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外来感染対策向上加算とは?点数・施設基準・届出と発熱患者等対応加算の算定要件

2026年10月18日

外来感染対策向上加算とは?点数・施設基準・届出と発熱患者等対応加算の算定要件
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「外来感染対策向上加算は、うちの診療所でも届出できるのか」「発熱患者等対応加算は、発熱の患者ならいつでも20点を取れるのか」「連携強化加算・サーベイランス強化加算・抗菌薬適正使用体制加算は何が違うのか」——院長や事務長、医療事務の方から確認されることの多いテーマです。本記事では、令和8年の医科点数表(告示)と留意事項通知(保医発0305第6号)、基本診療料の施設基準通知(保医発0305第7号)にもとづき、点数・算定ルール・施設基準・届出の要点を整理します。

免責:本記事は2026年10月18日時点の公表情報にもとづく一般的な情報提供です。点数・算定要件・施設基準・届出の取扱いは、厚生労働省の告示・通知および管轄の地方厚生局の案内が正本です。算定や届出の最終判断は、必ず最新の原文と管轄の地方厚生局でご確認ください。

外来感染対策向上加算の全体像

外来感染対策向上加算は、診療所における平時からの感染防止対策、地域の医療機関等が連携して実施する感染症対策への参画、空間的・時間的分離を含む適切な感染対策の下で発熱患者等の外来診療を行う体制を評価する加算です(留意事項通知)。届出をした診療所だけが算定でき、病院は対象外です。

点数一覧

加算点数算定回数前提
外来感染対策向上加算6点患者1人につき月1回施設基準の届出
発熱患者等対応加算20点月1回外来感染対策向上加算を算定していること
連携強化加算3点月1回外来感染対策向上加算を算定していること。様式1の5で届出
サーベイランス強化加算1点月1回同上
抗菌薬適正使用体制加算5点月1回同上

初診料(注11〜14)、再診料(注15〜18)で算定します。そのほか、医学管理等の通則(小児科外来診療料、外来リハビリテーション診療料、外来放射線照射診療料、地域包括診療料、小児かかりつけ診療料、外来腫瘍化学療法診療料、救急救命管理料、退院後訪問指導料を算定した場合)、在宅医療の通則、精神科訪問看護・指導料にも同様の規定があります。

月1回しか算定できない点に注意

留意事項通知では、初診料・再診料・医学管理等・在宅医療・精神科訪問看護・指導料のいずれかで外来感染対策向上加算を算定した月は、同じ月に別の区分で重ねて算定できないとされています。月初に初診で6点を算定した患者が、同月の再診で再び算定することはできません。レセコンの月内算定回数チェックを確認してください。

発熱患者等対応加算(20点)の算定ルール

発熱患者等対応加算は、外来感染対策向上加算を算定している場合であって、発熱、呼吸器症状、発しん、消化器症状又は神経症状その他感染症を疑わせるような症状を有する患者に、空間的・時間的分離を含む適切な感染対策の下で診療を行った場合に算定します(初診・再診とも月1回)。

場面算定の考え方
症状のある患者を、動線を分けて診察した外来感染対策向上加算(6点)に加えて20点
症状のない患者の診察外来感染対策向上加算(6点)のみ
同じ月に初診と再診で両方該当した月1回のみ

「発熱の患者」という条件だけでなく、空間的・時間的分離などの感染対策を実際に講じたことが要件です。動線を分けた方法(別室、時間帯分け、駐車場での診察など)を、カルテや院内手順書に残しておくと、後から説明しやすくなります。

施設基準(届出に必要な要件)

