「児童思春期支援指導加算2は、うちのクリニックでも届出できるのか」「心理支援加算の対象が広がったと聞いたが、公認心理師の勤務条件は何か」「注13の減算とどう関係するのか」——精神科・心療内科の院長、事務長、医療事務の方から確認の多いテーマです。本記事では、2026年度(令和8年度)診療報酬改定で見直された児童思春期支援指導加算と心理支援加算について、厚生労働省の改定資料と届出チェックリストにもとづき、点数・要件・届出・運用上の注意点を整理します。
免責:本記事は2026年11月5日時点の公表情報にもとづく一般的な情報提供です。算定要件・施設基準・届出の取扱いは、厚生労働省の告示・通知および管轄の地方厚生局の案内が正本です。届出や算定の最終判断は、必ず最新の原文と地方厚生局でご確認ください。
2つの加算の位置づけ
どちらも「通院・在宅精神療法(I002)」に付く加算です。厚労省の届出チェックリストでは、心理支援加算が注9、児童思春期支援指導加算2が注10として、令和8年6月1日付で届出項目に新設されています。
| 加算 | 改定の方向 | 主な変更点 |
|---|---|---|
| 児童思春期支援指導加算 | 受入体制の確保 | 加算1は点数引き上げ。実績要件を緩和した加算2を新設 |
| 心理支援加算 | 対象と実施者の明確化 | 250点→280点。対象疾患の拡大、公認心理師と施設基準の要件を新設 |
児童思春期支援指導加算:加算1と加算2
厚労省の改定資料によると、児童思春期の精神疾患患者の受入体制を更に確保する観点から、要件と評価が見直されました。
| 区分 | 改定前 | 改定後 |
|---|---|---|
| 60分以上の通院・在宅精神療法(当該医療機関の精神科を最初に受診した日から3月以内) | 1,000点 | 加算1:1,100点/加算2:500点 |
| 上記以外(最初の受診から2年以内) | 450点 | 加算1:490点 |
| 上記以外(最初の受診から1年以内) | ― | 加算2:400点 |
| 上記以外(その他) | 250点 | 加算1:290点/加算2:100点 |
加算2の施設基準(資料の抜粋)は、当該医療機関が過去3か月間に初診を実施した20歳未満の患者の数が、月平均4人以上であることです。加算1の実績要件、研修要件などの詳細は、告示・通知の原文と地方厚生局の届出様式で確認してください。
実務のポイント:20歳未満の初診を月次で数える
加算2の要件は「過去3か月の20歳未満の初診患者数」という実績です。算定を検討するなら、まず自院のレセプトまたは電子カルテから、直近3か月の20歳未満の初診患者数を集計し、月平均4人に届くかを確認します。「初診」の数え方(初診料の算定の有無など)は、届出の様式や通知の記載に合わせてください。
心理支援加算:点数と対象の見直し
| 項目 | 改定前 | 改定後 |
|---|---|---|
| 点数 | 250点(月2回まで) | 280点(月2回まで) |
| 算定期間 | 初回算定日の属する月から起算して2年を限度 | 同じ |
| 対象患者 | 心的外傷に起因する症状を有する患者 | 心理に関する支援を要する神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害の患者 |
| 実施する公認心理師 | 精神科を担当する医師の指示を受けた公認心理師 | 精神科を担当する医師の指示を受けた、精神科を標榜する保険医療機関において、週1日以上常態として勤務しており、かつ所定労働時間が週22時間以上の勤務を1年以上行った経験のある公認心理師(他の精神科標榜医療機関での勤務は合算) |
| 施設基準 | ― | 当該医療機関内に専任の常勤の精神保健指定医が1名以上配置されていること |
実施内容は、対面による心理支援を30分以上実施することです。医師が通院・在宅精神療法を実施した月の別日に心理支援を実施した場合も算定できます。医師は、心理支援が必要とされる理由等を診療録に記載する必要があります。
公認心理師の勤務実績を証明できるようにする
「週1日以上常態として勤務」「週22時間以上」「1年以上」という要件は、雇用契約書や勤務実績で説明できる状態にしておくことが大切です。他の医療機関との兼務の場合は勤務を合算できるため、勤務先ごとの時間を一覧にしておくと届出時に整理しやすくなります。
注13(非指定医の減算)との関係
