出るのは改定対応が含まれるかどうか
  • クラウドとオンプレミスで**「保守費」が指すものが違う**。オンプレはソフトとハードで契約が分かれていることがある
  • 更新(更改)費用はオンプレ特有で、目安は5年前後。ハードウェア・OS・ソフトのバージョンアップが重なる
  • 上振れしやすいのは端末追加・改定年・後付けオプション・サポート形態の変更・データ量増加
  • 比較は**5年総額(TCO)**で並べる。初期費用と月額だけの比較とは順位が変わることがある
  • 契約書では値上げ条項・サポート終了・解約時のデータ返却を確認する
  • 質問は**「改定対応は含まれるか」「更改の周期と概算は」**から始めると具体的になる

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