この記事の要点
- 明細書発行体制等加算は再診料(A001)の注11に定める1点の加算で、令和8年改定後も廃止されず存続しています。対象は診療所のみで、初診料には同じ加算はありません。
- 施設基準は、診療所であること、電子情報処理組織(オンライン)または光ディスク等による請求、詳細な明細書の無償交付、その旨の院内掲示とウェブサイト掲載(原則)です。地方厚生局への届出は不要です。
- 電子的診療情報連携体制整備加算を届け出た医療機関は、明細書発行体制等加算を算定できません。告示上も互いに別に算定できないと定められています。
- 同一日2つ目の診療科の再診(39点)では算定しません。電話等による再診で算定しない加算の一覧(注9)には含まれていません。
「明細書発行体制等加算は2026年の改定でなくなったのか」「医療DXの新しい加算を届け出たら、明細書の1点はどうなるのか」——令和8年度改定で医療DX関連の加算が再編されたことで、再診料の小さな1点にも確認の声が増えています。本記事では、令和8年の医科点数表(告示第69号)、留意事項通知(保医発0305第6号)、基本診療料の施設基準等(告示第70号)とその取扱い通知(保医発0305第7号)の原文にもとづき、明細書発行体制等加算の点数・施設基準・届出・併算定のルールを整理します。
免責:本記事は2026年10月31日時点の公表情報にもとづく一般的な情報提供です。点数・施設基準は、厚生労働省の告示・通知が正本です。算定の最終判断は、必ず最新の原文と管轄の地方厚生局・審査機関の取扱いでご確認ください。
明細書発行体制等加算の全体像
明細書発行体制等加算は、再診料(区分番号A001)の注11に定められた加算です。告示では、個別の費用の計算の基礎となった項目ごとに記載した明細書の発行等について、厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関(診療所に限る)を受診した患者について、1点を所定点数に加算すると定めています。
点数と基本ルール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 点数 | 1点(再診料に加算) |
| 根拠 | 再診料(A001)注11 |
| 対象となる医療機関 | 診療所のみ(病院は算定できない) |
| 初診料 | 初診料には同じ加算はない |
| 届出 | 不要(施設基準を満たしていればよい) |
| 併算定できない加算 | 電子的診療情報連携体制整備加算(初診料 注16、再診料 注19) |
令和8年改定で廃止・変更されたか
明細書発行体制等加算は、令和8年改定で廃止されていません。 令和8年の告示(令和8年6月1日適用)でも、再診料の注11に1点の加算として残っています。厚生労働省の改定概要資料(個別改定事項)にも、明細書発行体制等加算そのものの廃止や点数の見直しは挙げられていません。
変わったのは周辺の加算です。令和8年度改定では、医療情報取得加算と医療DX推進体制整備加算が見直され、電子的診療情報連携体制整備加算が新設されました。そして告示上、明細書発行体制等加算と電子的診療情報連携体制整備加算は、互いに別に算定できないと定められています(後述)。
施設基準(算定要件)
明細書発行体制等加算の施設基準は、基本診療料の施設基準等(告示第70号)と、その取扱い通知(保医発0305第7号)に定められています。
告示(基本診療料の施設基準等)の要件
- 療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令に規定する、電子情報処理組織の使用による請求、または光ディスク等を用いた請求を行っていること
- 療担規則・療担基準に規定する明細書を患者に無償で交付していること(公費負担医療に係る明細書について、改正省令の附則に規定する「正当な理由」に該当する場合を除く)
- 2の体制に関する事項について、医療機関の見やすい場所に掲示していること
- 3の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること
通知(施設基準の取扱い)の要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 医療機関 | 診療所であること |
| 請求方法 | 電子情報処理組織を使用した診療報酬請求、または光ディスク等を用いた診療報酬請求を行っていること |
| 明細書 | 算定した診療報酬の区分・項目の名称およびその点数または金額を記載した詳細な明細書を患者に無償で交付していること |
| 掲示 | その旨の院内掲示を行っていること |
