「昼休みに来た患者に時間外加算は付けられるのか」「土曜の午後は時間外か、夜間・早朝等加算か」「診療時間内なのに急患で遅くなった場合は?」。医療事務スタッフや事務長から、時間外まわりの加算の判定について、こうした確認の声をよく聞きます。時間外・休日・深夜・夜間早朝等の加算は、時刻だけでなく「表示する診療時間」と「受診の事情」で決まるため、設定を誤ると過剰請求や取りこぼしにつながります。
本記事では、令和8年(2026年)の診療報酬点数表と留意事項通知にもとづき、初診料・再診料の時間外加算・休日加算・深夜加算の点数と判定ルール、夜間・早朝等加算との違いを整理します。加算全体の一覧は初診料の加算一覧と再診料の加算一覧にまとめています。
本記事は2026年10月22日時点の公表情報にもとづく一般的な情報提供です。算定にあたっては、必ず最新の告示・通知および所管の地方厚生(支)局の案内でご確認ください。
点数の一覧(告示)
初診料(A000 注7)と再診料(A001 注5)の時間外・休日・深夜加算の点数は次のとおりです。
| 区分 | 初診料 | 再診料 | 6歳未満(初診) | 6歳未満(再診) |
|---|---|---|---|---|
| 時間外加算 | 85点 | 65点 | 200点 | 135点 |
| 休日加算 | 250点 | 190点 | 365点 | 260点 |
| 深夜加算 | 480点 | 420点 | 695点 | 590点 |
- 対象は「保険医療機関が表示する診療時間以外の時間(深夜と休日を除く)」「休日(深夜を除く)」「深夜」です。
- 6歳未満の乳幼児にはそれぞれ別の点数があり、乳幼児加算とは併せて算定しません(初診は注6、再診は注4のただし書)。
時間外・休日・深夜の判定ルール(通知)
時間外加算
- 標準の時間帯:概ね午前8時前と午後6時以降(土曜日は午前8時前と正午以降)。休日加算の対象となる休日以外で終日休診日としている日は、その休診日も含まれます。
- 診療時間を午前中と午後6時以降にしている場合など、この標準によることが困難な医療機関は、その表示する診療時間以外の時間を時間外として取り扱います。
- 常態として診療している場合は対象外:上記により時間外となる時間でも、常態として診療応需の態勢をとり、診療時間内と同様の取扱いで診療しているときは、時間外の取扱いとしません。
- 診療時間は分かりやすい場所に表示します。
- 医療機関の都合で時間外に診療を開始した場合(やむを得ない事情を除く)は算定できません。
休日加算
- 休日とは、日曜日と国民の祝日です。1月2日・3日、12月29日・30日・31日も休日として扱います。
- 算定できる患者は、①休日の救急医療を担っていると認められる医療機関(地域医療支援病院、救急病院・救急診療所の認定を受けた施設、救急医療対策事業に位置づけられた施設)を受診した患者、②当該休日を休診日とする医療機関、または診療日としている医療機関の診療時間外に、急病等やむを得ない理由で受診した患者です。
- ②のうち、休日を診療日としている医療機関の診療時間内に受診した患者は含まれません。
深夜加算
- 深夜とは、季節を問わず午後10時から午前6時までです。
- 深夜に診療が始まった場合に算定します。医療機関の都合(やむを得ない事情を除く)による場合は算定できません。
- 夜間開業の医療機関で、診療時間や診療態勢が午後10時〜午前6時と重なっている場合、重なっている時間帯の診療には深夜加算を算定できません。
併算定の可否
通知では、時間外加算・休日加算・深夜加算・時間外加算の特例・夜間・早朝等加算は、いずれか1つとされています。レセコンで排他的に選択される設定になっているか確認してください。再診料の取扱いも初診料と同様です(再診料 通知)。
夜間・早朝等加算との違い
夜間・早朝等加算(初診・再診とも50点)は、診療所が施設基準を満たして算定する加算です(告示 初診料注9、再診料注7)。時間外加算とは考え方が逆です。
| 項目 | 時間外・休日・深夜加算 | 夜間・早朝等加算 |
|---|---|---|
| 対象時間 | 表示する診療時間以外(休日・深夜はやむを得ない受診) | 表示する診療時間内の夜間・早朝・休日・深夜 |
| 時間帯の定義 | 午後6時(土曜は正午)から午前8時など(標準) | 午後6時(土曜は正午)から午前8時まで(深夜・休日を除く)、休日、深夜 |
| 医療機関の種別 | 病院・診療所とも | 診療所のみ |
| 施設基準の届出 | 不要 | 必要 |
| 評価の趣旨 | 診療応需の態勢を解いた後に再び診療する負担 | 診療所の夜間・早朝等の診療そのもの(病院勤務医の負担軽減) |
