コラム一覧に戻る
レセプト・算定9分で読める

機能強化加算とは?令和8年改定の施設基準・届出とBCP要件を整理

2026年10月14日

機能強化加算とは?令和8年改定の施設基準・届出とBCP要件を整理
この記事をシェア

「機能強化加算の施設基準は何か」「地域包括診療加算を届け出ていれば自動的に算定できるのか」「令和8年度の改定で何か変わったのか」——初診料に上乗せされる加算だけに、院長や事務長、医療事務の方から確認されることの多いテーマです。本記事では、令和8年3月5日付の施設基準通知(保医発0305第7号)と厚生労働省の改定概要資料にもとづき、機能強化加算の施設基準、届出の要点、令和8年度改定で加わった業務継続計画(BCP)の要件と経過措置を整理します。

免責:本記事は2026年10月14日時点の公表情報にもとづく一般的な情報提供です。点数・施設基準・届出の取扱いは、厚生労働省の告示・通知および管轄の地方厚生局の案内が正本です。届出や算定の最終判断は、必ず最新の原文と管轄の地方厚生局でご確認ください。

前提となる地域包括診療加算は 地域包括診療加算とは?令和8年改定の点数・対象患者・施設基準と届出、施設基準の一部になる時間外の体制は 時間外対応体制加算とは?令和8年改定の点数と1〜4の算定要件・届出 で扱っています。改定全体は 診療報酬改定2026 クリニックが押さえるべき変更点と対応策 をご覧ください。

結論:押さえるべき5点

項目内容
点数初診料に80点を加算(厚生労働省の改定概要資料の記載)
対象診療所、または許可病床数200床未満の病院
前提地域包括診療加算・地域包括診療料・小児かかりつけ診療料・在宅時医学総合管理料等のいずれかの届出(組合せの条件あり)
令和8年度の追加業務継続計画(BCP)の策定と、定期的な見直し。令和8年3月31日に届出済みの医療機関は令和9年5月31日まで要件を満たすものとみなす経過措置
届出別添7の様式1の3
  • 機能強化加算は、かかりつけ医機能を持つ医療機関での初診を評価する加算です。専門医療機関への受診の要否の判断を含めた、的確な診療機能を評価する趣旨と説明されています。
  • 加算の算定には、院内とホームページ等での掲示が必要です。掲示内容を記載した文書を患者が持ち帰れるようにすることも施設基準に含まれます。

施設基準(通知原文の整理)

施設基準は、通知の「第1の3 機能強化加算」に(1)〜(7)として定められており、いずれにも該当する必要があります。

番号要件実務上の確認ポイント
(1)診療所、または許可病床数200床未満の病院であること通常のクリニックは該当
(2)下表の「診療体制等の要件」ア〜キのいずれかを満たすこと自院がどの区分かを特定する
(3)地域の保健・福祉・行政サービス等への対応を行う常勤の医師を配置していること下記ア〜キのいずれか
(4)かかりつけ医機能(5つの対応)を必要に応じて行い、その内容を掲示していること医療機能情報提供制度で検索できることの掲示も含む
(5)(4)で掲示した内容を記載した文書を院内に置き、持ち帰れるようにし、求めがあれば交付すること文書の設置場所の確認
(6)**業務継続計画(BCP)**を策定し、計画に従い必要な措置を講じ、定期的に見直すこと令和8年度改定で追加。経過措置あり
(7)保険医療機関の指定に3年以内の期限が付された診療所以外であること外来医師過多区域に関する新しい要件

(2)診療体制等の要件(ア〜キ)

自院が次のいずれに該当するかで、満たし方が変わります。通知の書き分けを簡略化して示します。

区分内容
ア地域包括診療加算1の届出
イ地域包括診療加算2の届出に加え、直近1年間で、地域包括診療加算2を算定した患者が3人以上、または在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「1」・在宅患者訪問診療料(Ⅱ)(注1のイの場合)・往診料を算定した患者の合計が3人以上
ウ地域包括診療料1の届出
エ地域包括診療料2の届出に加え、直近1年間でイと同様の人数要件
オ小児かかりつけ診療料1または2の届出
カ在宅時医学総合管理料または施設入居時等医学総合管理料の届出を行い、在宅療養支援診療所(病院)の1(1)または(2)に該当
キ同管理料の届出を行い、在宅療養支援診療所(病院)の1(3)(連携型)に該当し、緊急の往診の実績3件以上、または看取り1件以上・15歳未満の超重症児等への在宅医療1件以上などの実績要件を満たす

地域包括診療加算2を足がかりにする場合は、直近1年間の人数実績(3人以上)の確認が必要です。実績の数え方は届出様式の記載要領とあわせて確認してください。

(3)常勤医師の地域活動(いずれか)

