コラム一覧に戻る
レセプト・算定9分で読める

時間外対応体制加算とは?令和8年改定の点数と1〜4の算定要件・届出

2026年10月13日

時間外対応体制加算とは?令和8年改定の点数と1〜4の算定要件・届出
この記事をシェア

「時間外対応加算が、令和8年度の改定で『時間外対応体制加算』になったと聞いた」「点数が上がったなら、うちも届出を見直したほうがいいのか」——診療所の院長や事務長、医療事務の方から、こうした声を聞くようになりました。再診料の注10に定められたこの加算は、休診日・夜間の電話対応の体制を評価するもので、診療所だけが対象です。本記事では、令和8年6月1日からの点数、加算1〜4それぞれの施設基準、届出の手順、地域包括診療加算との関係を、厚生労働省の公表資料にもとづいて整理します。

免責:本記事は2026年10月13日時点の公表情報にもとづく一般的な情報提供です。点数・施設基準・届出の取扱いは、厚生労働省の告示・通知および所管の地方厚生局の案内が正本です。届出や算定の最終判断は、必ず最新の原文と管轄の地方厚生局でご確認ください。

令和8年度改定の全体像は 診療報酬改定2026 クリニックが押さえるべき変更点と対応策、内科系の改定の見どころは 内科の診療報酬改定 もあわせてご覧ください。

結論:何が変わったのか

項目改定前令和8年6月1日以降
名称時間外対応加算時間外対応体制加算
加算15点7点
加算24点5点
加算33点4点
加算41点2点
  • 名称が変わり、4区分すべての点数が引き上げられました。算定の場面(診療所における再診)と、4区分に分かれる構造は同じです。
  • 令和8年5月31日の時点で時間外対応加算1〜4を算定していた診療所は、名称が変わっただけの区分については新たな届出は不要とされています(施設基準の届出の取扱い通知の経過措置)。
  • 厚生労働省は、休日・夜間等の問い合わせや受診に対応する体制の整備を、さらに進める観点から評価を引き上げた、と説明しています。

1点は10円です。たとえば加算1は7点=70円、患者負担が3割の場合は約21円の負担増になります(改定前の5点との差額は2点=20円)。

算定の前提:どの医療機関が対象か

再診料の注10にもとづく加算で、地方厚生局長等に届け出た診療所が再診を行った場合に、届出た区分に応じた点数を所定点数に加算します。病院は対象外です。

通則として、すべての区分で次の2点が求められます。

  1. 診療所であること
  2. 標榜時間外に、患者からの電話等による問い合わせに応じる体制を整備し、対応者・緊急時の対応体制・連絡先などを、院内掲示、連絡先を記載した文書の配布、診察券への記載などの方法で患者に周知していること

「体制を作っただけ」では足りず、患者への周知までが基準に含まれる点に注意してください。

加算1〜4の施設基準を比較する

いずれの区分も、対象は「診療所を継続的に受診している患者」からの電話等による問い合わせです。

区分点数対応の時間帯誰が対応するかその他の条件
加算17点常時原則として当該診療所の常勤の医師・看護職員・事務職員等やむを得ず応答できなかった場合でも速やかにコールバックできる体制
加算25点常時当該診療所の非常勤の医師・看護職員・事務職員等必要に応じて診療録を閲覧できる体制。コールバック体制
加算34点標榜時間外の夜間の数時間原則として当該診療所の常勤の医師・看護職員・事務職員等休診日・深夜・休日は留守番電話等で地域の救急医療機関等の連絡先を案内。コールバック体制
加算42点当番日の標榜時間外の夜間の数時間複数の診療所の連携で対応連携する診療所は、自院を含めて最大3つまで。当番日以外は留守番電話等で当番の診療所や救急医療機関等の連絡先を案内

加算1:常時対応の体制

標榜時間外に常時、電話等の問い合わせに対応できる体制です。通知では、週3日以上常態として勤務し、かつ所定労働時間が週22時間以上の非常勤の医師・看護職員・事務職員等により常時対応できる場合は、基準を満たすものとみなすことができるとされています。

