眼科は外来の患者数が多いだけでなく、白内障手術をはじめとする手術を行うクリニックも多い診療科です。手術があれば、そのたびに手術説明書・同意書が必要になり、術前後には紹介元への返書や他院への紹介状、保険会社向けの診断書なども発生します。診察そのものより、診察の前後にある「文書」に医師やスタッフの時間が奪われている——そう感じている眼科の先生も少なくないはずです。本記事では、眼科の手術説明書・同意書・紹介状をAIで作成し、文書業務の負担を減らす考え方を解説します。
眼科で文書業務が重くなる理由
眼科の文書業務が膨らみやすいのは、次のような事情が重なるためです。
- 手術件数が多い:白内障手術のように件数の多い手術では、説明書・同意書の準備が日常業務になる
- 左右眼で文書が分かれる:右眼・左眼を別日に手術する場合、同意書や記録も眼ごとに必要になる
- 術前・術中・術後の記録が連続する:手術予約から術後検診まで、一連の記録をつなげて管理する必要がある
- 連携先が多い:紹介元の内科・開業医への返書、硝子体手術などを依頼する他院への紹介状が頻繁に発生する
- 診断書の依頼がある:保険会社向けの手術証明や、運転免許・就労に関する診断書などの依頼が入る
これらの文書は、いずれもカルテに書かれている情報(病名、検査値、手術内容、経過)をもとに作るものです。にもかかわらず、別のワープロソフトや紙の様式に一から書き写していると、転記の手間と記載ミスのリスクが同時に発生します。
手術説明と同意取得で押さえたい基本
手術の説明と同意は、単なる事務手続きではありません。医療法は、医療の担い手が医療を提供するにあたり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めることを求めています(医療法第1条の4第2項)。眼科の手術説明では、一般に次のような項目を患者が理解できる形で伝えることが重要です。
- 病名と現在の状態(どちらの眼か、進行の程度)
- 手術の目的と方法、麻酔の方法
- 期待される効果と限界(例:白内障手術後も眼鏡が必要になる場合があること)
- 起こりうる合併症とその頻度・対応
- 手術を受けない場合の見通しと、ほかの選択肢
- 術後の通院スケジュールや点眼、生活上の注意
ここで大切なのは、文書は「説明の記録」であると同時に「説明の補助」でもある点です。高齢の患者が多い眼科では、専門用語の多い画一的な文書よりも、患者の状態に合わせてわかりやすく書かれた説明のほうが理解を得やすくなります。
AIで文書を作るときの考え方
生成AIを使った文書作成は、ゼロから書く時間を大きく減らせる一方で、使い方を誤ると誤記載のリスクを生みます。眼科の文書でAIを活用する際は、次の原則を押さえておくことが重要です。
- AIが作るのは「ドラフト」、確定するのは医師:最終的な内容の確認と責任は医師にあり、AIの出力はそのまま提出しない
- カルテのデータを起点にする:病名・検査値・手術内容をカルテから引用させ、AIに推測で書かせない
- 左右眼と数値は必ず目視確認する:R/Lの取り違えや数値の誤りは、眼科文書で特に重大な誤りになる
- 患者情報を汎用AIに入力しない:患者情報を含む文書は、医療向けに安全管理された環境で作成する
AIに任せる範囲と人が担う範囲の線引きについては、AIに任せてよい業務・任せてはいけない業務の線引きで詳しく解説しています。また、医療文書全般へのAI活用の考え方は生成AIで医療文書はここまで作れる、テンプレート設計のポイントはAIによる文書作成|テンプレートを作る段階と、テンプレートから生成する段階もあわせてご覧ください。
手術管理と文書作成をつなげる
文書作成の効率化で見落とされがちなのが、「手術管理」との連動です。手術予約、術前検査、手術記録、術後検診がばらばらに管理されていると、文書を作るたびに情報を探し回ることになります。
反対に、手術予約から術前・術中・術後の記録までが一つの流れで管理されていれば、同意書には予定術式と対象眼が、術後の返書には手術内容と術後経過が、自然に引き継がれます。白内障手術のように、術後1日・1週間・1か月といった決まったタイミングで検診を行う手術では、この一連の流れをあらかじめ組み込んでおくことで、記録と文書の抜け漏れを防げます。
AIカルテによる眼科の文書業務の効率化
ポテックが開発する「AIカルテ」は、AIを前提に設計されたAIネイティブの電子カルテです。眼科向けには、手術管理と文書作成を一つの基盤で扱える機能を備えています。詳しくはAIカルテ 眼科のページでご紹介しています。
- 眼科文書のAI自動ドラフト:紹介状・診断書・手術説明書・同意書などの眼科文書をAIが自動でドラフト。テンプレートをカスタマイズして、クリニック独自の書式にも対応します
- 手術管理・同意書:手術予約、術前・術中・術後の記録、説明同意書のPDF生成までを一元的に管理できます
- 白内障クリニカルパス:手術→術後1日→7日→1か月の検査・処置を自動で展開し、術後管理の抜け漏れを防ぎます
- 患者向け説明文のパーソナライズ:AIアシスタントが、患者に合わせた説明文の作成を支援します
- 検査データとの連動:視力・屈折・眼圧・角膜曲率・OCTなど11種の検査値を左右別に履歴化しており、文書作成時にカルテのデータを参照できます
もちろん、AIが作成するのはあくまでドラフトです。内容の確認と確定は医師が行う前提で、「ゼロから書く時間」を「確認して整える時間」に置き換えることが、AIカルテによる文書業務の効率化の考え方です。眼科でAIカルテが力を発揮する理由の全体像は、眼科にAIカルテが向いている理由でまとめています。
おわりに
眼科の文書業務は、手術件数や連携先の多さに比例して増えていきます。文書を「別作業」として扱う限り、その負担は減りません。カルテ・手術管理・文書作成を同じ基盤でつなぎ、AIにドラフトを任せて医師は確認に集中する——この仕組みを整えることで、医師やスタッフが患者と向き合う時間を取り戻すことができます。
ポテックはAIカルテの提供を通じて、クリニックの皆様の最適な事業パートナーとして、医師や看護師・医事スタッフの働きやすさの改善はもちろん、クリニックとして実現したいことを最大限に叶えられるようサポートいたします。
詳細については、ぜひお問い合わせください。