非精神保健指定医による通院・在宅精神療法で、注13の施設基準に適合する届出がない場合は、所定点数の100分の60で算定します。この減算が適用される場合、注9の心理支援加算は別に算定できません。一方、児童思春期精神科専門管理加算または児童思春期支援指導加算を届け出ている保険医療機関の20歳未満の患者などは、注13の施設基準(1)の対象として挙げられています。児童思春期の診療に取り組むことが、減算の適用可否にも関わる点に注意が必要です。詳しい改定の全体像は精神科の2026年度診療報酬改定で整理しています。
関連する改定:認知療法・認知行動療法と経過措置
同じ改定で、認知療法・認知行動療法に「公認心理師による心理支援を伴う場合」330点が新設され、対象疾患に不眠症が追加されました(不眠症は8回、その他は16回が限度)。この区分の公認心理師には、「週1日以上常態として勤務、週22時間以上の勤務を2年以上」などの別の要件があり、心理支援加算の要件とは異なります。
また、臨床心理技術者等を公認心理師とみなす経過措置は、令和10年5月31日をもって終了します。心理職の採用・配置を考える際は、公認心理師の資格の有無を確認しておく必要があります。
届出と算定前のチェックリスト
- 心理支援加算(注9)、児童思春期支援指導加算2(注10)は、届出様式が新設されています。届出の要否と時期は管轄の地方厚生局で確認した
- 20歳未満の初診患者数を、過去3か月分で集計した(加算2)
- 公認心理師の勤務日数・週の所定労働時間・勤続期間を、書類で説明できる
- 専任の常勤の精神保健指定医が1名以上いる(心理支援加算)
- 心理支援を30分以上、対面で実施し、時間を記録している
- 心理支援が必要な理由を診療録に記載している
- 対象病名(神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害)がレセプトに記載されている
- 注13の減算が適用される医師の患者に、心理支援加算を請求していない
- レセコン・電子カルテの点数マスタを改定後の点数にそろえた
よくある質問
Q. 児童思春期支援指導加算1と2は、同時に算定できますか。 A. 改定資料では、加算1と加算2は別の区分として示されています。同一患者への同時算定の可否は、告示・通知の原文で確認してください。
Q. 心理支援加算の対象に、うつ病は含まれますか。 A. 改定資料に記載された対象は、心理に関する支援を要する神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害の患者です。個別の病名が対象かどうかは、通知の原文と厚生局の案内で確認してください。
Q. 心理支援を行った日と、医師の診察日は同じ日でなければなりませんか。 A. 改定資料では、医師が通院・在宅精神療法を実施した月の別日に心理支援を実施した場合も算定できるとされています。
まとめ
- 児童思春期支援指導加算は、加算1が引き上げ(初診3月以内60分以上で1,100点)、加算2が新設(同500点)
- 加算2は、過去3か月の20歳未満の初診患者が月平均4人以上であることが施設基準
- 心理支援加算は250点から280点に引き上げられ、対象が拡大。公認心理師の勤務実績と、専任常勤の精神保健指定医の要件が加わった
- 注13の減算の適用下では、心理支援加算は算定できない
- 届出の詳細と時期は、地方厚生局の最新の案内で確認する
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参考・出典
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 Ⅲ-5-4 質の高い精神医療の評価」(通院・在宅精神療法、心理支援加算、認知療法・認知行動療法、児童思春期支援指導加算、臨床心理技術者の経過措置) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001706379.pdf
- 厚生労働省保険局医療課 事務連絡 令和8年5月29日(届出チェックリスト) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001706142.pdf
- 厚生労働省 保医発0529第2号 令和8年5月29日 https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T260602S0040.pdf
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00074.html