施設基準通知(保医発0305第7号 第1の4)では、次のいずれにも該当することとされています。

区分主な要件
組織診療所であること。感染防止対策部門を設置(医療安全対策加算の医療安全管理部門と兼ねることも可)
人員感染防止対策部門内に、専任の医師、看護師、薬剤師その他の医療有資格者を院内感染管理者として配置し、感染防止に係る日常業務を行う。医療安全管理者とは兼任できない
文書感染防止対策の業務指針と院内感染管理者の具体的な業務内容を整備。標準予防策、感染経路別予防策、洗浄・消毒・滅菌、抗菌薬適正使用などを盛り込んだ手順書を作成し、各部署に配布
研修院内感染管理者が、職員向けの院内感染対策研修を少なくとも年2回程度実施(安全管理体制の職員研修とは別に行う)
連携院内感染管理者が、感染対策向上加算1の医療機関または地域の医師会が主催するカンファレンスに年2回程度参加(複数の加算1医療機関と連携する場合は、それぞれ年1回以上、合計年2回以上)。新興感染症を想定した訓練にも年1回以上参加。カンファレンスはビデオ通話での実施も可
抗菌薬連携する加算1の医療機関または医師会から、院内の抗菌薬適正使用について助言を受ける。「抗微生物薬適正使用の手引き」を参考にした取組を行う
巡回院内感染管理者が週1回程度院内を巡回し、感染事例の把握と対策の実施状況の指導を行う
掲示見やすい場所に、院内感染防止対策に関する取組事項を掲示
発熱患者の受入れ受診歴の有無に関わらず、発熱その他感染症を疑わせる症状の患者を受け入れる旨を公表し、空間的・時間的分離により動線を分ける体制を有する
新興感染症感染症法第38条第2項に基づく第二種協定指定医療機関(発熱外来の措置を含むもの)であること
有事の連携新興感染症やアウトブレイク時の地域連携体制を、加算1の医療機関等とあらかじめ協議

このほか、通知は、感染症から回復した患者の罹患後症状に対応できる体制(精密検査、専門医への紹介)を有していることが望ましいとしています(必須ではありません)。また、感染対策向上加算を届出していない医療機関であることも求められます。

届出は実績を要しません。つまり、届出の時点で「過去の算定実績」は不要で、体制が整っていれば届出できます。

小規模クリニックでつまずきやすい点

  • 院内感染管理者の専任:医療安全管理者との兼任は不可です。少人数の診療所では、誰を管理者にするか、医療安全対策加算の部門との関係をどうするかを先に決める必要があります。
  • 連携先の確保:年2回のカンファレンス参加と助言の受け入れには、連携する感染対策向上加算1の医療機関または地域の医師会が必要です。地域の医師会の案内を確認します。
  • 第二種協定指定医療機関であること:都道府県知事の指定が必要です。指定の有無と、公表されている自治体ホームページを様式に記載する欄があります。

連携強化・サーベイランス強化・抗菌薬適正使用体制の3加算

いずれも、外来感染対策向上加算を算定していることが前提で、届出は様式1の5を用います。

加算点数要件の要点
連携強化加算3点連携する感染対策向上加算1の医療機関に対し、過去1年間に4回以上、感染症の発生状況、抗菌薬の使用状況等を報告している
サーベイランス強化加算1点院内感染対策サーベイランス(JANIS)、感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)等、地域や全国のサーベイランスに参加している
抗菌薬適正使用体制加算5点抗菌薬の使用状況のモニタリングが可能なサーベイランスに参加し、直近6か月の使用抗菌薬のうちAccess抗菌薬の使用比率が60%以上、またはそのサーベイランスに参加する診療所全体の上位30%以内

抗菌薬適正使用体制加算は、使用状況の数値で判定されるため、届出前にレセプト・処方データから Access 抗菌薬の比率を集計できる体制が必要です。

届出の手順

  1. 施設基準の各要件(上表)を満たしていることを確認し、不足する項目の対応計画を立てる
  2. 「外来感染対策向上加算に係る届出書添付書類」(別添7 様式1の4)を作成する。院内感染管理者の氏名・職種、抗菌薬適正使用の方策(連携先から受けた助言)、連携保険医療機関名または地域の医師会、発熱患者等への対応、第二種協定指定医療機関の指定を記載する
  3. 添付書類を揃える:感染防止対策部門の設置が確認できる文書、業務指針と院内感染管理者の業務内容が明記された文書、標準予防策と動線分離の方法を盛り込んだ手順書
  4. 連携強化・サーベイランス強化・抗菌薬適正使用体制の各加算を届け出る場合は、様式1の5を追加する
  5. 管轄の地方厚生(支)局に提出する

