「初診料に加算できるものを一覧で確認したい」「時間外加算と夜間・早朝等加算は両方算定できるのか」「2科目を受診した患者に乳幼児加算は付くのか」。医療事務スタッフや事務長から、初診料まわりの加算について、こうした確認の声をよく聞きます。
本記事では、令和8年(2026年)の診療報酬点数表における**初診料(A000)の加算(注1〜注16)**を、診療所で実際に関係するものを中心に一覧にし、点数・要件・併算定のルールを整理します。
本記事は2026年10月20日時点の公表情報にもとづく一般的な情報提供です。算定にあたっては、必ず最新の告示・通知および所管の地方厚生(支)局の案内でご確認ください。
初診料の基本と加算の全体像
初診料は291点です。情報通信機器を用いた初診(施設基準の届出が必要)は253点です(注1)。
初診料に付く加算は、告示上は注6〜注16に並んでいます。診療所で関係する加算を、種類ごとに整理すると次のとおりです。
診療所向け 初診料の加算一覧
| 加算 | 点数 | 告示の注 | 届出 | 主なポイント |
|---|---|---|---|---|
| 乳幼児加算(6歳未満) | 75点 | 注6 | 不要 | 時間外・休日・深夜などの加算を算定する場合は算定しない |
| 時間外加算 | 85点(6歳未満200点) | 注7 | 不要 | 表示する診療時間以外(深夜・休日を除く) |
| 休日加算 | 250点(6歳未満365点) | 注7 | 不要 | 日曜・祝日など。対象患者に条件あり |
| 深夜加算 | 480点(6歳未満695点) | 注7 | 不要 | 午後10時〜午前6時 |
| 小児科標榜の特例(夜間・休日・深夜) | 200点/365点/695点 | 注8 | 不要 | 6歳未満。表示する診療時間内の時間も対象 |
| 夜間・早朝等加算 | 50点 | 注9 | 施設基準あり | 診療所のみ。表示する診療時間内の夜間・早朝・休日・深夜 |
| 機能強化加算 | 80点 | 注10 | 要届出 | かかりつけ医機能を有する診療所・200床未満の病院 |
| 外来感染対策向上加算 | 月1回6点 | 注11 | 要届出 | 診療所のみ |
| 発熱患者等対応加算 | 月1回20点 | 注11ただし書 | 上記の届出に含む | 外来感染対策向上加算の算定が前提 |
| 連携強化加算 | 月1回3点 | 注12 | 要届出 | 外来感染対策向上加算が前提 |
| サーベイランス強化加算 | 月1回1点 | 注13 | 要届出 | 同上 |
| 抗菌薬適正使用体制加算 | 月1回5点 | 注14 | 要届出 | 同上 |
| 特定機能病院等紹介患者受入加算 | 60点 | 注15 | 不要(紹介の事実が条件) | 特定機能病院などからの紹介を受けて初診した場合 |
| 電子的診療情報連携体制整備加算 | 月1回 15点/9点/4点(加算1/2/3) | 注16 | 要届出 | 再診料の明細書発行体制等加算とは併算定不可 |
※ 注2〜注4(紹介状なしの大病院・特定妥結率の場合の216点など)は、主に病院に関する規定のため、本記事の一覧には含めていません。
乳幼児加算と時間外・休日・深夜加算の関係
乳幼児加算(75点)
6歳未満の乳幼児に初診を行った場合に75点を加算します。ただし、注7(時間外・休日・深夜加算)または注8(小児科の特例)の加算を算定する場合は、乳幼児加算を算定しません。これらの加算には6歳未満の乳幼児向けの点数(200点/365点/695点)が別に設けられています。
時間外・休日・深夜加算(注7)
| 区分 | 通常 | 6歳未満 |
|---|---|---|
| 時間外加算 | 85点 | 200点 |
| 休日加算 | 250点 | 365点 |
| 深夜加算 | 480点 | 695点 |
通知で示された取扱いの要点は次のとおりです。
- 時間外の標準:概ね午前8時前と午後6時以降(土曜日は午前8時前と正午以降)。ただし、診療所が表示する診療時間以外の時間で取り扱う場合もあります。
- 常態として診療している場合:時間外であっても、診療応需の態勢をとり、診療時間内と同様に診療しているときは時間外の取扱いとしません。
- 保険医療機関の都合で時間外に診療を開始した場合(やむを得ない事情を除く)は、時間外加算を算定できません。
- 休日:日曜日と国民の祝日、1月2日・3日、12月29日〜31日。休日加算は、救急医療の確保のための医療機関を受診した患者、または休診日にやむを得ない理由で受診した患者などが対象です。
- 深夜:午後10時から午前6時まで。