常勤の医師が、次のいずれか1つ以上を行っていることが求められます(様式1の3では常勤医師の氏名を記載)。

  • 介護保険制度の利用等に関する相談への対応、および要介護認定に係る主治医意見書の作成
  • 警察医としての協力
  • 母子保健法第12条・第13条に規定する乳幼児健康診査(1歳6か月、3歳児等)の実施
  • 予防接種法第5条第1項に規定する予防接種(定期予防接種)の実施
  • 幼稚園の園医、保育所の嘱託医、または学校医への就任
  • 地域包括支援センターが開催する地域ケア会議への出席
  • 市町村が行う一般介護予防事業(通いの場、講演会等)への協力

乳幼児健診や定期予防接種に関わるクリニックは、すでに実績で満たせることが多い項目です。予防接種の事務については ワクチンDXとは?予防接種事務の電子化とクリニックの対応、乳幼児健診の電子化については 母子保健DXとは?電子版母子健康手帳と健診記録の共有 もご参照ください。

(4)かかりつけ医機能の5つの対応と掲示

必要に応じて次の対応を行い、行っていることを見やすい場所とホームページ等に掲示します。

  1. 患者が受診している他の医療機関や処方薬を把握し、必要な服薬管理を行う(診療録に記載)
  2. 専門医師または専門医療機関への紹介
  3. 健康診断の結果等の健康管理に係る相談への対応
  4. 保健・福祉サービスに関する相談への対応
  5. 診療時間外を含む緊急時の対応方法等の情報提供

あわせて、医療機能情報提供制度でかかりつけ医機能を有する医療機関等を検索できることの掲示も求められています。

令和8年度改定で変わった点

通知と厚生労働省の概要資料から確認できる変更点は次の2点です。

1. BCPの策定(施設基準(6))

「医療機関(災害拠点病院以外)における災害対応のためのBCP作成の手引き」等を参考に、災害等の発生時にも診療を継続すること、非常時の体制で早期に業務を再開すること、患者と職員の安全を確保することなどを目的とした計画を策定し、計画に従って必要な措置を講じることが求められます。あわせて定期的な見直しと、必要に応じた変更も要件です。

経過措置:令和8年3月31日に機能強化加算の届出を行っている保険医療機関は、令和9年5月31日までの間に限り、BCPの要件に該当するものとみなされます。通知の「施設基準が改正された入院基本料等」の一覧でも、機能強化加算は「令和9年6月1日以降に引き続き算定する場合に限る」と示されています。つまり、令和9年6月1日以降も算定を続けるには、それまでにBCPを整えておく必要があります。この経過措置は、令和8年3月31日時点で届出済みの医療機関のみが対象です。

BCPの考え方は サイバー攻撃を想定したBCP|自然災害BCPとの違いと診療継続の優先順位 や 事業継続計画(BCP)とISMSの接続 も参考になります。

2. 外来データ提出加算・在宅データ提出加算の届出が「望ましい」

厚生労働省の概要資料では、外来データ提出加算・在宅データ提出加算の届出を行っていることが望ましいと記載されています。概要資料の表現であり、通知の施設基準(1)〜(7)の条文には含まれていません。必須かどうかは最新の原文で確認してください。外来データ提出加算の概要は 地域包括診療加算の記事 にまとめています。

(参考)指定に3年以内の期限が付された診療所の除外

外来医師過多区域で、地域で不足する医療機能の提供要請に応じず、保険医療機関の指定に3年以内の期限が付された診療所は、機能強化加算(および地域包括診療加算等)を算定できないとする要件が、施設基準(7)に盛り込まれています。

届出の手順

  1. 自院が(2)のア〜キのどれに該当するか確認する
  2. (3)の常勤医師の地域活動に該当する医師と活動内容を整理する
  3. (4)(5)の掲示物と持ち帰り用の文書を用意し、ホームページにも掲載する
  4. BCPを策定する(経過措置期間内でも早めに着手する)
  5. 別添7の様式1の3で、管轄の地方厚生(支)局に届け出る

令和8年6月以降の新たな届出や、令和8年3月31日時点の届出済み医療機関の取扱い(再届出の要否を含む)は、通知の経過措置の記載と管轄の地方厚生局の案内で確認してください。