「常勤の職員で24時間」を一人で担うのではなく、シフトや当番表で運用できるかが現実的な検討ポイントです。

加算2:非常勤職員でも常時対応

非常勤の医師・看護職員・事務職員等が常時、電話等で対応する体制です。必要に応じて診療録を閲覧できることが求められるため、院外から電子カルテを参照できる環境(セキュリティの確保を含む)が実務上の論点になります。

加算3:夜間の数時間

標榜時間外の夜間の数時間は、原則として当該診療所で対応します。それ以外の休診日・深夜・休日は、留守番電話等で地域の救急医療機関などの連絡先を案内する形で構いません。

加算4:複数診療所の輪番

複数の診療所が連携し、当番日に夜間の数時間を当番の診療所が対応する形です。連携する診療所は最大3つまでです。単独では夜間対応が難しい診療所の選択肢になります。

全区分に共通する運用上のポイント

  • 加算1〜3は、やむを得ない事由で応答できなかった場合でも、速やかにコールバックできる体制が基準に含まれています(加算4は当番日の対応について同様)
  • 届出様式(様式2)には、やむを得ず応答できなかった場合の体制として「留守録による応答後、速やかにコールバック」「医師等の携帯・自宅電話へ転送」「その他」を選ぶ欄があります

届出の手順

  1. 加算の区分を決める(診療時間、職員体制、連携の可否で判断)
  2. 患者への周知方法を決める(院内掲示、連絡先を記載した文書、診察券への記載など)
  3. 別添7の様式2に記入して、管轄の地方厚生局に提出する
  4. 受理された月の翌月1日(月の最初の開庁日に受理された場合は当月1日)から算定する

様式2で記入する主な項目は次のとおりです。

記入項目該当する区分
届出を行う区分(1〜4のうち1つ)共通
標榜診療科(主なもの4つまで)共通
対応の責任者となる医師の氏名加算2
時間外に対応する常勤の職員、または週22時間以上勤務する非常勤の職員の人数加算1・3
標榜診療時間(曜日ごとの開始・終了時刻)共通
応答できなかった場合の体制共通
連携医療機関の名称と連携体制加算4(ほかの区分でやむを得ない場合の連携がある場合も)
患者に周知する連絡先(電話番号)共通

この加算の届出には実績は不要とされています。すなわち、体制を整えれば、これから届出ができます。

地域包括診療加算との関係

時間外対応体制加算は、かかりつけ医機能に関する別の評価の施設基準にも使われます。

  • 地域包括診療加算:施設基準のひとつとして、次のいずれかを満たすことが求められます。(ア)時間外対応体制加算1〜4のいずれかの届出、(イ)常勤換算2名以上(一部の地域は1.4人以上)の医師が配置され、うち1名以上が常勤であること、(ウ)在宅療養支援診療所であること
  • 地域包括診療料:届出書添付書類(様式2の3)では、時間外対応体制加算1の届出を行っていることなどが確認項目になっています

地域包括診療加算を算定している、または検討している診療所は、時間外対応体制加算の区分を決めるときに、これらの要件との関係も確認しておくと安心です。

院内で確認したいチェックリスト

  • 現在の届出区分(時間外対応加算1〜4のどれか)を、地方厚生局への届出控えで確認した
  • 令和8年5月31日時点で算定していた区分は、新たな届出が不要なことを確認した
  • 患者への周知(掲示、文書、診察券など)が、実際の運用と一致している
  • 電話に応答できなかった場合のコールバック手順が決まっている
  • 休診日・深夜・休日の留守番電話の案内内容が、地域の救急医療機関等の連絡先と合っている
  • レセプトコンピュータで、加算の名称と点数が令和8年6月以降のものになっている
  • 上位の区分(加算1や加算2)に切り替える場合、職員の勤務体制と、院外から診療録を閲覧する環境を整理した