夜間・早朝等加算の「表示する診療時間」とは、地域に周知している時間であって、来院した患者を常に診療できる体制にある時間または計画的に訪問診療を行う時間です。学校医・産業医の業務や地域行事で不在となる時間は含めません。また、混雑や医療機関の都合で診療開始が算定対象の時間になった場合は算定できません(受付した時間で判断します)。
判定の手順(フローチャート)
- 受付(診療開始)の時刻と曜日を確認する。
- 深夜(22時〜翌6時)か。→ 診療時間が深夜と重なっていないか確認し、深夜加算(やむを得ない受診)。
- 休日(日曜・祝日・12/29〜1/3)か。→ 休日を休診日としているか、診療時間外のやむを得ない受診か確認し、休日加算。休日の診療時間内なら、届出があれば夜間・早朝等加算の対象。
- 表示する診療時間外か。→ 常態として診療していないか、医療機関の都合でないかを確認し、時間外加算。
- 表示する診療時間内の夜間・早朝(18時以降、土曜は正午以降、8時前)か。→ 届出があれば夜間・早朝等加算。
- 6歳未満なら、乳幼児加算ではなく6歳未満の点数を選ぶ。
電話等による再診・緊急処置との関係
- 時間外・休日・深夜・夜間早朝等の時間に、患者や看護者から電話等で治療上の意見を求められて指示した場合は、再診料に加えて時間外加算等を算定できます。ただし、ファクシミリや電子メール等による再診では、これらの加算は算定できません(再診料 通知)。
- 処置の時間外加算等(処置の通則5)は、初診料・再診料の時間外等の加算を算定する初診・再診に引き続き行われた緊急処置などが対象で、夜間・早朝等加算を算定した場合は対象になりません。処置の開始時間が保険医療機関または保険医の都合で時間外となった場合も算定できません(処置 通知)。
院内チェックリスト
- 診療時間を院内の分かりやすい場所に表示している(時間外の判定基準になる)
- 昼休みや午前のみの診療日など、日ごとの診療時間をレセコンに正しく登録している
- 常態として診療している時間帯に、時間外加算が自動で付いていない
- 時間外・休日・深夜・夜間早朝等の加算が、レセコンで排他的に選択される
- 6歳未満で、乳幼児加算と時間外等の加算が重複していない
- 12/29〜1/3が休日として扱われている
- 夜間・早朝等加算は、施設基準の届出が済んでいる診療所だけで使っている
- 混雑や院内都合で診療開始が遅れた場合に加算を付けていない
よくある質問
Q. 昼休み中に急患が来た場合、時間外加算は算定できますか。 A. 昼休みが表示する診療時間外であれば、時間外の対象になり得ます。ただし、常態として診療応需の態勢をとり診療時間内と同様に診療している場合は、時間外の取扱いとしません。
Q. 診療時間内なのに混んで終了が夜になりました。夜間・早朝等加算は付きますか。 A. 受付が算定対象の時間帯であり、かつ表示する診療時間内であれば対象です。ただし、混雑や医療機関の都合で診療開始が対象時間になった場合は算定できません。
Q. 時間外加算と夜間・早朝等加算は両方算定できますか。 A. できません。通知で、いずれか1つとされています。
Q. 祝日に診療日として開けている診療所の診療時間内に受診した患者に、休日加算は付きますか。 A. 休日を診療日としている医療機関の診療時間内に受診した患者は、通知上、休日加算の対象外です。届出があれば夜間・早朝等加算の対象になり得ます。
まとめ
- 時間外・休日・深夜加算は、表示する診療時間以外に、やむを得ない事情で受診した患者に算定する加算です。
- 夜間・早朝等加算は、表示する診療時間内の夜間・早朝等に診療所が算定する加算で、施設基準の届出が必要です。
- 両者を含む5種類の加算はいずれか1つしか算定できません。診療時間の表示とレセコンの設定を合わせておくことが、査定・返戻の予防になります。
ポテックでは、診療時間や加算の設定の見直しを含め、電子カルテ・レセコンの運用に関するご相談を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。時間外対応体制の加算については時間外対応体制加算の解説、査定・返戻への備えについては査定・再審査の解説もご覧ください。
参考・出典
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)医科診療報酬点数表 A000 初診料 注6〜9、A001 再診料 注4〜7 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 厚生労働省保険局医療課「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日付 保医発0305第6号)別添1 医科点数表に関する事項 第1部 第1節 初診料(18)〜(23)、第2節 再診料(6)、電話等による再診、第9部 処置 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757385.pdf