届出の受理後に算定できる時期は、通知の一般ルールにより、各月の末日までに要件審査を終えて届出を受理した場合は、翌月の1日からとされています。届出の提出方法・受付期限は地方厚生局ごとに異なるため、管轄の案内を確認してください。

院内チェックリスト

  • 院内感染管理者を決め、医療安全管理者と別の人にした
  • 感染防止対策部門の設置と、業務指針・業務内容を文書にした
  • 標準予防策、感染経路別予防策、動線分離の手順書を作り、周知した
  • 年2回程度の院内研修の計画を立てた
  • 連携する感染対策向上加算1の医療機関または地域の医師会を決め、カンファレンスと訓練の参加予定を確認した
  • 第二種協定指定医療機関の指定状況を確認した
  • 発熱患者等の受入れを公表し、院内(ホームページ等)に掲示した
  • 週1回程度の院内巡回の担当と記録方法を決めた
  • 様式1の4(と必要に応じて様式1の5)を提出した
  • レセコンで、月1回の制限と発熱患者等対応加算の入力ルールを設定した

よくある質問

Q. 無床の診療所なら誰でも届出できますか。 A. 診療所であることは要件の一つですが、それだけでは足りません。院内感染管理者の配置、研修、連携先との協議、第二種協定指定医療機関であることなど、通知に定める要件をすべて満たす必要があります。

Q. 届出に算定実績や開設後の期間は必要ですか。 A. 施設基準通知は「当該加算の届出については実績を要しない」としています。体制と書類が整っていれば届出できます。

Q. 発熱患者等対応加算だけを算定できますか。 A. できません。発熱患者等対応加算は、外来感染対策向上加算を算定している場合にのみ算定できます。

Q. 初診と再診で別々に6点を算定できますか。 A. できません。同一月に、初診料・再診料・医学管理等・在宅医療・精神科訪問看護・指導料のいずれかで算定した場合、別の区分では算定できません。

まとめ

  • 外来感染対策向上加算は診療所向けで、初診・再診とも月1回6点。発熱患者等対応加算(20点)は、これを算定していることが前提です。
  • 連携強化加算(3点)、サーベイランス強化加算(1点)、抗菌薬適正使用体制加算(5点)は、様式1の5で別に届け出ます。
  • 施設基準の中心は、専任の院内感染管理者、年2回程度の研修と連携カンファレンス、週1回程度の巡回、発熱患者の受入れと動線分離、第二種協定指定医療機関であることです。届出に実績は要りません。
  • 同じ月に別区分で重ねて算定できない点を、レセコン側でも確認しておくと算定ミスを防げます。

初診料に関わる他の加算は 機能強化加算とは?令和8年改定の施設基準・届出とBCP要件を整理、内科系診療所の届出判断は 地域包括診療加算の記事、令和8年度改定の全体像は 診療報酬改定2026 クリニックが押さえるべき変更点と対応策 をご覧ください。小児科の包括点数との関係は 小児科外来診療料の算定、取りこぼしを防ぐ運用は 算定漏れはなぜ起こる?原因別チェックリスト も参考になります。

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参考・出典

  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)医科点数表(初診料 注11〜14、再診料 注15〜18、医学管理等 通則3〜6) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
  • 厚生労働省保険局医療課「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日付 保医発0305第6号、1007訂正後)別添1 医科点数表に関する事項 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757385.pdf
  • 厚生労働省保険局医療課「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日付 保医発0305第7号)(第1の4〜7、別添7 様式1の4・1の5)(九州厚生局掲載) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/000476302.pdf
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