紙レセプトで請求している場合や、明細書を有料で交付している場合は、施設基準を満たしません。
届出は不要
基本診療料の施設基準等の取扱い通知では、明細書発行体制等加算について、当該基準を満たしていればよく、特に地方厚生(支)局長に対して届出を行う必要はないとされています。
届出が不要なぶん、施設基準を満たしているかどうかは医療機関自身で管理することになります。掲示物の文言やウェブサイトの掲載内容、明細書の発行設定(無償で交付しているか)を、定期的に確認しておくと安心です。
院内掲示とウェブサイト掲載
告示では、明細書を無償で交付する体制に関する事項を院内の見やすい場所に掲示し、その掲示事項を原則としてウェブサイトにも掲載することが求められています。
- 院内掲示:受付や待合室など、患者が見やすい場所に、明細書を無償で交付している旨を掲示する
- ウェブサイト:同じ内容を、原則として医療機関のウェブサイトに掲載する
なお、電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準にも、明細書発行に関する事項等を医療機関の見やすい場所とウェブサイトに掲載することが含まれています(改定概要資料)。どちらの加算を算定する場合でも、明細書の掲示は必要になる点を押さえておきましょう。
明細書の無償交付義務との関係
明細書の交付そのものは、加算の有無にかかわらず療担規則で定められています。
- 療担規則 第5条の2第2項・第3項:厚生労働大臣の定める保険医療機関は、領収証を交付するときは、正当な理由がない限り、費用の計算の基礎となった項目ごとに記載した明細書を交付しなければならず、その交付は無償で行わなければならない
- 療担規則 第5条の2の2:同じ医療機関は、患者から費用の支払を受けない公費負担医療(厚生労働大臣の定めるもの)を担当した場合も、正当な理由がない限り明細書を無償で交付しなければならない
つまり、明細書の無償交付は療担規則上の義務として求められており、明細書発行体制等加算は、そのうえで診療所が電子請求と明細書の無償交付の体制を整えていることを再診ごとに評価する位置づけです。
算定できないケース
| 場面 | 取扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 病院 | 算定できない | 告示 注11(診療所に限る) |
| 初診 | 初診料に同じ加算はない | 告示 |
| 電子的診療情報連携体制整備加算を届け出た医療機関 | 算定できない | 告示 注11・注19・初診料注16、留意事項通知 |
| 同一日に別の診療科を受診した2つ目の診療科の再診(注3、39点) | 算定しない | 告示 注3、通知 |
| 施設基準を満たさない(紙請求、明細書を有料で交付、掲示なし など) | 算定できない | 告示第70号、保医発0305第7号 |
電話等による再診について、告示の注9は算定しない加算を「注8、注12、注13及び注15から注20まで」と定めており、注11(明細書発行体制等加算)は含まれていません。
電子的診療情報連携体制整備加算との関係
ここが令和8年で最も確認が必要な点です。
- 告示の再診料 注11:明細書発行体制等加算を算定する場合、初診料の注16・再診料の注19の電子的診療情報連携体制整備加算は別に算定できない
- 告示の再診料 注19・初診料 注16:電子的診療情報連携体制整備加算を算定する場合、明細書発行体制等加算は別に算定できない
- 留意事項通知:電子的診療情報連携体制整備加算に係る届出を行った保険医療機関は、明細書発行体制等加算を算定できない
通知は「届出を行った保険医療機関」としているため、電子的診療情報連携体制整備加算を届け出た診療所では、その加算を算定しない月や患者であっても、明細書発行体制等加算は算定できないと読めます。届出の状況とレセコンの加算設定が食い違っていないか、必ず確認してください。
| 明細書発行体制等加算 | 電子的診療情報連携体制整備加算 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 再診料 注11 | 初診料 注16、再診料 注19 |
| 点数 | 再診時1点 | 初診時 月1回15点/9点/4点(加算1/2/3)、再診時 月1回2点 |
| 対象 | 診療所のみ | 施設基準を満たし届け出た保険医療機関 |
| 届出 | 不要 | 必要 |
| 併算定 | 不可(どちらか一方) | 不可(どちらか一方) |
電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準や届出の考え方は、2026年改定で変わる医療DX関連加算 で解説しています。
算定前のチェックリスト
