コラム一覧に戻る
レセプト・算定9分で読める

夜間・早朝等加算の施設基準|届出は不要?表示診療時間30時間と算定ルール(令和8年)

2026年10月25日

夜間・早朝等加算の施設基準|届出は不要?表示診療時間30時間と算定ルール(令和8年)
この記事をシェア

「夜間・早朝等加算の施設基準は何か」「届出は必要か」「土曜の午後や日曜の診療時間内は付けられるのか」。診療所の事務長や医療事務スタッフから、この加算について確認を受けることがよくあります。結論から言うと、夜間・早朝等加算は診療所のみが算定でき、施設基準を満たしていれば、地方厚生(支)局長への届出は不要とされています(令和8年の施設基準通知)。一方で、基準を満たしているかどうか(表示診療時間の合計、院外での時間表示)は、院内で自分で確認しておく必要があります。

本記事では、令和8年(2026年)の診療報酬点数表と通知にもとづき、夜間・早朝等加算の点数、施設基準、算定できる時間帯、併算定できない加算、よくある誤りを整理します。時間外加算・休日加算・深夜加算との違いは時間外加算の算定要件で詳しく解説しています。

本記事は2026年10月25日時点の公表情報にもとづく一般的な情報提供です。算定にあたっては、必ず最新の告示・通知および所管の地方厚生(支)局の案内でご確認ください。

夜間・早朝等加算とは(点数と趣旨)

  • 点数:初診料・再診料とも50点を所定点数に加算します(告示 初診料 注9、再診料 注7)。
  • 対象医療機関:施設基準を満たす診療所に限られます(病院は対象外)。
  • 趣旨:通知では、病院勤務医の負担の軽減を図るため、軽症の救急患者を地域の身近な診療所で受け止めることが進むよう、診療所の夜間・早朝等の時間帯の診療を評価するものとされています。

施設基準(通知の原文より)

基本診療料の施設基準通知(保医発0305第7号)の「第1の2 夜間・早朝等加算」に、次のように定められています。

項目内容
表示診療時間の合計1週間当たり30時間以上の診療所であること
例外(救急医療への協力)概ね月1回以上、保険医が深夜の救急医療確保のために診療を行っていると認められる地域医療支援病院、救急病院・救急診療所、救急医療対策事業の保険医療機関などに赴き夜間・休日の診療に協力している場合は、27時間以上でよい(当該診療所自身がこれらの保険医療機関である場合も同様)
訪問診療の時間一定の決まった日または時間に行う訪問診療の時間は、その時間を表示している場合に限り、表示診療時間に含めてよい
医師が常態として不在の時間表示している時間でも、常態として医師が不在となる時間(訪問診療に要する時間を除く)は、合計に含めない
診療時間の表示場所建造物の外部かつ敷地内に診療時間を表示し、診療可能な時間を地域に周知していること。建物の一部で開設している場合は、保険医療機関の外部に表示すること
届出基準を満たしていればよく、地方厚生(支)局長への届出は不要

「表示する診療時間」の考え方

通知(初診料(23))では、表示する診療時間を、地域に周知している時間であって、来院した患者を常に診療できる体制にある時間、または計画的に訪問診療を行う時間としています。次の時間は含まれません。

  • 患者が来院しても診療を受けられない時間(定期的な学校医・産業医の業務、地域活動・地域行事への出席で不在となる時間を含む)
  • 診療時間として表示していても、訪問診療に要する時間以外に常態として医師が不在となる時間

算定できる時間帯

告示では、次の時間のうち、保険医療機関が表示する診療時間内の時間が対象です。

区分時間帯
夜間・早朝午後6時(土曜日は正午)から午前8時まで(深夜と休日を除く)
休日日曜日・国民の祝日など(休日の診療時間として表示している時間内)
深夜午後10時から午前6時まで(深夜の診療時間として表示している時間内)

たとえば、平日18時以降、土曜の正午以降、8時前に診療時間を表示して診療している場合や、休日に診療日として表示して診療している場合が該当します。表示する診療時間の外での受診は、時間外加算・休日加算・深夜加算の判定になります。

受付時刻で判断する

通知(初診料(23)オ)では、この加算は算定対象の時間に受付を行った患者について算定するとされています。多数の患者の来院による混雑や、医療機関の都合(やむを得ない事情を除く)により、算定対象の時間に診療が開始された場合は算定できません。

併算定できない加算・できる場合

場面取扱い
時間外加算・休日加算・深夜加算・時間外加算の特例いずれか1つ。夜間・早朝等加算と同時には算定しない(通知)
小児科標榜医療機関の6歳未満の特例(初診料 注8、再診料 注6)該当する場合は、告示のただし書により夜間・早朝等加算は算定しない
往診料(C000)往診料を算定した場合にも、初診料に加えて夜間・早朝等加算を算定できる(通知)
コンタクトレンズ検査料、精神科ナイト・ケア、人工腎臓の注1の加算、持続緩徐式血液濾過の注1の加算これらを算定する場合は、夜間・早朝等加算は算定しない(通知)
時間外緊急院内検査加算算定する場合は、夜間・早朝等加算は算定できない(通知)
処置の時間外加算等(通則5)夜間・早朝等加算を算定する初診・再診に引き続き行われた場合は、時間外加算等の対象にならない(処置 通知)
乳幼児加算(初診料 注6、再診料 注4)告示のただし書は、除外する加算を時間外加算等の注7・注8(再診は注5・注6)のみとしており、夜間・早朝等加算は除外対象に挙げられていません

電話等による再診でも、時間外加算を算定すべき時間、休日、深夜または夜間・早朝等に、患者や看護者から電話等で治療上の意見を求められて指示した場合は、対応する加算を算定します。ただし、ファクシミリや電子メール等による再診では、これらの加算は算定できません(再診料 通知)。