院内チェックリスト

  • 診療体制等の要件ア〜キのどれで満たしているか、根拠資料がある
  • 加算2を根拠にする場合、直近1年間の人数実績(3人以上)を確認した
  • 常勤医師の地域活動(上記7項目のいずれか)を特定し、記録している
  • 院内とホームページに、かかりつけ医機能の対応内容を掲示している
  • 掲示内容を記載した文書を置き、持ち帰れる/求めに応じて交付できる
  • 医療機能情報提供制度で検索できることを掲示している
  • BCPを策定し、令和9年5月31日までに見直しの仕組みも決めた
  • 地域包括診療加算など前提となる届出の施設基準を引き続き満たしている

算定の取りこぼしを防ぐ運用は 算定漏れはなぜ起こる?原因別チェックリストで収益ロスを防ぐ も参考になります。

よくある質問

Q. 地域包括診療加算を届け出ていれば、機能強化加算は自動で算定できますか。 A. できません。地域包括診療加算1の届出は要件の一つ(ア)ですが、そのほかに常勤医師の地域活動、掲示と文書、BCP等の要件を満たし、様式1の3で届け出る必要があります。

Q. 地域包括診療加算2でも対象になりますか。 A. 通知上は、加算2の届出に加えて、直近1年間の人数実績(加算2の算定患者3人以上、または訪問診療・往診の算定患者の合計3人以上)を満たす場合に該当します。

Q. BCPがまだない場合、すぐに算定できなくなりますか。 A. 令和8年3月31日に届出済みの医療機関は、令和9年5月31日まで要件を満たすものとみなされます。新たに届け出る場合や、この経過措置の対象でない場合は、要件への該当が必要です。個別の取扱いは管轄の地方厚生局にご確認ください。

まとめ

  • 機能強化加算は、初診料に80点を加算できる、かかりつけ医機能を持つ医療機関向けの加算です。
  • 施設基準は、診療体制等の要件、常勤医師の地域活動、掲示と文書、BCP、指定期限の7項目にわたります。
  • 令和8年度改定でBCPの策定が加わり、令和8年3月31日に届出済みの医療機関には令和9年5月31日までの経過措置があります。

ポテックは、クリニック向けにAI電子カルテとレセプト・算定のチェック機能を提供しています。加算の算定状況の確認や、届出に必要な実績の集計など、運用面でお悩みの際はお気軽にご相談ください。

参考・出典

  • 厚生労働省保険局医療課「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日付 保医発0305第7号)(第1の3 機能強化加算、第4 経過措置等、別添7 様式1の3)(九州厚生局掲載) https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kyushu/000476302.pdf
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要」資料のうち Ⅱ-3 かかりつけ医機能等の評価(機能強化加算の見直し)、Ⅱ-8 医師の地域偏在対策の推進(外来医師過多区域に関する対応) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001681336.pdf
この記事をシェア

関連記事

レセプト・算定

時間外対応体制加算とは?令和8年改定の点数と1〜4の算定要件・届出

再診料の時間外対応加算は令和8年6月に「時間外対応体制加算」へ名称変更され、点数が引き上げられました。加算1〜4の点数、診療所が満たす施設基準、届出様式2のポイント、地域包括診療加算との関係を一次情報で整理します。

2026年10月13日
レセプト・算定

地域包括診療加算とは?令和8年改定の点数・対象患者・施設基準と届出

令和8年6月の改定で認知症地域包括診療加算が統合され、対象患者も広がりました。地域包括診療加算1・2の点数、対象患者、診療所の施設基準、届出の要否、外来データ提出加算を一次情報で整理します。

2026年10月13日
レセプト・算定

長期収載品とは?選定療養の対象範囲と窓口負担をわかりやすく解説

長期収載品とは、後発医薬品が販売されている先発医薬品のことです。2024年10月から、患者が医療上の必要性なく先発品を希望した場合に「特別の料金」が発生する仕組みが始まり、2026年6月からその負担割合は薬価差の2分の1相当に引き上げられました。対象範囲、料金の計算方法、対象外となるケース、そしてクリニックの窓口実務までを整理します。

2026年9月10日
レセプト・算定

選定療養とは?対象になる項目と院内掲示・同意の実務をわかりやすく解説

選定療養とは、患者が自ら希望して受ける快適性・利便性のためのサービスについて、基礎的な部分は保険給付を受けながら、上乗せ部分を自己負担する仕組みです。混合診療の禁止との関係、評価療養・患者申出療養との違い、差額ベッドや長期収載品など対象になる項目、そして院内掲示・書面同意・会計分離の実務までを整理します。

2026年9月10日
AIカルテ

AIカルテを見る

受付から診療記録、会計、レセプト、経営分析までを一つの循環でつなぐAIネイティブ電子カルテ。

製品ページを見る

AIカルテという選択肢

記事でご紹介した課題の多くは、診療所向けAIネイティブ電子カルテ「AIカルテ」で扱えます。まずはどんな製品かご覧ください。