- 診療所である(病院ではない)
- オンライン請求(電子情報処理組織の使用による請求)または光ディスク等による請求を行っている
- 区分・項目名・点数または金額を記載した詳細な明細書を、患者に無償で交付している
- 明細書を無償で交付している旨を院内の見やすい場所に掲示している
- 同じ掲示内容を、原則としてウェブサイトにも掲載している
- 電子的診療情報連携体制整備加算を届け出ていない(届け出ている場合は明細書発行体制等加算を算定していない)
- 同一日2科目の再診(39点)に付いていない
- 初診時に付いていない
よくある質問
Q. 明細書発行体制等加算は何点ですか。 A. 再診料に加算する1点です。再診料(A001)の注11に定められています。
Q. 2026年(令和8年)改定で廃止されましたか。 A. 廃止されていません。令和8年の告示でも1点として存続しています。ただし、新設された電子的診療情報連携体制整備加算とは併算定できず、同加算を届け出た医療機関は算定できません。
Q. 届出は必要ですか。 A. 不要です。施設基準を満たしていればよく、地方厚生(支)局長への届出は必要ないとされています。
Q. 病院でも算定できますか。 A. 算定できません。告示で診療所に限ると定められています。
Q. 電話等による再診でも算定できますか。 A. 告示の注9で電話等による再診で算定しないとされている加算(注8、注12、注13、注15〜注20)に、注11の明細書発行体制等加算は含まれていません。
Q. 電子的診療情報連携体制整備加算を届け出たら、明細書の1点はどうなりますか。 A. 算定できなくなります。留意事項通知で、同加算の届出を行った保険医療機関は明細書発行体制等加算を算定できないとされています。レセコンの自動算定の設定を見直してください。
まとめ
- 明細書発行体制等加算は再診料の注11に定める1点の加算で、令和8年改定後も存続している
- 対象は診療所のみ。初診料には同じ加算はない
- 施設基準は、電子請求(オンラインまたは光ディスク等)、詳細な明細書の無償交付、院内掲示、ウェブサイト掲載(原則)。届出は不要
- 電子的診療情報連携体制整備加算とは併算定できず、同加算を届け出た医療機関は算定できない
- 2つ目の診療科の再診(39点)では算定しない。電話等による再診で算定しない加算の一覧には含まれていない
関連記事
- 再診料の加算一覧|令和8年の点数・外来管理加算の算定要件・併算定ルール
- 初診料の加算一覧|令和8年の点数・算定要件・併算定ルール
- 2026年改定で変わる医療DX関連加算|医療DX推進体制整備加算の廃止と再編
- 外来管理加算とは|52点の算定要件と算定できないケース
- 算定漏れの原因別チェックリスト
- 診療報酬改定2026の全体像
ポテックは、クリニック向けのAI電子カルテと、算定要件をふまえたレセプトチェック機能を提供しています。届出状況に合わせた加算の設定や、改定後の算定ルールの確認などでお困りの際は、お気軽にご相談ください。
よくある質問
- Q. 明細書発行体制等加算は何点ですか?
- A. 再診料に加算する1点です。令和8年の医科点数表(告示第69号)で、再診料(A001)の注11に定められています。
- Q. 明細書発行体制等加算は2026年(令和8年)改定で廃止されましたか?
- A. 廃止されていません。令和8年の告示でも再診料の注11に1点として残っています。ただし、新設された電子的診療情報連携体制整備加算とは併算定できないと定められ、同加算を届け出た医療機関は明細書発行体制等加算を算定できません。
- Q. 届出は必要ですか?
- A. 不要です。基本診療料の施設基準等の通知で、施設基準を満たしていればよく、地方厚生(支)局長に届出を行う必要はないとされています。
- Q. 算定要件は何ですか?
- A. 診療所であること、電子情報処理組織の使用による請求(オンライン請求)または光ディスク等を用いた請求を行っていること、算定した診療報酬の区分・項目の名称と点数または金額を記載した詳細な明細書を患者に無償で交付していること、その旨を院内に掲示し、原則としてウェブサイトにも掲載していることです。
- Q. 病院でも算定できますか?
- A. 算定できません。告示で診療所に限ると定められています。
- Q. 電子的診療情報連携体制整備加算とどちらを算定すべきですか?
- A. 両方は算定できず、電子的診療情報連携体制整備加算を届け出た時点で明細書発行体制等加算は算定できなくなります。電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準を満たせるか、届出状況とレセコンの設定が一致しているかを確認してください。