糖尿病内科は、生活習慣病管理料の「質評価」シフトの影響を最も強く受ける診療科です。
本体点数(糖尿病760点)は据え置きですが、充実管理加算の相対評価が導入され、HbA1c管理率・眼科/歯科受診率・腎症フォロー率といった指標が上位区分の獲得を左右する構造になりました。加えて、眼科・歯科との連携そのものが点数化されています。
1. 主な変更点
| 項目 | 変更内容 | 新旧点数 | 影響度 |
|---|---|---|---|
| 生活習慣病管理料 | 血液検査6月1回要件化・署名廃止・充実管理加算(30/20/10点)新設。HbA1c等のアウトカム指標が相対評価に直結 | (Ⅰ)760点(糖尿病)据え置き(要一次確認) | 大 |
| 眼科医療機関連携強化加算・歯科医療機関連携強化加算(新設) | 糖尿病患者について眼科・歯科への受診勧奨・連携を評価(年1回) | 各60点 新設(要一次確認) | 中 |
| 在宅自己注射指導管理料の併算定要件緩和 | 糖尿病を主病とする生活習慣病管理料算定患者でも、糖尿病以外の疾患に係る在宅自己注射指導管理料が算定可能に | ―(要一次確認) | 中 |
| 糖尿病透析予防指導管理料 | 生活習慣病管理料(Ⅱ)の包括範囲外として明記(併算定可の整理)。本体点数の変更は確認できず | 350点(据え置きとみられる・要一次確認) | 中 |
| isCGM(間歇スキャン式持続血糖測定器)の選定療養化 | 2026年6月1日から、保険要件を満たさない患者(境界型・予防目的等)へ自費併用で提供可能に。料金のWeb掲載・院内掲示・厚生局届出が義務 | 保険外(要一次確認) | 中 |
2. 経営インパクトと対応
充実管理加算の相対評価では、疾病管理台帳(レジストリ)運用と未受診者リコールの仕組み化が上位区分獲得の条件になります。上位20%と「それ以外」で20点の差。対象患者を月200人抱えるクリニックなら年間約48万円の差です。
眼科・歯科連携強化加算(各60点・年1回)は単価こそ小さいものの、紹介状運用を標準化すれば手間なく積み上がります。 糖尿病患者200人のクリニックで両方を年1回算定できれば、年間24,000点=24万円。しかも合併症管理の質評価にも波及するため、充実管理加算の区分にも効きます。逆に言えば、「網膜症スクリーニングを勧めてはいるが記録に残っていない」状態は二重の機会損失です。
透析予防指導管理料の併算定整理により、多職種チーム(看護師・管理栄養士)の稼働価値が上がりました。外来スケジュールに指導枠を組み込むことをおすすめします。
isCGMの選定療養化は、境界型・予防ニーズに対する自費メニューとして新しい収益源になり得ます。ただし、料金のWeb掲載・院内掲示・厚生局への届出・同意取得というコンプライアンス整備が前提です。
3. 実務チェックリスト
- 糖尿病患者の眼科・歯科受診状況を記録・抽出できる状態か
- 眼科・歯科への紹介状と返書の運用を標準化したか
- 生活習慣病管理料(Ⅰ)算定患者の最終採血日を抽出できるか
- 透析予防指導管理料の指導枠を外来スケジュールに組み込んだか
- isCGMを選定療養として提供する場合、Web掲載・院内掲示・届出を済ませたか
4. AIカルテはこの改定にどう効くか — 機能単位で見る
糖尿病内科の2026年は、「診ているかどうか」ではなく「合併症まで含めて管理できていることを示せるか」が評価される年になりました。ポテックのAIカルテがどう支えるのか、機能ごとにご紹介します。
機能1:会計・レセプト管理 — 年1回・6か月1回の期限を機械的に管理する
自動算定エンジンが包括・背反・回数制限をチェックし、加算の算定可否を自動判定します。
この科は期限管理の要件が集中しています。生活習慣病管理料(Ⅰ)の6か月採血、眼科・歯科連携強化加算の年1回、透析予防指導管理料の月1回。「誰が、いつ、何を最後に受けたか」を人の記憶で管理するのは、対象患者が数百人になると現実的ではありません。 未実施患者を抽出できる仕組みが、そのまま算定漏れの防止になります。
機能2:経営分析ダッシュボード — 充実管理加算の区分を狙って動く
来院実績・患者単価・月次推移を自動集計し、可視化します。
充実管理加算は相対評価です。HbA1c管理率、眼科受診率、歯科受診率、腎症フォロー率——これらを月次で見られなければ、上位区分を狙うも何もありません。 経過措置(令和9年3月まで加算1扱い)の期間中に実績を積み上げるには、まず自院の現在地を数字で知る必要があります。
機能3:AIアシスタント — 検査値のトレンドを要約する
診断提案・鑑別診断に加え、検査値のトレンド要約、患者向け説明文のパーソナライズを行います。
糖尿病の管理は、HbA1c・血糖・腎機能・脂質という複数の時系列を長期にわたって追う仕事です。数値の羅列ではなく「この6か月で何が変化したか」を要約できることは、限られた診察時間のなかで判断の質を上げます。患者向け説明文の生成は、療養計画の説明や眼科・歯科受診の勧奨といった「納得してもらう」プロセスにも効きます。
全科共通事項もあわせてご確認ください
初再診料、物価対応料、ベースアップ評価料、電子的診療情報連携体制整備加算などの共通変更点は「全科共通事項」にまとめています。
出典(主要)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
- med-cpa「生活習慣病管理料の見直しを徹底解説」 https://med-cpa.jp/hoshu-13/
- 佐々木総研「生活習慣病管理料・充実管理加算」 https://www.sasakigp.co.jp/column/10029734
- 前山田純書店「生活習慣病管理料は2026年改定でどう変わる?(眼科・歯科連携60点)」 https://www.maeyamadajun-shoten.com/blog/1030
- note「isCGM選定療養の解説」 https://note.com/apotheke_umschau/n/naba2d27f7eb8