院内でのチェックリスト

  • 診療所であり、1週間当たりの表示診療時間の合計が30時間以上(救急医療への協力がある場合は27時間以上)である
  • 学校医・産業医の業務や地域行事で不在となる時間、常態として医師が不在の時間を、表示診療時間の合計から除いて数えている
  • 診療時間を建物の外部かつ敷地内に表示している(テナントの場合は医療機関の外部の表示)
  • 訪問診療の時間を合計に入れる場合は、その時間を表示している
  • レセコンの診療時間マスタが、実際の表示と一致している
  • 時間外・休日・深夜・夜間早朝等の加算が、レセコン上で排他的に選択される
  • 受付時刻で判定しており、混雑や院内の都合で診療開始が遅れた場合に付けていない
  • コンタクトレンズ検査料など、併算定できない項目を算定する患者に付いていない

よくある質問

Q. 夜間・早朝等加算の届出書は、地方厚生局に出す必要がありますか。 A. 令和8年の施設基準通知(保医発0305第7号)には、基準を満たしていればよく、地方厚生(支)局長への届出は行う必要がない旨が書かれています。他の加算と同じように「届出済みの診療所だけが算定できる」と運用していると、基準を満たしているのに算定していなかった、あるいは基準を確認せずに算定していた、というズレが生じます。

Q. 土曜の午後に診療時間を表示して診療しています。算定できますか。 A. 土曜日は正午から午前8時までが夜間・早朝の対象です。土曜の正午以降が表示する診療時間内で、施設基準を満たす診療所であれば算定できます。

Q. 日曜・祝日に診療日として開けています。休日加算とどちらですか。 A. 休日を診療日として表示している診療所の診療時間内に受診した患者は、休日加算の対象外です(通知)。この場合は、施設基準を満たしていれば夜間・早朝等加算の対象です。

Q. 混雑して18時を過ぎてから診察を始めました。算定できますか。 A. 受付が算定対象の時間でなければ算定できません。多数の患者の来院による混雑や医療機関の都合で、算定対象の時間に診療が開始された場合は算定できません。

Q. 時間外対応体制加算や機能強化加算とは別の加算ですか。 A. 別の加算です。時間外対応体制加算は電話等での問い合わせ体制を評価する再診料の加算で届出が必要です(時間外対応体制加算とは)。機能強化加算は初診料の加算で届出が必要です(機能強化加算の解説)。

まとめ

  • 夜間・早朝等加算は、診療所が初診・再診に50点を加算するもので、対象は表示する診療時間内の夜間・早朝・休日・深夜です。
  • 施設基準は、週30時間以上の表示診療時間(救急医療への協力がある場合は27時間以上)と、建物外部・敷地内での時間表示です。地方厚生(支)局長への届出は不要とされています。
  • 時間外加算・休日加算・深夜加算とはいずれか1つです。受付時刻で判定し、混雑や院内の都合で遅れた診療には付けないようにしましょう。

加算の全体像は初診料の加算一覧と再診料の加算一覧にまとめています。算定漏れの見直しには算定漏れのチェックリストも参考になります。ポテックでは、診療時間や加算の設定の見直しを含め、電子カルテ・レセコンの運用に関するご相談を受け付けています。お気軽にお問い合わせください。

参考・出典

  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)医科診療報酬点数表 A000 初診料 注6〜9、A001 再診料 注4〜7 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
  • 厚生労働省保険局医療課「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日付 保医発0305第6号)別添1 医科点数表に関する事項 第1部 第1節 初診料(21)〜(23)、第2節 再診料(6)、第3部 検査、第9部 処置 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757385.pdf
  • 厚生労働省保険局医療課「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日付 保医発0305第7号)第1の2 夜間・早朝等加算(九州厚生局掲載) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/000476302.pdf
この記事をシェア

関連記事

レセプト・算定

時間外加算の算定要件|休日・深夜加算との違いと診療所の判定ルール(令和8年)

初診料・再診料の時間外加算・休日加算・深夜加算の点数と、診療時間の表示、昼休み・常態として診療している場合、夜間・早朝等加算との線引きを、告示と留意事項通知で整理します。

2026年10月22日
レセプト・算定

再診料の加算一覧|令和8年の点数・外来管理加算の算定要件・併算定ルール(診療所向け)

再診料76点に加算できる乳幼児・時間外・外来管理加算52点・時間外対応体制・地域包括診療・感染対策・電子的診療情報連携などを、告示と留意事項通知で一覧にし、併算定の可否と電話再診の扱いを整理します。

2026年10月21日
レセプト・算定

初診料の加算一覧|令和8年の点数・算定要件・併算定ルール(診療所向け)

初診料291点に加算できる乳幼児・時間外・夜間早朝・機能強化・外来感染対策向上・電子的診療情報連携などの加算を、告示と留意事項通知で一覧にし、併算定の可否と診療所で使う加算を整理します。

2026年10月20日
レセプト・算定

特定疾患療養管理料の算定要件|対象疾患・初診後1か月・月2回・令和8年の変更点

診療所225点・月2回の特定疾患療養管理料について、対象疾患の一覧、初診後1か月ルール、併算定できない管理料、令和8年の胃潰瘍・十二指腸潰瘍の見直しを原文で整理します。

2026年10月19日
AIカルテ

AIカルテを見る

受付から診療記録、会計、レセプト、経営分析までを一つの循環でつなぐAIネイティブ電子カルテ。

製品ページを見る

AIカルテという選択肢

記事でご紹介した課題の多くは、診療所向けAIネイティブ電子カルテ「AIカルテ」で扱えます。まずはどんな製品かご覧ください。