- 併算定不可:時間外加算・休日加算・深夜加算・時間外加算の特例・夜間・早朝等加算は、いずれか1つです(通知の記載)。
小児科を標榜する診療所の特例(注8)
小児科(小児外科を含む)を標榜する保険医療機関では、表示する診療時間内であっても、夜間(概ね午前8時前・午後6時以降、土曜は正午以降、深夜を除く)・休日・深夜に6歳未満の乳幼児を診療した場合、200点/365点/695点を算定できます。診察する医師が小児科以外の担当でも算定できます。
夜間・早朝等加算(50点)
診療所が、午後6時(土曜日は正午)から午前8時まで(深夜と休日を除く)、休日、深夜のうち、自院が表示する診療時間内の時間に初診を行った場合に50点を加算します(注9)。
通知で押さえたい点は次のとおりです。
- 「表示する診療時間」とは、地域に周知している時間で、来院した患者を常に診療できる体制にある時間または計画的に訪問診療を行う時間をいいます。学校医・産業医の業務や地域行事で不在となる時間は含まれません。
- 受付を行った時間で判断します。混雑や医療機関の都合(やむを得ない事情を除く)で、対象時間に診療が始まった場合は算定できません。
- 往診料(C000)を算定した場合も、初診料に加えて算定できます。
- コンタクトレンズ検査料などを算定する場合は算定しません。
時間外加算は「診療時間外に応じる」ことへの評価、夜間・早朝等加算は「診療時間として表示している夜間・早朝等に診療する」ことへの評価であり、通知でも明確に区分されています。
機能強化加算(80点)
届出を行った診療所または許可病床200床未満の病院で、初診料を算定するときに80点を加算します(注10)。2科目の初診料(注5ただし書)には加算できません。
通知上、かかりつけ医機能を有する医療機関として、次の対応ができる旨を院内とホームページ等に掲示し、必要に応じて患者に説明することが求められます。
- 患者が受診している他の医療機関と処方薬を把握し、服薬管理を行って診療録に記載する
- 専門医・専門医療機関への紹介
- 健康診断の結果等の健康管理に関する相談への対応
- 保健・福祉サービスに関する相談への対応
- 診療時間外を含む緊急時の対応方法の情報提供
施設基準や令和8年改定後の要件の詳細は、機能強化加算とは?令和8年改定の施設基準・届出とBCP要件を整理で解説しています。
外来感染対策向上加算と関連する4つの加算
初診料の注11〜注14は、診療所の感染防止対策を評価する一連の加算です。
| 加算 | 点数(月1回) | 前提・要点 |
|---|---|---|
| 外来感染対策向上加算 | 6点 | 診療所が届出。患者1人につき月1回 |
| 発熱患者等対応加算 | 20点 | 外来感染対策向上加算を算定していて、発熱・呼吸器症状・発しん・消化器症状・神経症状など感染症を疑う患者に、空間的・時間的分離を含む適切な感染対策のもとで診療した場合 |
| 連携強化加算 | 3点 | 感染対策向上加算1を算定する医療機関に、感染症の発生状況や抗菌薬の使用状況を報告している場合 |
| サーベイランス強化加算 | 1点 | JANISやJ-SIPHEなど、地域や全国のサーベイランスに参加している場合 |
| 抗菌薬適正使用体制加算 | 5点 | 抗菌薬の使用状況をモニタリングできるサーベイランスに参加し、Access抗菌薬の使用比率が60%以上、または参加診療所全体の上位30%以内の場合 |
月1回の考え方や施設基準、届出の手順は、外来感染対策向上加算とは?点数・施設基準・届出と発熱患者等対応加算の算定要件にまとめています。
特定機能病院等紹介患者受入加算(60点)
診療所または許可病床200床未満の病院が、特定機能病院、地域医療支援病院(一般病床200床未満を除く)、紹介受診重点医療機関(同)、または許可病床400床以上の病院(一般病床200床未満を除く)からの紹介を受けて初診を行った場合に60点を加算します(注15)。
電子的診療情報連携体制整備加算(月1回 15点/9点/4点)
令和8年度改定で、医療DX推進体制整備加算と医療情報取得加算が再編され、初診料の注16として電子的診療情報連携体制整備加算が置かれています。点数は加算1が15点、加算2が9点、加算3が4点で、月1回の算定です。
通知では、オンライン資格確認で取得した診療情報・薬剤情報等を実際の診療に活用できる体制を基本に、電子処方箋・電子カルテ・電子カルテ情報共有サービスの導入やサイバーセキュリティ対策などを評価するものと位置づけられています。この加算を届け出た医療機関は、再診料の明細書発行体制等加算を算定できません(注16、再診料注11)。