よくある質問

Q. 名称が変わっただけの場合、届出し直す必要はありますか? A. 令和8年5月31日時点で時間外対応加算1〜4を算定していた診療所は、名称変更のみの区分について新たな届出は不要とされています。ただし、区分を変更する場合は、届出が必要です。

Q. 事務職員だけで対応しても加算1を算定できますか? A. 通知では、対応者として「医師、看護職員又は事務職員等」と記載されています。ただし、患者の問い合わせに適切に対応できる体制が必要です。対応方法の詳細は、管轄の地方厚生局にご確認ください。

Q. 加算4を選ぶと、夜間は全く対応しなくてよいのですか? A. 当番日には標榜時間外の夜間の数時間を原則として当該診療所で対応します。当番日以外は、留守番電話等で当番の診療所や救急医療機関等の連絡先を案内するなど、対応に配慮する必要があります。

まとめ

  • 時間外対応加算は令和8年6月1日から「時間外対応体制加算」となり、加算1〜4の点数が7・5・4・2点に引き上げられました
  • 施設基準は、対応する時間帯(常時か夜間の数時間か)と、誰が対応するか(常勤、非常勤、複数診療所の連携)で区分されます
  • 届出は別添7の様式2で行い、実績は不要です。既に算定している区分の名称変更のみであれば、新たな届出は不要です
  • 地域包括診療加算などの施設基準にも関わるため、区分の見直しは他の加算とあわせて検討しましょう

休診時間の電話対応の負担や、取りこぼしを減らす工夫については、クリニックの電話・予約対応をAIで自動化する方法と注意点 や 受付業務を支えるAIツール が参考になります。加算の算定漏れを防ぐ視点では 算定漏れはなぜ起こる?原因別チェックリスト もご覧ください。

ポテックは、電子カルテ「AIカルテ」の提供を通じて、診療報酬改定への対応や、電話・受付業務の負担軽減を支援しています。改定対応やシステムの見直しについてご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。

参考・出典

この記事をシェア

関連記事

レセプト・算定

長期収載品とは?選定療養の対象範囲と窓口負担をわかりやすく解説

長期収載品とは、後発医薬品が販売されている先発医薬品のことです。2024年10月から、患者が医療上の必要性なく先発品を希望した場合に「特別の料金」が発生する仕組みが始まり、2026年6月からその負担割合は薬価差の2分の1相当に引き上げられました。対象範囲、料金の計算方法、対象外となるケース、そしてクリニックの窓口実務までを整理します。

2026年9月10日
レセプト・算定

選定療養とは?対象になる項目と院内掲示・同意の実務をわかりやすく解説

選定療養とは、患者が自ら希望して受ける快適性・利便性のためのサービスについて、基礎的な部分は保険給付を受けながら、上乗せ部分を自己負担する仕組みです。混合診療の禁止との関係、評価療養・患者申出療養との違い、差額ベッドや長期収載品など対象になる項目、そして院内掲示・書面同意・会計分離の実務までを整理します。

2026年9月10日
レセプト・算定

2026年改定で変わる医療DX関連加算|医療DX推進体制整備加算の廃止と再編

令和8年度改定で、医療DX推進体制整備加算と医療情報取得加算は廃止され、電子的診療情報連携体制整備加算へ統合・再編されました。令和8年5月31日で旧加算が終了し、6月1日から新加算の算定が始まっています。旧加算を届け出ていても改めて届出が必要な点を含め、変更内容と対応を整理します。

2026年8月11日
レセプト・算定

診療報酬改定2026 クリニックが押さえるべき変更点と対応策

2026年度(令和8年度)改定では、医療DX推進体制整備加算と医療情報取得加算が廃止され電子的診療情報連携体制整備加算へ再編、生活習慣病管理料の療養計画書は患者署名が不要に、長期収載品の選定療養は負担が2分の1へ引き上げ——クリニックに効く変更を整理し、実務上の対応策までまとめます。

2026年8月11日
AIカルテ

AIカルテを見る

受付から診療記録、会計、レセプト、経営分析までを一つの循環でつなぐAIネイティブ電子カルテ。

製品ページを見る

AIカルテという選択肢

記事でご紹介した課題の多くは、診療所向けAIネイティブ電子カルテ「AIカルテ」で扱えます。まずはどんな製品かご覧ください。