届出の考え方や旧加算からの変更点は、2026年改定で変わる医療DX関連加算をご覧ください。
加算を算定できない(またはしてはいけない)場面
初診料そのものの取扱いも、加算の算定可否に直結します。通知から、診療所で迷いやすい点をまとめます。
| 場面 | 取扱い |
|---|---|
| 診療継続中に別の傷病が発生した | 初診料は算定しない(第1回の初診で1回のみ、注5) |
| 同一日に他の傷病で別の診療科を初診として受診 | 2つ目の診療科に限り146点(情報通信機器の場合127点)。この場合、注6〜注16の加算は算定しない |
| 患者が任意に診療を中止し、1月以上経過して再受診 | 同一病名・同一症状でも初診として取り扱う。ただし慢性疾患等で明らかに同一の疾病と推定される場合は初診としない |
| 自覚症状のない健診等で疾患が見つかり、同じ保険医が治療を開始 | 初診料は算定できない(その後の治療は保険給付の対象) |
| 労災保険・自費などで治療中、または入院中に保険診療を受けた | 初診料は算定できない |
| 疾病と認める徴候がなかった | 患者が異常を訴えて診療を求めた場合は初診料を算定できる |
1か月の計算は、例として「2月10日〜3月9日」「9月15日〜10月14日」のように行うと通知に記載があります。
院内チェックリスト
- 診療時間の表示(ホームページ・院内掲示・レセコン設定)が実態と一致している
- 時間外・休日・深夜・夜間・早朝等の加算が、レセコンで排他的に選択される設定になっている
- 6歳未満の患者で、乳幼児加算と時間外等の加算が重複していない
- 2科目受診の場合に、注6〜注16の加算が自動で付いていない
- 月1回の加算(感染対策系、電子的診療情報連携体制整備加算)が、同一患者の同一月で重複していない
- 届出が必要な加算は、地方厚生(支)局への届出が受理済みである
- 外来感染対策向上加算を届け出ていない月に、発熱患者等対応加算など関連加算を算定していない
よくある質問
Q. 時間外加算と夜間・早朝等加算は両方算定できますか。 A. できません。通知で、時間外加算を算定する場合は夜間・早朝等加算を算定しないとされています。表示する診療時間内かどうかで、どちらに当たるかを判断します。
Q. 小児科でない診療所も、乳幼児の夜間診療で200点が算定できますか。 A. 注7の時間外加算(6歳未満200点)は、表示する診療時間以外の時間に受診した場合のものです。注8の特例は小児科を標榜する医療機関が対象です。
Q. 外来感染対策向上加算は初診と再診で別々に算定できますか。 A. 初診料・再診料のいずれも月1回に限られ、同じ月に別区分で重ねて算定することはできません(外来感染対策向上加算の記事を参照)。
Q. 機能強化加算は再診でも算定できますか。 A. 機能強化加算は初診料の加算です。再診料の地域包括診療加算とは別の仕組みです。
まとめ
- 初診料は291点。加算は注6〜注16に整理され、診療所で関係するのは乳幼児、時間外等、夜間・早朝等、機能強化、感染対策系、電子的診療情報連携体制整備、紹介患者受入が中心です。
- 時間外・休日・深夜・時間外加算の特例・夜間・早朝等加算は、通知上いずれか1つです。6歳未満では乳幼児加算との重複にも注意が必要です。
- 2科目の初診料(146点)では、注6〜注16の加算は算定できません。
- 月1回の加算は、同一患者・同一月で重ならないようレセコンで制御しておくと、請求ミスを減らせます。
加算の算定漏れや過剰請求は、算定漏れの原因別チェックリストにあるように、仕組みで防ぐのが近道です。令和8年改定の全体像は診療報酬改定2026も参考にしてください。
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参考・出典
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)医科診療報酬点数表 第1章第1部 初・再診料(A000 初診料 注1〜注16) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 厚生労働省保険局医療課「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日付 保医発0305第6号、1007訂正後)別添1 医科点数表に関する事項 第1部 第1節 初診料 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757385.pdf